【アロハワークス】「社員食堂」をアップデートするアイテム「ハッピーオアノット」についてうかがいました

社食ドットコムでは、さまざまな社員食堂を取材・紹介させていただいており、「良い社員食堂」には良い担当者がいる、ということを感じています。この良い担当者が行なっていることの一つに日々の改善作業があります。しかし「そうでない社員食堂」では、クライアント企業側が何に不満を持っているのか? について把握していないケースが多いようです。クライアント企業は不満に思っているのに、社員食堂運営会社はそのことに気がついておらず、ある日「次年度からは更新しない」「他社も含めてコンペを行います」と告げられるといったケースが散見されます。自社のサービスに自信を持つのは良いことだと思いますが、もしかしたらそれは思い込みに過ぎないのかもしれません。利用者のタイムリーな反応を把握し改善を積み重ねること・・・、それが企業運営においても大切なことであることは間違いないでしょう。

そこで今回ご紹介するのが、簡易アンケート機器である「ハッピーオアノット」のサービスを展開するアロハワークス社。このハッピーオアノットは利用者の声を効果的に集めることができ、伸びる社員食堂、信頼される社員食堂になるためのツールとして注目されています。そのサービスの特徴や活用法などについてお話しをうかがいました。

<敬称略 聞き手 社食ドットコム編集部>

プロフィール
安蒜 猛(AMBIRU,Takeshi)/株式会社アロハワークス 代表取締役
1983年千葉県松戸市出身。2000年ハワイ州立大学付属カピオラニ・コミュニティ・カレッジ入学と同時に創業、企業ウェブ制作を請け負い始める。2002年ハワイ大学マノア校に転入、MIS(Management Information System)学部を選択。2000年創業後、2003年大学在学中にAloha Works Inc.を設立。2005年大学卒業後日本に帰国。ハワイ大学の同級生と共にウェブアプリケーション開発など事業範囲を拡大する。2010年株式会社アロハワークスを設立。現在に至る。法人WEBサイト https://alohaworks.jp/


ハッピーオアノットとの出会い

━どのようにしてハッピーオアノットは生まれたのでしょうか?━

安蒜:「ハッピーオアノット」のサービスはフィンランドのHappy Or Not Ltdという会社が行なっており、創業者はフィンランドのヘイキさんとヴィレさんの2人で2009年に設立されています。

このアイデアはヘイキさんが家電量販店に行った時に、対応した店員が嫌な態度をとったにもかかわらず、そのことをお店に伝える術がなく、「この不満をどうしようか」という体験がキッカケとなり、友人のヴィレと起業したというストーリーがあります。そもそも弊社がこの製品を扱うキッカケは、数年前に遡ります。

当時Happy Or Not LtdのAPEC(アジア太平洋地域)担当者は、「日本にハッピーオアノットを広めたい」ということで、東京で毎年行なわれている情報システムの展示会場に来ていました。出展者ではなく、何かボタンのようなものを持って会場内をウロウロと歩いている姿を私が偶然見かけ、気になって見ていると、会場内の他の客に声を掛けていました。

そこで私が「何をしてるのか?」と話しかけてみたんですね。すると「こんな製品があって、これを日本に広めたいんだけど、誰も英語が喋れないんだ」と途方にくれていたというわけです。「だったら、詳しく話を聞かせてくれる?」となり、話を聞くうちに「これは面白そうだ」となったのです。

当時私は自分の会社であるアロハワークス社以外にも、小売業向けのシステム販売をしている企業の社外取締役をしており、その会社は規模も大きく営業マンも多数いたため、この「ハッピーオアノット」を取り扱えるかもと考えました。会場に社長も来場していたため、その場で引き合わせて「こういう会社でこんな製品なんだけど」と説明したら、社長も興味を持ち、その会社で取り扱うことになり、その後弊社が取り扱うこととなりました。

━フィンランドの研修スタイルは日本とは違うそうですね━

安蒜:HappyOrNot Ltdではパートナーミーティングという研修も開催されており、世界中の代理店がフィンランドのHappyOrNot Ltdに集まって、2泊3日で勉強会を行なっています。そこではさまざまな仕組みのことや、なぜボタンが4つなのか? パートナーとしてどのように活動してほしいか、ユーザーからのよくある質問についてなど、かなり濃密な研修を行なっています。

この研修方法も、挨拶もそこそこにいきなり研修となる日本の方法とは違い、まず初日はみんなが楽しく和気藹々となるよう、簡易カジノみたいなゲームの場が用意されてあります。そのゲームが盛り上がるように工夫されていて、おかげで世界中の代理店から参加した者同士がすぐ打ち解けあい、晩はディナーパーティーをして、ガッツリ仲良くなるんです。

そして2日目の朝からはビッシリ勉強となります。研修にはプログラムがあり2日目、3日目とあって3日目が終わったら解散となりました。

このパートナーミーティングの目的は、ハッピーオアノットでできることやその仕組みなどをしっかり学べることはもちろん、Happy Or Not Ltdの本社や各国のパートナーとの人間関係構築ができ、一緒にサウナに入りながら「うちではこんな使い方を勧めている」とか、「どのような営業の仕方をするのか」といった、交流を通じて実践的な話を得られました。中にはスペインの空港にほとんど納入しているっていう人がいたり、1年目からいきなり300台売りましたみたいな人もいました。

「ハッピーオアノット」はヨーロッパではかなり知られた製品で認知度が高い上に、パートナー制度、サポート制度が手厚いのが特長で、とても良い会社だという印象を持っています。

ハッピーオアノットとは?

━ハッピーオアノットはどのようなものですか?━

安蒜:「ハッピーオアノット」は、一度に一つの質問だけを問いかけます。この質問を自分で用意・掲示して、利用者に4つのボタンの中から該当するボタンを押してもらうことで、お客様の満足度を効率的に計測・分析できる機器です。

ボタンが4つありますが、もし5つだと真ん中の「普通」とか「どちらでもない」を選びがちですが、4つにすることで、ポジティブかネガティブかに別れるようになっています。そのため得られたデータに対して、企業としてどうアクションすればいいか? ということにつながるのです。

しかも回答するのに時間がかからないため、設置しておくだけで、一定数の声が集まり易いというところが画期的です。データからユーザーの利用時間帯がわかるし、時間と場所が特定された満足度が取れる。ユーザーの満足度を追いかけることができるのが一番の魅力ですね。

「一つしか質問できない」ということがマイナスではなく、その手軽さゆえに、大勢の方が回答いただけるわけです。また「画面を液晶ディスプレイにできないのか?」という質問もあります。もちろん可能ですが、そうすると電源が別に必要となってしまいます。今は本体に電池やSIMカードを内蔵させており、最小限の電力だけでデータが自動的に送れるので電源を長持ちさせるというメリットがあるんですね。

デザインは子どもから大人まで触りに行きたくなるようにデザインされていますし、コロナ禍もあり、ボタンの部分に抗ウイルスフィルムを貼るとか、消毒用アルコールを設置できるホルダーを付けるなどの対応を行なっています。また、QRコードを読み込み、スマホでも回答ができるように対応しました。

ハッピーオアノットの使い方

━この製品はどのように使うのでしょうか?━

安蒜:まず顧客満足度における課題を想定し、それをアンケートの質問として提示します。そして得られた回答結果について、満足度の低下する時間帯・場所・その時の現場の状況などから傾向を探します。

そして傾向がわかれば、その問いで繰り返し起きている問題が要因ではないか、いうことがわかるので、その現場でその時間帯に何が起こっているのか? というところから、不満足の原因の仮説を立てるわけです。その仮説が立てられれば「それじゃ、改善してみよう」というように、改善した結果を踏まえて、また質問するというPDCAを行なう流れになります。

よくあるアンケート用紙の場合、一度に多くの質問ができるというメリットがありますが、面倒のため回答数が少ないというデメリットがあります。食堂においてるアンケート箱に月に二、三枚ぐらいの回答があっても、その回答は全体の改善に繋がらない内容だったりするわけです。このように従来型のアンケートは回答数が少ない傾向があります。「ハッピーオアノット」は一度に一つの問題を問うだけなので、その問い方を変えることで、問題点を特定に導くようにします。このほかにも従来型のアンケートでは「調査だけで満足してしまう」ことや、データを取得してから解析までに時間を要することが多い「タイムラグ」といった問題もあります。

ハッピーオアノットの使い方として、始めは幅広い質問をしておいて、まず全体的の満足度を把握。そこからは個別の問題点に絞った質問、たとえばオペレーションが問題なのか? それとも味が問題ないか? と変えて絞り込んでいきます。そうすることで満足度が低かった原因はこれなんだ、と導くのです。そのため、とても課題を特定しやすいというメリットがあります。

ハッピーオアノットの使用例

━使用方法について教えてください━

安蒜:ある空港のレストランで、満足度と食材の原価率との相関性を調べた事例があります。その結果、ある一定以上は原価をかけても満足度が変わらないということがわかりました。

また、メインのメニューに対する満足度を聞いて、その満足度が60点以下になったらそのメニューの提供は停止するという決断もしていました。この場合、看板メニューだからというのはお店側の思い込みで、満足度が低くなった時点でそのメニューが利用者に飽きられ始めていると判断することができます。そういった思い込みをデータで覆していくことができます。

他には、同じ会社でも職種によって社員食堂の人気メニューの違いがあるかを調べた例があります。体を動かして汗をかくような工場などの社員食堂と、管理職が多い本社の社員食堂ではメニューに対する評価が違うか? という推測のもと行ないました。

汗をかいたあとは体が塩分を欲しますので、肉体労働系の工場の場合、管理機能中心の本社とでは人気メニューが違う可能性は高いですよね。もし工場と本社が同じ社員食堂運営会社だったら、同じメニューが提供されていることもあります。その場合、どちらかの満足度は高いけど、一方では低い、というケースも考えられるわけです。そういったデータが取れるのです。

点数の付け方ですが、濃い緑が100点、薄い緑が66点、ピンクが33点、レッドが0点として計算されます。あるスーパーマーケットさんが、新規に導入したセルフレジが使いやすいか? を問う設定で行なったところ、87点という結果が出ました。これが満足度指数です。このデータは青い折れ線グラフになって、表示されます。このように高い満足度が得られていることがわかります。

安蒜:ハッピーオアノットは「不満がどこにあるのか」をみつけるツールなので、お店側から見るとお客様視点、利用者視点に立って「このことが不満なのはなぜだろう」という仮説を先に立ててから質問をするのが一番良いのです。

このようにハッピーオアノットで「今満足している」とか「不満だ」という指標を何のために取っているのかというと、それは未来のためです。今満足している人は再度利用したいと考えるでしょうし、不満だという人は静かに離れていきます。

接客態度や清潔感、提供スピード、メニュー、料理の品質、ボリューム、品数、値段など

その未来の形を決める指標が顧客満足度なので、それを捉えることで企業にとっての未来に繋がるわけなので、企業にとって最も大事な指数の一つだ思います。

お客様の満足度が高まって、その企業にとってもクライアント企業にとってもいいわけです。そのためにもお客様の満足度を可視化できるハッピーオアノットを普及させていきたいですね。

━ありがとうございました━

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