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ビジネスマンが身につけたいココロの掃除習慣

伸びる会社は「ココロの働き方改革」を行なっている! (2/3)

島津清彦(しまづ きよひこ)

人財・組織・経営を熱くする「発熱組織プロデューサー」
株式会社シマーズ 代表取締役

前職スターツグループでは、取締役人事部長として延べ6,000人の採用面接を行い、急成長する組織の人事制度・風土改革を実行。その後グループ会社2社の経営トップとして、1社は5年間で約5億5千万円の営業損益を改善、1社は過去最高益を達成する。これらの現場体験から得た経営の「実践知」を日本の企業に広く提供すべく、2012年に独立起業。人財・組織開発・経営コンサルティング会社を設立。同年、得度し仏門入りしてからは、企業・教育機関・官公庁などで禅をベースとしたコーチング・研修・講演活動を行なっている。

<研修実績>金融庁、資生堂、富士ゼロックス、クレディセゾン、富士通、凸版印刷、読売新聞東京本社、三井化学など多数。

> シマーズの禅ZEN研修・実績


一流企業が禅を研修に取り入れ始めた理由

(編集部) 日本でも官庁や有名上場企業など、数多くのクライアントをお持ちですが、組織としての導入の目的はどのようなところにあるのでしょう?

 

(島津氏) 坐禅を習慣化することで、不安感やストレスの緩和、集中力向上、他者への思いやり(EQ)が高まる、といった効果があることが科学的にも明らかになってきました。世界的企業が瞑想を研修に取り入れていれています。クライアント企業の具体的な目的としては「リーダーシップ開発」「メンタルヘルス」「チームビルディング」といった様々なテーマでの依頼が増えています。

「新任役員・管理職研修」としては「リーダーとしての教養」や「自分の考えの軸」、「心の整え方」などを学び、リーダーシップを身に付けていくための研修として用いられます。

「メンタルヘルス」としては、社会全体としてうつなど心の病に悩む方も増えている背景から、禅の教えによって自分自身の心の整え方、自分でバランスをとる方法を学びたいというニーズがあります。ちなみに「高いストレス」を持っているのは男性より女性が、管理職より非管理職のほうが影響を受けやすいことはデータからも判明しています。興味深いのは、ストレスに対して否定的なリアクションを起こすのも女性のほうが多いということです。こういった性差によるストレス反応の違いも企業側は把握しておく必要があるといえます。

そして3つ目は「チームビルディング」。これはプロジェクトなどチームで仕事をしていく中で、過剰なハランスメント対策などの問題で相互に距離感がわからなくなっていることが根本にあります。Googleが瞑想を取り入れているのは「互いの行動の動機を理解し合う」ということが目的となっていると言われています。チームのメンバーそれぞれが「自分の考えや感情を安心して気兼ねなく発言できる雰囲気」=「心理的安全性の確立」がプロジェクトを効率的に成功に導くために欠かせない手法だと結論づけているのです。そのために「禅」を取り入れることで、リーダーが心を整え、チームビルディングに良い影響を与え、結果としてプロジェクトを成功に導くというアプローチです。

このように、「リーダーシップ」「メンタルヘルス」「チームビルディング」といった企業活動における諸問題での研修希望が激増しており、それを「禅」が解決してくれるのではないか? という期待が高まっているのでしょう。逆にいえばこのような「心の状態に起因する」様々な問題に対する有効な手段がなかなか見つけられないのだと思われます。

禅語には「身心脱落」という言葉があります。深い坐禅瞑想に入ったときに、自分と自分以外のものを分ける境目が無くなる状態のことで、何をやっても上手く行く、ボールが止まって見える、といったスポーツでいうところの「ゾーン」という状態が近いかもしれません。

これをビジネスマンも全く別の世界の話しで片付けずに、高い集中力が持続する状態「ゾーン」を作り出すことで、とんでもないサービスやアイデアが閃き、イノベーションにつなげることができるのではないでしょうか。

自分自身を振り返ってみても、独立起業後今日まで、小さいながらも無理なく自然体で成長を続けてこられたのは、「禅」の力の賜物といえます。毎日坐禅で心を整えることだけでなく、思いがけないトラブルが起こった際も、判断軸として「禅語」が自分の行くべき道を照らしてくれます。

禅のルーツでもあるブッダは「人生とはそもそも苦しみである」と説いており、その苦しみから解放される方法の一つとしてマインドフルネスや坐禅を位置付けています。私のような修業僧は「只管打坐(しかんたざ)」といって目的を持たずただひたすら坐り続けることを教えられますが

ビジネスパーソンの皆さんは修業僧ではないので、「集中力を高めたい」とか「平常心を獲得したい」という自分にとってのメリットや目的を持って取り組めばいいのです。入り口はどちらでも構いません。最終的に充実したワークやライフが実感できれば良いのです。