朝の一杯のコーヒーは、眠気を覚まし仕事へのモチベーションを高めるスタートラインとなります。また、休憩時間に飲むコーヒーは、疲れた心身をリフレッシュするだけでなく、コーヒーマシンの前で自然に生まれる同僚との会話が、社内コミュニケーションを活性化させ、会社の風通しをよくすることにつながることでしょう。
昨今では、オフィスで提供されるコーヒーにもこだわりが求められるようになり、スペシャルティコーヒーや豊富なフレーバーが提供されるようになっています。香り豊かなコーヒーがオフィスに広がることで、働く空間そのものがリラックスできる場になり、生産性向上にもつながると言えるでしょう。
このようにオフィスコーヒーの役割は、業務の合間の癒しとエネルギーを提供するため、単なる飲み物というだけではなく、職場の活力を支える重要な存在となっています。
今回ご紹介するのは、オフィスコーヒーのパイオニアである株式会社ダイオーズ。1978年から始められたオフィス向けコーヒー事業の現在地や今後の展望などについて、同社の藤井氏にお話をうかがいました。
【プロフィール】
藤井 悠平(ふじいゆうへい)
株式会社ダイオーズ ジャパン/東京エリア本部 東京南営業所マネージャー
1981年東京生まれ。複合型レジャー施設運営会社を経て2009年ダイオーズ ジャパンに入社。東京都内の新規開拓の営業職を経験後、2013年に仙台市内の営業所に異動。配送拠点の責任者を経て2019年東京都内の営業所に配属、現在に至る。
【会社概要】
株式会社ダイオーズ ジャパン
・1969年創業 事業所向けトータルサービス業を展開
・日本国内におけるパイオニアとしての事業所向けコーヒーサービス事業
・数種類のお茶やコーヒーやお水を1台のマシンで提供できるティーサービス事業
・不純物を除去した限りなく安全・安心な水、「ピュアウォーター」をメインとしたボトルウォーターサービス事業
・玄関マット、清掃モップ等、環境衛生商品の定期的な交換及び、サービスの提供を行うクリーンケア事業
・熟練された技術を持ったFCオーナー自らが定期清掃サービスを提供するダイオーズカバーオール事業
本社所在地:東京都千代田区丸の内1-7-12 丸の内サピアタワー14階
Webサイトアドレス:https://www.daiohs.co.jp
目次
1. 貴社が提供するオフィスコーヒーの特徴や他社製品との違いについて教えてください
藤井氏(以下 藤井) 弊社は1969年の創業以来ルートサービスを軸として様々な事業を展開して参りました。ダイオーズは1978年に日本で最初にオフィスコーヒーサービスを事業した企業になりますが、リーズナブルで美味しいコーうヒーをお届けするため1980年竣工の自社焙煎工場にて製造を続けています。
契約後のきめ細かなルートサービス、オフィスに関わる様々なサービスを展開しており要望に対してワンストップでの提案、焙煎を自社で行なっており、新鮮なコーヒーをお届け出来る点が弊社の強みだと考えています。
ルートスタッフが定期的にお客様のもとに訪問して、3C(「コンビニエンス」「クリーンリネス」「コミュニケーション」のアルファベットの頭文字であるCを取った総称)というサービスを行なっています。
美味しさを追求した自社焙煎豆や安心して飲めるおいしい水を定期訪問時にお届けして、ご利用状況やご要望に応じた最適なドリンクを提案しているほか、定期訪問時には在庫管理や機器のメンテナンスも行ない、清潔にお使いいただける環境を提供しています。
サービスについては、担当のルートスタッフがご意見やご要望にフェイストゥフェイスでお応えして、契約後も安心してサービスをご利用いただくことが大事だと考えています。
最近のトレンドについてですが、近年は社内カフェや休憩スペースに本格的なコーヒーを求める企業が増えてきており、プロフェッショナルコーヒーマシーン「フランケ」の契約が増えてきています。
「フランケ」はコーヒー豆に合わせて細かなレシピ設定をしていますが、契約後はフランケ社で研修を受けた認定スタッフが定期的に訪問をして保守点検を実施しています。導入当初のカップクオリティが維持出来ているかを確認して必要に応じて機器のオーバーホールを行ないます。その為、常に最高の1杯をお楽しみいただけます。
2. オフィスコーヒー市場において、現在注目しているトレンドや今後の展望について教えてください
藤井 コロナ禍以降オフィスコーヒーに求められる事が大きく変化していると感じております。
私がこの業界に転職したのは2009年ですが、ダイオーズにおいても当時はまだオフィス向けのエスプレッソマシンのレンタルを開始したばかりでした。現在のようにコンビニで挽きたてのコーヒーは販売されていない時代で、オフィス内にカフェスペースを検討する企業はほとんどありませんでした。
2013年にセブンイレブンがカウンター商材の一つにカフェ商品をラインナップしてから、様々なコンビニが参入して急速に市場が拡大し、どこでも気軽に挽きたてのコーヒーが購入できるようになると、オフィス内でも同様の環境を求める声が増加しました。
そこでダイオーズでも業界に先駆けてオフィス向けエスプレッソマシンの開発を進め、契約の大半が従来の「ドリップ式で作り置きをするコーヒーメーカー」から「1杯取りのエスプレッソマシン」に変わりました。
また、2019年以降のコロナ禍による在宅勤務が進み、オフィス内の飲料需要が減る時期もありましたが、新型コロナウィルスが5類へ移行したことに伴い、出社率も戻りつつありますが、やはり在宅ワークも一定数定着しています。そんな中で特にクリエイティブな業務を行う企業担当者からは、「オンライン上でのコミュニケーションには限界があり、出社を促す施策として福利厚生を充実させたい」とのお話をいただいています。
そこで、オフィス内にカフェコーナーと休憩スペースを新規開設して、コミュニケーションを活性化させるツールの一つとしてコーヒーマシンを導入いただく企業が増えております。
人材の確保が難しい時代となり、従業員の満足度を上げて離職率軽減に努める企業が増えており、その施策の一つとしてコーヒーも注目されているのです。
今後の展望ですが、弊社は「時代の新しいニーズを先取りして、新しいマーケットを創造します」という企業理念があります。弊社はBtoBに特化した事業を展開しており、グループで20万件以上の取引実績があります。ルートサービス(定期訪問)を軸として、これからは企業で働く従業員に向けた様々な新しい付加価値サービスを提供し続けていく必要があると考えています。
3. オフィスコーヒーを導入する際に、企業が考慮すべきポイントや推奨する製品選びの基準を教えてください
藤井 オフィスコーヒーには機種、コーヒー豆の種類が多いため、何を検討すれば良いか迷われてしまうお客様が多いと思います。ご予算も重要な検討要素になるかと思いますが、まずは機器の選定から行なうことをお勧めしております。
コーヒーマシンは大きく分類すると
「1杯ごと豆から挽く仕様」
「1杯ごとカプセル(パック)をセットする仕様」
「ドリップの作り置きをする仕様」
の3つの機種に分類されます。すべての希望を叶える機種があれば良いのですが、それぞれ特徴が異なるため、主に「コスト」「味のバリエーション」「機器メンテナンスの手間」の3つのニーズに合わせてご提案をしています。
オフィスコーヒーを検討する背景は企業によって様々ですので、「ここだけは譲れない」という条件を一つ決めていただきます。たとえると部屋探しと似ているかもしれません。様々な機種や商品を検討していくと条件の優先順位が変わる場合もあると思います。その際は何を優先すべきかを再度整理してから検討することをお勧めしております。
また、弊社では1週間無料でコーヒーマシンをお試しいただけますし、大型のコーヒーマシンに関しては弊社ショールームにてご確認いただくこともできます。やはり、味はもちろんですが機器の操作性や日々のメンテナンスが必要な作業内容を確認したうえでご判断をいただきたいですね。
次に重要なのは設置するロケーションとなります。せっかくサービスを導入するのであれば社内にドリンクやスナックを提供するケータリングコーナーを設置することにより社員の大きな息抜きにつながります。実際に機種の見直しを検討しているお客様で設置場所を変更したことによりコーヒーの使用量が2倍になったケースもありました。
忙しい日でも、オフィスカフェで手軽に食事や休憩が可能なため、外出する手間が省け、労働の効率化が促進されます。さらに、社員が休憩の場として立ち寄りやすくなり、結果として社員間の交流も活性化します。
機器やコーヒー豆の選定はもちろんのこと、設置場所、またカフェコーナーに必要な他の飲料サービスなどを提案することが可能です。ご利用される従業員の満足度向上のためにも空間全体を視野に入れて検討をすることが重要だと考えております。
4. 貴社がサステナビリティに取り組んでいる具体的な活動や、環境に配慮した製品開発について教えてください
藤井 ダイオーズは持続可能な社会を実現するため、事業所向け定期訪問というビジネスモデルを通じた環境負荷軽減に取り組むとともに、様々な社会課題の解決に向けた取り組みを行なっています。
脱プラを意識した取り組みを社内・社外問わず多くの皆さまと分かち合う為、SDGsのカラーを用いた親しみやすさを亀のシンボルで現わしています。
SDGsに対する取り組みは、外務省のホームページにてSDGsに取り組む企業の一例として紹介されていますが、コーヒー豆の製造に関してお話しをすると、気候変動とその影響を軽減するため自社製造コーヒーの焙煎燃料には化石燃料と比べて二酸化炭素排出量が少ない天然ガスを使用しております。今後は焙煎効率を高めて燃料の使用量を削減し、製造工程における環境負荷をより減らせるよう研究を進めています。
また生態系と生産者の暮らしを長期的に維持可能なものとするため、一部のコーヒー商品にはレインフォレスト認証(※)を受けた農園の生豆を使用しています(※レインフォレスト認証:森林の保護、労働者の人権尊重や生活向上、気候危機への緩和と適応など、より持続可能な農業を推進するための包括的な認証制度)。
さらに自社初となるフェアトレード認証コーヒー「ETHIOPIA YIRGACHEFE FAIRTRADE JAS」(エチオピア・イルガチェフェ・フェアトレード・ジャス)を2023年7月より全国のオフィス向けに販売を開始しました。ダイオーズは、国際フェアトレード認証コーヒーの取り扱いを通じて、持続可能な社会の実現に向けた取組みに賛同・参加し、その第一歩となる製品としてエチオピアの「イルガチェフェ銘柄」のコーヒーを選定しました。1杯のコーヒーが社会と環境をつなぐ、華やかでフルーティーな香りと軽やかなモカフレーバーを楽しめる商品となっております。
5. オフィスコーヒーを通じて、職場の生産性や従業員のエンゲージメント向上にどのように貢献できるとお考えですか?
藤井 近年はオフィス内にカフェスペースを新規に開設して飲料サービスの見直しをしている企業が増加し、本格的なカフェマシーンのお問い合わせをいただく機会が増えてきています。
オフィスの一角に設けた休憩できるカフェスペース(社内カフェ)は、莫大な予算を投じなくとも気軽に導入できる特徴があり、オフィスの一角にコーヒーマシンや飲食スペースを設けるだけで済むため、導入ハードルが低く、おしゃれなカフェのような空間で、お茶やコーヒーを飲みながら休憩することでリフレッシュすることが可能です。
また、一人用の席だけでなく複数人で交流を深められる席を設けることで、幅広い用途に活用することが可能となります。たとえば個人ワークや打ち合わせやウェブ会議などに使用できますし、執務スペースよりも肩肘を張らずにリラックスして作業できるといったメリットがあります。実際に弊社とお取引しているお客様には固定席をもたないフリーアドレスなどを採用する傾向が見られるのですが、執務スペースを削減できる分、カフェスペースを広めに取ることが出来るメリットがあります。
そして、普段の業務ではかかわらない他部署の人と交流を深められ、気軽に意見交換ができるようになり、雑談から新たなアイデアが生まれるケースもあると伺います。仕事の相談はもちろん、日常の些細な出来事についても意見交換や相談ができるため、社員が一人で抱え込む前に悩みを解消できます。
また、企業を訪れた取引先や求職者の目に留まりやすい場所だと、オフィスを案内する際のアピールポイントとなります。新しいことに積極的に挑戦している職場だと印象づけられるほか、労働環境づくりに力を入れている企業だと認識してもらえる効果が期待できます。
社員がくつろげたり、モチベーションをアップできたりする場を提供したいと考える企業が増えてきていると実感しております。オフィスカフェは、コーヒーを一杯楽しむだけでなく、従業員同士のプライベートな会話やアイデアの交換の場としても機能していると考えています。
(聞き手/社食ドットコム編集部)
会社名 | 株式会社ダイオーズ ジャパン |
所在地 | 東京都千代田区丸の内1-7-12 丸の内サピアタワー14階 |
公式WEBサイト | https://www.daiohs.co.jp |