
化粧石けんが「顔洗い」と呼ばれていたことから「カオ(顔)石鹸」と名づけ、「花王」という文字をあてたことが社名の由来となったという花王株式会社。本社を東京都中央区に置く、日本を代表する日用品メーカーで、豊かな生活文化の実現と社会の持続可能性への貢献を目指して取り組んでいます。一貫生産から物流・販売システムに強みを持ち、国内に多数の工場や営業拠点を有しています。また、平均株価、TOPIX Core30、JPX日経指数400の構成銘柄の一つとなっています。
国内外の花王の全工場中、最大規模の工場で、総生産量の4割強を占めるのが今回訪問した和歌山工場。主な取り扱い製品は家庭用洗剤、石鹸などで、業務用商品も扱っており、敷地内には研究所も設けられています。
同工場内には社員食堂が設置されており、健康やSDGsの取り組みに注力されています。それでは花王和歌山工場の社員食堂をご紹介します。
和歌山市西部、和歌山下津港近くに位置する、花王の主力工場となる和歌山工場。 施設内部にある受付。現在の花王コーポレートスローガン「きれいを こころに 未来に」の思いがロゴマークに脈々と受け継がれています。 同工場の地区サービスセンターの南さんと山崎さん(左から)がお出迎え。本日はよろしくお願いいたします! 工場内では歯ブラシや歯磨き粉、石鹸やシャンプーといった同社の製品が展示されていました。 さあ、社員食堂のある棟へ行ってみましょう! 食堂内にある掲示板には、社員お勧めの自社商品が写真付きで紹介されています。 社員食堂の営業時間は11:30~13:30。食堂のコアタイムは12:15~12:45。 メニュー数は、毎日主菜2種・丼1種・麺2種の4種類と、小鉢6種類となっています。 社員食堂では、「地産地消フェア」「ご当地メニューフェア」「季節限定メニュー」等々といったイベントが不定期で開催されています。 現場と研究所、管理部門で分散利用となっています。傾向として現場勤務のかたはボリューム多め、研究職や管理部門のかたはヘルシー志向とのこと。 【この日の小鉢】ひじきと豆苗の酢醤油和え、チンゲン菜とくらげの和え物、蓮根のカレーマヨサラダ、牛すじとこんにゃくの甘辛煮、水軒金時もち、サラダ(ポテサラ) 栄養バランスの良い料理を提供している社員食堂で食べることは、健康維持向上だけでなく、昼休憩の有効利用にもつながります。 社員食堂の座席数は285席。1日の利用人数は約850名(取材時)となっています。 食堂の全面ガラスからの眺望もよく、春には咲き誇る桜を見ながらの食事が可能です。 アルコール消毒・アクリル板設置・一方向での黙食・食後の拭き取り(利用者)、給茶器の撤去など、感染症対策も行なわれています。 同期や同僚とも話すことで、オンオフの切り替えのできる貴重な時間です。 12:10からは研究所、管理部門による利用タイムとなります。 食後は各自が下膳エリアへ運びます。ベルトコンベアで自動に流れて洗浄設備へと運ばれます。食器は重ねないでね! 【この日の主菜A】アジの焼き南蛮 【この日の主菜B/スマート和食】豚ヒレ肉の青のりピカタおろしソース 【この日の丼】雑賀崎足赤海老天丼 【この日の麺】紀州ぶっかけうどん(温) 【工場長も絶賛】「中華そば(和歌山名物)が好物」と語るのは山口工場長です。 【担当者の声】「地域に愛される会社として、地元の食材を使って社員に食べていただき地元に貢献することを目指しているので、地元の食材を優先に使っていきたいと考えています」 【保健師の声】「量がありながらも、脂肪が少なかったり食物繊維が多かったり、タンパク質などの栄養バランスが良い“スマート和食”を毎日提供しています。その食事を摂ると内臓脂肪が減るというデータもあるんですよ」 【利用者の声】「サイドメニューで小鉢を何種類も準備してくださっているので、その日の気分や自分の栄養を考えて好きなものを選んで毎日食べています。秋になると栗おこわが出るので、そのシーズンが一番楽しみです」 食堂の一角には喫茶コーナーもあり、コーヒーや紅茶などが販売されています。(感染症対策として、ビニールで仕切られています) 地元和歌山県産のみかんの果皮を使用したみかんティー。容器やストローは紙製で、環境に配慮されています。 こちらは食堂内にあるコンビニ。お菓子やジュース、雑貨などが販売されています(レジ袋は廃止となっています)。 同工場では、食堂の残渣物等を堆肥化。社会福祉法人きのかわ福祉会ふるさとファームと連携し「循環型食品リサイクル」に取組んでいます。 食堂入口がウォーキングコースのスタート地点となっています。距離に応じてアタックコース、ハミングコース、キュキュットコースがあります。 工場内には、先端のエコ技術を体験することのできる「花王エコラボミュージアム」もあります(事前予約制)。
まとめ
健康的な食事と、残食を利用したリサイクルが特徴的な花王和歌山工場の社員食堂
花王和歌山工場の社員食堂運営において意識されていることとして、まず挙げられるのが「健康」への取り組みです。花王では「しっかり食べて、太りにくい」「しっかり食べるから、続けられる」という「スマート和食」という食事法を推奨しており、社員食堂でもこの食事法に基づくメニューが毎日提供されています。
また「もったいないを、ほっとけない」というスローガンを掲げる同社では、フードロスの活用についても注力されています。調理ゴミや残食を敷地内に設置された生ごみ処理設備で分解し堆肥原料化しています。1週間で約250kgの食品廃棄物から約40kgほど作られる堆肥原料を、和歌山市内にある社会福祉法人に納品。そこで作られた農産物を社員食堂の食材として活用するという取組を行なっています。
農作業を行なうことで特にメンタル面への良い効果があるということが分かっていることから、この社会福祉法人の農場で和歌山工場の従業員が農作業を教わりながら、堆肥原料が使用されたトウモロコシの苗植えや収穫、田植えや稲刈りなどの作業を手伝うことも。ここで収穫されたトウモロコシをみんなで試食しただけでなく、和歌山工場の社員食堂でも「トウモロコシのかき揚げ丼」として提供されるなど、「循環型食品リサイクル」を実践しています。
また、残食対策として、休暇促進日や大型連休前後には、食堂利用アンケートを実施して食数を事前把握し残食を減らす対策を行なっているほか、食堂内の喫茶でのプラスチック製品廃止(紙コップ・蓋・ミルク・ストロー等)、地元食材を使用するといったSDGsの取り組みを積極的に行なっています。
HACCPに基づく衛生管理はもちろん、1日に一回の昼休憩の時に食事を楽しめるような空間作りにも取り組んでいる社員食堂の外には桜が植えられており、春には満開となるといいます。桜を眺めながら、午前中の疲れを癒すと共に午後からの仕事の活力となる貴重な時間を過ごせる花王和歌山工場の社員食堂でした。
花王株式会社
和歌山県和歌山市湊1334
和歌山工場
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