社員食堂で働くスタッフは、ただ単に料理を提供するだけの存在ではありません。彼・彼女らは、社員食堂の中心であり、クライアント企業の社員にパワーを注ぐ源となる役割を担っています。毎日の業務に疲れた社員が、おいしい食事とともに一息つく場所、そしてエネルギーを注入しまた午後からの仕事に打ち込めるよう、そして最高のパフォーマンスを発揮できるよう心身の状態を整える場、それが社員食堂です。そしてその背後には、情熱をもって料理を創り出し、ランチタイムを心地よく過ごしてもらおうとする社員食堂スタッフたちの存在があるのです。
社員食堂のスタッフは、多様なバックグラウンドを持ったプロフェッショナルたちから成り立っています。彼・彼女らは、食材の選定からメニューの考案、そして実際の料理まで、一貫してこだわりを持って業務に取り組んでいます。また、健康や栄養バランスを考慮したメニュー提供はもちろん、時には季節のイベントや特別な日にちなんだ特別メニューを考えたり、利用者とのコミュニケーションなど、創造力を発揮する場面も豊富です。
社食ドットコムでは、そんな「社員食堂で働く人」にスポットをあて、社員食堂という場所で働くことの魅力ややりがいなどを紹介します。
【プロフィール】
S.M.さん
現在の職場は勤務して8カ月程度ですが以前より社員食堂や老人ホームでの 就業経験があり通算して10年程度です。 様々な職場での経験を活かし現在は6名いるパートのリーダーとして率先して業務に励みながら 店長やスタッフとも和気藹々と楽しく風通しの良い環境で楽しく仕事をしています。 これからもお客様へのホスピタリティを第一に心掛け笑顔で頑張っていきたいと思います。
【会社概要】
シダックスコントラクトフードサービス株式会社
1960年5月設立。オフィス・工場などの社員食堂、学校などの学生食堂の受託運営をメインに、学生寮・社員寮、レストラン、売店の受託運営も行う。全国に9カ所の支店、受託店舗数約1,000店舗。連結売上約1,212億2,000万円、従業員数約35,000人(2023年3月時点)。
本社所在地:東京都渋谷区神南1-12-10 シダックス・カルチャービレッジ
Webサイトアドレス:https://www.shidax.co.jp
1. シダックスとの出会い
私は給食業界で約12年働いていますが、シダックスとの出会いは20年くらい前に、ある訪問介護の研修を受けた際に研修で介護施設に行くことがあったんですね。その介護施設で調理の担当をされていたのがシダックスさんでした。当時「シダックス」というとカラオケのイメージがあったのですが、その食事の種類が「刻み」などもあって、かなり細かな仕事なんだなと記憶していました。
その時に印象に残っていたこともあり、その後仕事を探している時にいくつか求人情報をみた中にあった「シダックスさんも見てみようかな」と思い、連絡をして、結果、今の職場で働くことになったのです。
今、働いている事業所は規模が小さいこともあり、チームワークがよく、仕事の流れなどはやりやすいと思います。大きい事業所ですと、洗場も場所が遠かったり、麺屋さんの場所が違ったりといったことがありますけど、ここは一か所にすべてコンパクトにまとまっているので、誰もが全体に目が届き安く、私にとって働きやすい事業所ですね。
2. 日々の業務内容
私の出勤時間は10時なので、それに合わせて出社します。各人の役割分担が決まっていて、役割が毎日替わるのですが、一例で言うと、出社したら小鉢の盛り付けやガロニ(添え物)の準備をします。
その後ミーティングがあり、その日の注意事項などが店長から言い渡されます。ミーティングが終わると、ガロニを盛ったり、洗場のお湯張りや味噌汁に具を入れたり、その日の食事のメニューに合わせて食器を出したり、お茶碗を出すといった準備をし、その後水のピッチャーや調味料の用意を行ないます。11時くらいまでに調味料を出す人は出したりとかローテーションしており、準備完了が11時15分くらいになります。
11時30分に営業開始となり、提供が開始し、13時30分までが営業時間です。営業時間が終わったら厨房から出て、ダスターやピッチャー類をすべて片付け、下膳されていない食器類があればそれを片付けます。その後厨房では洗浄作業となります。私は14時までの勤務なので、13時30分から30分の間に片付けます。
一番大変なのはこの作業ですね。食器をすべて洗って、機械に通して乾燥機に入れて、乾いたものから順に出していって、仕分けをして食器を戻すのですが、暑さもありますし、とにかく30分間ですべて片付けなければならないので。この乾燥機に食器を入れるにもコツがあります。食器の数の割に乾燥庫の数が限られてるので、籠の中にとにかく詰めるだけ詰めて乾かさないといけないんですが、あまりギュウギュウに入れて食器の間に隙間がないと、よく乾きません。ですので新人さんだとあまりうまくできないんですね。
あとお椀の下にも水が入ってるとたまってしまうことがありますので、水を切って、重ならないように入れたほうがいいんです。また、同じ種類の食器ばかり入れるよりいろんな種類を入れて隙間を作ったほうが早く乾きます。そういった工夫が必要です。
また、廃棄ロスが多いと食材が無駄になりますので、余分に作りすぎないよう声かけがあって、在庫を常に確認しています。
3. 仕事のやりがい
社員食堂は、働く魅力やコミュニケーションの宝庫と言えるでしょう。外食店とは異なり、日常的に同じお客様が訪れるため、日常や変動にも気づきやすく、コミュニケーションの奥深さが増しています。たとえば、しばらく見かけないお客様には「出張中かな?」と感じることができ、新しい顔を見ると「転勤者かな?」との気配りが生まれます。
そのため顔馴染みのお客様が多く、中には冗談を言ってくださるお客様もいらっしゃって、その方々とのコミュニケーションがあります。
また、お客様からの感謝の言葉、「ごちそうさま」や「美味しかったです」は、食堂スタッフにとって大きな励みとなっています。これらの言葉はコミュニケーションの一部として、毎日の働きがいを感じさせてくれる瞬間です。そういった言葉を受け取ると、「さらに頑張ろう」という気持ちになり、日々の業務に対する熱意を新たにするのです。
現在の事業所の社員食堂は、比較的若いお客様が多いため、大量の食事を提供することも多いです。時には、漫画のような大盛りを要求されることも。そういった場面でのコミュニケーション、例えば「本当に全部食べられるの?」という驚きの声は、職場のやりがいの一部として忘れられない思い出となっています。
健康診断が近づくと、急にヘルシーな料理を注文する人が増えたりするなど、「食」を通じて従業員の皆様と繋がりを感じることもやりがいとなっています。
また、今の事業所に限らず、社員食堂で働いている人の年齢の幅は広いんです。大体30代から70代ぐらいまでの人がいて、私はちょうど真ん中くらいですので仕事についてだけでなく、たとえば子育てについていろんな世代のかたの意見が聞けるというのもあって、楽しく仕事ができています。
4. 今後の目標
私の目標というか、社員食堂で働く人のイメージ向上という意味だと、思っていることがあります。。私もお友だちとかに「何の仕事してるの」と聞かれて「社食だよ」って言うと、「社食のおばちゃん」というイメージが強いみたいなんです。友だちの社員食堂のイメージは、「とても広い食堂で、割烹着姿で働く」といういうものらしく、「あそこで働いてるの?」とよく言われます。
社員食堂に勤める方を増やすというか、そのためには社員食堂のイメージを良くしたほうがいいですよね。特に制服は昔と違っているということはアピールしたほうがいいと思いますね。
制服は弊社でも事業所によって違うんですが、社員食堂のオープニング時から働くことになると、店長から「この中でどれがいいと思う 」と聞かれることが多いです。でもイメージが違うんですよね。
たとえば従来のような白衣タイプや三角巾だと「嫌だな」と思います。一方、デニム生地や、エプロンに動物のイラストがあったりすると、私世代だと「ちょっと年齢的に若いかた向けかな・・・」となるんですね。
また働いてみると、社員のものとパートさんは違うことがあります。社員さんの制服は黒とかグレーが多くて、パートさんと違って格好いいなんてケースもあると、「あっちの制服のほうがいいな」なんて思うこともあります。
中高生が制服で学校を選ぶ感覚がわかるというか、大人でもやっぱりそうなんですね。働く人にある「社員食堂で働く人は割烹着に三角巾」みたいなイメージをなくして、「社員食堂で働くことは格好良い」というイメージにすることは大事だと思います。
話が制服のことばかりになってしまいましたが、今の事業所に話を戻すと、喫食数は毎日2百数十食 なんですが、在館の社員数は700人くらいいらっしゃるので、もう少し食堂にいらしていただけるようにしたいです。ただ座席数に限りがあること、会社の周辺に外食店が多いという点がある中、どうしていけばいいか難しいところでもありますね。
社員食堂でお客様に喜んでいただくためにも、メニュー選びからワクワクしていただけるような彩りや盛り付け、そして笑顔での気持ち良い挨拶を日頃より心がけ、「明日は何を食べに行こう?」と思っていただけるような接客をこれからも心がけ、目標にしていきたいと思います。
(聞き手/社食ドットコム編集部)
会社名 | シダックスコントラクトフードサービス株式会社 |
所在地 | 東京都渋谷区神南1-12-10 シダックス・カルチャービレッジ |
公式WEBサイト | https://www.shidax.co.jp |