新型コロナウイルスの影響で、新しい働き方や生活様式の変化が起きています。たとえばテレワークが常態化することは、企業で働く人にとって「社員食堂」の利用度が減ることにつながる・・・など、社員食堂業界も大きな変化の真っ只中にいます。
一方で社員食堂が担ってきたコミュニケーションの場としての役割などが、企業内で大きな意味を持っていたことが判明するなど、あらためてその価値が見直されつつあるという一面も浮かび上がってきています。
そこで社食ドットコムでは、社員食堂に熱視線を送る各業界の方にお話しを伺い、これからの社員食堂の方向性に注目している人や羅針盤となるキーパーソンにお話を伺っています。
今回は昨今よく聞かれる「DX=デジタルトランスフォーメーション」について、社員食堂に特化した画像認識AIレジシステムを開発しているNTTデータ ルウィーブにおうかがいし、社員食堂におけるDX化についてお話しをいただきました。
【プロフィール】
木村 洋介(KIMURA,Yosuke)/NTTデータ ルウィーブ株式会社 ISソリューション事業本部 ソリューション開発部所属 プリセールス
2012年入社。金融事業のメガバンク向けシステムの営業職、開発職を経て新規ソリューションを生み出すソリューション開発部でプリセールスを担当(現職)。CoolRegiプロジェクトの立ち上げから参画し、CoolRegiの販売や、AIやクラウドを活用した社員食堂のDX化に向けた提案で活動中。
奥西 亜沙子(OKUNISHI,Asako)/NTTデータ ルウィーブ株式会社 ISソリューション事業本部 ソリューション開発部所属 エンジニア
2009年入社。顧客先常駐の保守部門にて保守業務を経験後、Cisco機器の契約管理業務を経て2018年よりソリューション開発部にてCoolRegiの導入、及び保守サポート業務を担当。(現職)
【会社概要】
NTTデータ ルウィーブ株式会社
1961年に日本オリベッティ株式会社として創業。その後、親会社の変更により、ジェトロニクス株式会社、エヌ・ティ・ティ・データ・ジェトロニクス株式会社と社名を変更し、2021年にNTTデータの100%子会社となり、現社名に。事業領域は金融機関向けシステムソリューションから一般企業向けITインフラソリューションまで幅広く提供。ITインフラソリューションとしては、Cisco Gold Partner認証ベンダーであり、直近ではクラウドを利用した社食レジシステムの他、会議室予約システムなどオフィス周りのDXソリューションなどのラインナップを持つ。資本金4億9千万円、従業員数 597名(2021年4月1日現在)、本社所在地 東京都千代田区。
公式ホームページ:https://www.nttdata-luweave.com/
レジシステム CoolRegi (クールレジ):https://coolregi.nttdata-luweave.com/
ーー最近よく耳にするDXとは何でしょうか?
木村 DXとはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション 以下DX)の略称です。Transformationは変容という意味で使われ、デジタル技術を使って生活やビジネスをデジタルに変容していくことをデジタルトランスフォーメーションと言います。
身近なものでは、銀行口座の開設から取引までオンライン上で行えるインターネットバンキングや、映画や新幹線などのチケット購入をオンライン上で完結できるシステムなどもDXと言えます。
ーー社員食堂におけるDX化の現状について教えてください
奥西 コロナ禍になってコンビニでもタッチパネル式のセルフレジが目に付くようになりました。それは、キャッシュレス決済が当たり前になったことも要因の一つと思われます。社員食堂もキャッシュレス決済を取り入れるところは増えてきていますが、レジシステムとしては対人型のレジシステムを使用しているところの方がまだ多くあります。
コロナの影響もあり、衛生面なども考慮し、セルフレジなど非対人型のレジシステムに移行を検討されているお客様からの問い合わせも多くいただいております。しかし、それをDXと理解されている方は少ないように感じています。
ーー社員食堂におけるDX化の事例を教えてください
木村 当社の非対人型のレジシステムの一つに画像認識AIレジシステムがあります。画像認識AIレジシステムは名前の通り、画像を認識して支払金額を算出するレジシステムです。
社員食堂の精算方法は大きく食前精算と食後精算に分かれており、画像認識AIレジシステムは食後決済型のレジシステムです。食堂の利用者は提供台から食べたいものを取り、食事をした後で画像認識AIレジシステムへ向かいます。食後のお皿を画像認識AIレジシステムのカメラにかざすと、瞬時にお皿の画像を読み取り食べたもののメニューを判別、支払い金額を算出します。
食堂の利用者は、食前にレジに並ぶこともないため、料理を出来立ての状態で召し上がっていただくことができます。食前にお金などに触れることもないため、コロナ禍における感染リスクの低減にも繋がります。
支払方法はキャッシュレス決済を取り入れており、売上金やメニュー別の出荷数などもすべてクラウドで管理することができます。食堂運営者様は現金の売上金の確認や入出金といった業務もなくなるため管理業務にかかる時間を削減することができます。報告書に入れるためにレシートのジャーナルとにらめっこすることからも解放されます。
導入事例:食器買替えコストが半減!食器2000枚の確認作業から解放 | レジシステム CoolRegi (クールレジ) (nttdata-luweave.com)
ーー多くの社員食堂が導入している、お皿にチップをつけるRFID方式との違いを教えてください
奥西 RFIDレジは食器画像を識別する当社画像認識AIレジシステムと同じ非対人型のレジシステムで食器の裏にメニュー名や金額などの決済情報を登録したRFタグを貼り付け、電波を用いてタグ情報を読み取って支払金額を算出するレジシステムです。一般的には回転寿司などで同じシステムが使われており、お皿の下に取り付けられているRFIDを店員さんが専用の端末をかざして読み取って支払金額をその場で算出しています。
実際にRFIDレジを使用していた食堂様のお話では、1~2枚程度お皿が重なっている状況でもタグ情報を読み取ることができるため誤認識はほぼなく、高い認識率を持っているそうです。しかし、RFIDに決済情報を登録されているため、金額などを修正する場合には1枚1枚修正しなければならないため手間だという話を聞きました。また、お皿が欠けた場合だけでなくお皿からRFIDが外れた場合も食器として利用できなくなるため買い替えが必要だそうです。
ーーDXにより社員食堂はどのように変わっていくのでしょうか
木村 商品を購入した際の支払方法は現金からキャッシュレス決済へ当たり前に変化し、売上管理もクラウドなどシステムで管理されるのが当たり前になってきています。クラウドにある売上データは単なる売上金額の管理だけでなく、AI技術を使って過去の売上や天候などから社員食堂の喫食数を予測するといったことにも使えます。
喫食数の予測ができれば、無駄な食材を使うこともなくフードロスを削減することにもつなげることができます。フードロスの削減はSDGsの12番目の目標「つくる責任、つかう責任」の中の目標の一つである「2030年までに小売·消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品廃棄物を半減させ、収穫後損失などの生産·サプライチェーンにおける食品の損失を減少させる」ことにも繋がります。社員食堂運営者様も様々な方法でフードロス削減の対策をされていると思いますが、レジシステムを使って社員食堂運営者様の力になれればと思っています。
不特定多数の人が触ったものに触れることを避ける傾向にある今、感染症対策としてセルフレジを取り入れているところも多くありますが、メニューや決済方法を選択するタッチパネルは不特定多数の人が触れ接触感染の原因になりうる可能性があるものです。
その点、「非接触タッチパネル」は利用者がタッチパネルに触れることなくタッチパネルの操作ができるシステムです。キャッシュレス決済と非接触タッチパネルを使用したレジシステムを組み合わせることで完全タッチレス決済が行え、感染リスクの低減に寄与することができます。
スマートフォンや駅の券売機、レジシステムなど街中で見かける多くのシステムがボタン式からタッチパネルに変わってきたように、タッチパネルも非接触式のタッチパネルに今後変容していくことでしょう。そういったことが社員食堂でも当たり前に行なわれるようになっていくでしょう。そういった衛生への感度なども、社員を大事にする会社として「選ばれる会社」になっていくと思われます。
ーーこれから社員食堂でのDX化が進んでいきそうですね。ありがとうございました
(聞き手*社食ドットコム編集部/文中敬称略)
レジシステム CoolRegi (クールレジ)
https://coolregi.nttdata-luweave.com/
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