厨房機器メーカーの中西製作所は、1946年創業の歴史を持ち、特に学校給食向けの大量調理システムで培ったノウハウを強みとしています。高い技術力と研究開発への積極投資で、過熱水蒸気機器などに代表される高品質で高効率な調理技術を提供。設計から施工、開設支援までトータルサポートを行い、人手不足解消や衛生管理、省スペース化といった現代の課題に対応することで、未来の社員食堂や給食のあり方を提案する総合厨房システム企業です。今回は厨房機器メーカーの立場から、社食業界について語っていただきました。
【プロフィール】
吉川 日出行(よしかわ・ひでゆき)
株式会社中西製作所 取締役 執行役員 経営・DX統括兼経営企画室長
大学で計算機科学を専攻後にIT会社に入社。その後コンサルタント業務を経て、2020年より(株)中西製作所に入社し経営企画とDXを統括。2023年に厨房業界では初となるDX認定を取得。2025年より取締役執行役員へ就任。現在はM&Aやベンチャー出資も担当。
【会社概要】
株式会社中西製作所
業務用厨房機器の開発・製造を通じ、安心安全で効率的な食環境を提供する東証スタンダード上場企業です。
1946年の創業以来、特に学校給食分野で国内トップクラスのシェアを誇り、社員食堂、病院、外食産業など幅広い分野の「設計」「施工」「開設支援」を行なっています。
東京本社:東京都中央区新川一丁目26番2号 新川NSビル
大阪本社:大阪府大阪市生野区巽南五丁目4番14号
Webサイトアドレス:https://www.nakanishi.co.jp/
1. 効率化と人手不足解消への貢献について
社員食堂は、工場労働者が昼食に困らないようにするための福利厚生として古くから存在していました。高度経済成長期には、交通の便が悪いメーカーの工場等で従業員への栄養補給を担い健康を確保するためのツールとしてもてはやされました。その後社員の嗜好の変化やコスト増を理由に一時期は衰退しかけましたが、2010年頃からIT企業を始めとしたベンチャー企業等が優秀な社員を集めるためのツールとして社員食堂に再注目をし始めました。有名なのはGoogleが朝昼晩いつでもおかわり自由な食堂を導入し、それが優秀な新卒社員を惹きつける一つの要因となった事例でしょう。この時期には日本国内でも、社員食堂を活用してさまざまな施策を展開することが流行しました。その後コロナ禍による社員食堂冬の時代を経て、最近は社員のエンゲージメントを高めるための有効なツールとして再び注目されています。
現代の社員食堂では、栄養がある美味しい食事を提供するだけでなく、社員食堂自体を社員同士のコミュニケーションの場やコネクティッドエリアとして活用する動きが盛んです。多くの社員食堂はビルの中で最も眺望の良いフロアに設置され、勉強会や社内イベントといった社員同士が交流する際にも活用されます。
当社は、昔ながらの工場の社員食堂から、こうした新しいコミュニケーションツールとしての社員食堂まで幅広い社員食堂の企画・設計・施工・運営に関わってきました。社員食堂は人材を獲得するためのツールや、社内エンゲージメントを高めるための重要なツールとして期待される反面、上がり続けている地価やビル賃料、運営するための人件費の高騰や人手不足を背景に、以前よりさらに効率的な運営も求められています。
長年社員食堂に関わってきた当社は、こうした環境変化や社会変化に合わせて、個別に異なるお客様のニーズを汲み、お客様にとってベストな社員食堂のあり方を提案できます。
当社は大型厨房機器を得意とする機械メーカーですが、実はレイアウトデザインを行える設計士を30名以上抱えています。当社がお客様から社員食堂に関する相談を受けた際には、単なる厨房機器を販売するメーカーにとどまらず、実際の食堂スペースも含めた全体のコーディネートを支援してきました。これが他社に比べて高く評価されてきた点であり、社会課題の解決へも貢献してきたと考えます。
たとえば、給食委託業界が直面している大きな問題の一つに人手不足があります。社員食堂の厨房勤務は、各種機器から発生する熱や水蒸気により、高温で過酷な作業環境となり、作業が特定の時間帯に集中します。重労働も依然として残っており、社員食堂のスタッフを雇用するのが困難になっていると伺っています。
近年の先進技術を用いた厨房機器と設計ノウハウを駆使することで、貢献できることは主に二つあります。一つは、先進技術を用いた厨房機器を使用することで、涼しく快適な環境を実現し、調理負担を軽減すること。もう一つは、社員食堂の厨房内での機器配置や調理動線を最適化することです。この二つのノウハウを詰め込んで社員食堂の厨房を設計することで、必要な人員数を最小化し、より直接的な貢献が可能となります。
厨房内での調理動線を最適化する設計は、社員食堂を計画する上で特に重要な事項です。最適な人数で調理できる環境を整えることで、お客様のニーズにこたえることができます。当社が調理エリアから提供エリアまでの調理動線を整理し設計した結果、運営の効率化を図ることができた実例があります。
こうした動線設計は、社員食堂の厨房の中だけでなく食堂全体でも行ないます。利用者全員の食事を混乱することなくスムーズに済ませるためには提供から精算、喫食、下膳とそれぞれのエリアを的確に配置することが必要です。
最後に厨房内の機器ですが、こちらもお客様のニーズに合わせた最適な機器を自社製品に拘らず様々な機器の中からベストなものを選び、最適な配置場所へ設置するトータルシステムでのご提案を行ないます。
ビルの中にはいろいろな設備があり、配管の位置、電源容量、エレベーターのサイズ(大型機器の搬入可否に関わる)、重量、ガス使用の可否など、多数の物理的な制約が存在します。これらの前提条件を踏まえた上で、必要な社員食堂と厨房を作り上げる必要があります。ビルの設計の初期段階から厨房計画が組み込まれていれば問題は発生しませんが、現実には完成した建物にどう無理なく社員食堂の機能を押し込むかという状況での相談も多く見受けられます。
当社の設計担当者は過去に様々なビルの制約条件の元で数多くの社員食堂を設計した実績を保有しており、多数の参考図面がデータベース化されているため、必要な条件を指定することで直ぐに呼び出すことが可能です。
2. テクノロジーと未来の社員食堂・事業所給食の実現
厨房機器メーカーとしての当社の技術は、社員食堂や事業所給食の質的向上にも大きく貢献しています。特に、当社の持つ「過熱水蒸気」という技術は、日本でもトップクラスであると自負しており、これは食品工場や弁当工場などで数百食、数千食を大量に調理する現場で培われてきたものです。この過熱水蒸気を用いた調理法の特徴は、食材の外側を早く加熱し、素早く仕上げる一方で、中身はジューシーなまま保てる点にあります。その結果、これまでになかった、より美味しい料理を提供することが可能になります。一度に調理できる量は限られるものの、とにかく味の良さが際立っている点で評価され、既に導入した社員食堂や事業所給食で料理を口にした方々から好評を頂いております。
当社は以前から、研究開発に対して業界内で最もコストを投じており、売上に対する研究開発率の高さは他企業の追随を許しません。この積極的な投資によって、過熱水蒸気調理機のような新しいコンセプトの機器を生み出すとともに、持続可能性についても長期的な視点で取り組んできました。SDGsが提唱される以前から、省エネや節水には対応しており、過去に、加熱機器では従来機よりも消費電力量を30%削減できる電気フライヤーを開発、炊飯機器では従来機よりもガス消費量を23%削減できるガス連続炊飯機を開発、また洗浄機器では水のリサイクル方式や節水ユニットの採用により従来機よりも使用水量を30%削減できる食器洗浄機を開発してまいりました。
弊社は先を見据えて、今後の社員食堂や事業所給食に求められる姿を、YouTube上で「未来のAI食堂」や「未来のセントラルキッチン」といったビデオで公開しています。こうしたコンセプトビデオは15年~30年先をイメージしたものでしたが、直近では省人・省電力を実現する「未来の給食センター」を目指す上で必要となる機器を具体的にデザインしたビデオも発表しました。こうしたコンセプトの提案力と、それを現実のものにする実現力は、他社を遥かに凌駕していると自負しています。
最近の社員食堂の動きとして、まず挙げられるのが「キッチンレス社食」の流行です。社員食堂を重視する会社が増える一方で、東京や大阪の都心部では地価が高騰し、ビルの面積あたりのコストが急激に跳ね上がっています。社員食堂を充実させたいという思いがある反面、座席数を減らすわけにはいかないため、必然的に厨房のスペースを小さくすることが求められ、厨房の省スペース設計のニーズが高まっています。この課題に対し、当社は厨房のスタッフの動線を最低限にし、無駄な動きをしなくて済むようにデザインすることで対応しています。また、セントラルキッチンで下ごしらえを行ない、社員食堂では最終工程だけを行なうという方法であれば、厨房のスペースと機器を極力減らし、厨房スタッフも少人数で済ませることが可能です。当社はキッチンレス社食では草分けである「ボンディッシュ株式会社」(旧社名:株式会社ノンピ)に出資し資本業務提携関係にあります。
また現在進行中の技術的な進化として、調理ロボットメーカーの台頭があります。全自動で炒め物調理を行なう調理ロボットが開発されており、プロの料理人の調理過程である釜の温度、火加減、調味料や具材を投入するタイミングなどをプログラミングでき、これにより一流の中華料理店と同じような味を再現することも可能です。
こうしたロボットは、そう遠くない将来に社員食堂や事業所給食にも導入されてくると予測され、当社もすでにいくつかのメーカーと共同研究や協業を始めています。このように、これまでの社員食堂や事業所給食のスタイルが根本から変わる、まさに「夜明け前」のような状況にあると言えるでしょう。


3. 社食業界全体の価値向上への提言
社員食堂は、企業の魅力を高めるためのツールとして非常に優れています。社員の満足度に最も直結する項目として、社員食堂は極めて高い評価を得ています。これは、社員が食に対して非常に高い関心を持っていることの表れであり、企業はこの社員食堂をさらに戦略的に活用すべきです。
特に、食堂を単に食事をするだけの場所として捉えるのではなく、多目的な利用を促すことが重要です。社員食堂でセミナーを開催したり、打ち合わせや特別なプロジェクトの場として利用したりと、様々な活動に使えるフレキシブルな「場」として設計することが求められます。会社の中の重要なスペースの一つとして、食堂スペースをどのように活用していくか、いまこそ知恵を絞るべき時です。特に総務や人事の担当者は、この点に着目し、様々なアイディアを出すことで、会社の企業価値向上に大きく貢献できるでしょう。
当社では、社員食堂や事業所給食の設計において極めて高い専門性を持つエキスパートを社内で育成しています。独自の認定制度を設け、社員食堂・事業所給食設計のエキスパートを2名認定しました(他にも学校給食のエキスパート設計者を3名認定)。彼らは、お客様から難しい制約事項を提示されたとしても、「これをこう変えれば実現できますよ」と即座に提案できるほどのノウハウを頭の中に持っています。この専門家を育成するため、当社では設計部全員がテストを受けます。このテストでは、「〇〇という条件で、〇〇という要望の図面を制限時間以内で描くこと」といった課題が出されます。
試験に合格し認定された社員は会社の受付に顔写真付きで認定証が飾られ、月々の手当も支給されます。厨房設計という分野において、このような認定制度を設けて実現し、運用していることは極めて珍しく、お客様に信頼していただくための重要なポイントであると確信しています。
企業の総務部や人事部、給食委託会社や設計事務所などから、早い段階で当社のような専門的な厨房メーカーに声をかけていただければ、設計の話を極めてスムーズに進めることができます。図面の作成だけでなく、厨房完成後の点検・メンテナンスもすべて当社で対応します。
こうした専門的な対応力と、初期段階からの関与が、効率的で質の高い社員食堂を実現し、当社を社員食堂や事業所給食市場でのリーディングカンパニーとならしめている要因だと考えます。
(社食ドットコム編集部)
| 会社名 | 株式会社中西製作所 |
| 所在地 | 東京本社:東京都中央区新川一丁目26番2号 新川NSビル 大阪本社:大阪府大阪市生野区巽南五丁目4番14号 |
| 公式WEBサイト | https://www.nakanishi.co.jp/ |
























