最近の社員食堂は、単に栄養バランスを考慮した食事を提供するだけでなく、社内コミュニケーションの促進や創造的なアイデア創出、午後からの業務に向けてのリラックス促進の場としても利用され始めています。ワークショップやミニイベントの開催、さらにリラックススペースやカフェエリアの導入など、多様な取り組みが展開されています。社員食堂が「食べる場」を超えて、働きやすい環境づくりや企業文化の醸成などに貢献している現状を、今回の特集で詳しくご紹介します。
第3回目でご紹介するのは、社員食堂運営会社であるシダックスコントラクトフードサービス株式会社です。同社は、2024年オイシックス・ラ・大地株式会社とグループ企業を形成しており、社員食堂でのサービスの幅を広げています。同社では社員食堂の受託企業に「キッチンカー」で訪問販売を開始。その目的と効果についてご担当者にお話をうかがいました。
今回インタビューをお受けいただいた方々
【プロフィール】
四宮 諭 (SHINOMIYA,Satoshi)
シダックスコントラクトフードサービス株式会社
事業サポート部
仁井 香花(NII,Kahana)
シダックスコントラクトフードサービス株式会社
事業サポート部
【会社概要】
シダックスコントラクトフードサービス株式会社
給食委託会社シダックスコントラクトフードサービス株式会社では、主に企業、寮、高校・大学などの施設でフードサービスを提供している。安心・安全でおいしい食事を提供するのはもちろん、効率的なオペレーションや付加価値の高いメニュー提案、進化するニーズへの対応などでアウトソーシングのメリットを高めている。
本社所在地:東京都渋谷区神南1-12-10シダックス・カルチャービレッジ
Webサイトアドレス:https://www.shidax.co.jp/corporate/group/shidax-contract-food-service/
1. 御社の取り組みについて教えてください
四宮 弊社は2024年1月にオイシックス・ラ・大地とグループになりました。従来通り主に企業、寮、高校・大学などでフードサービスを提供していますが、今後は弊社の強みとオイシックス・ラ・大地の強みを生かした食の展開を目指しています。今、進めていているのは、オイシックス・ラ・大地の有機野菜などの様々な美味しい野菜を、社員食堂に取り入れ、食のレベルアップを提案していくということです。
素材が美味しければ料理も自然と美味しくなっていくでしょうし、今までご家庭で経験されているオイシックス・ラ・大地の食材の素晴らしさというものを社員食堂で皆さんに味わっていただく、ということを展開することによって、グループ全体が底上げされていくと考えています。
社員食堂を保有する企業様にとっては、野菜をたくさん摂ってもらうことで、従業員様の健康管理にもつながっていくと思います。従業員様に健康で長く働いていただくというほうが、結果的に企業様にとっても良いことにつながっていくでしょう。
そのことが従業員様の仕事の生産性向上といったところにまで将来つなげられると考えており、それを実現するために今仕組みを構築するため、モデルケースでいろいろなところに導入させていただいています。もうしばらくすると本格的な導入が始まっていき、当社のみならず、特に高齢者施設や保育園・幼稚園などでフードサービスを展開するシダックスフードサービス株式会社の受託施設でも、高品質な美味しい野菜の導入を加速的に進めていくことになります。
2. 御社の「社食」以外の取り組みについて教えてください
仁井 2024年度からの取り組みでキッチンカー事業を始めています。この取り組みは、社員食堂や学生食堂で喫食する日常に付加価値を作るため、キッチンカーで非日常感を感じてもらいたいと始めました。既存クライアント様のCS(Customer Satisfaction=顧客満足度)向上、喫食者様のES(Employee Satisfaction=従業員満足度)向上を目的としています。主な出店先としては社員食堂を受託している企業様(社員食堂、工場)だったり、学生食堂を受託している大学様などとなっています。
提供メニューも、普段社員食堂や学生食堂で喫食者様に提供していない、フラッペとかモンブランなどのカフェメニューが中心ですが、季節や場所によってはかき氷を提供することもあります。具体的には大学様だとスイーツ寄りになっていきますし、企業様の場合だと男性社員の比率が高いので、カフェメニューになります。
それぞれのクライアント先で希望されるメニューに違いがあるので、その要望に応えられるようにメニューを開発しています。
このように社員食堂がある中でわざわざキッチンカーを出して提供するのは、デザート系のメニューが中心です。このデザートは基本的には普段利用している社員食堂では提供していないものばかりです。
3. 取り組みの効果について教えてください
四宮 社員食堂ではなく、キッチンカーで提供することによる喫食者様の反応としては、「仕事や学校に行く目的として、キッチンカーも楽しみの一つになってる」といった声をいただいています。「キッチンカーを利用した後、仕事を頑張れそう」と言われるように、非日常感がモチベーション向上にもつながっていると考えています。
この「非日常」というキーワードで言えば、「ライブ感」ということも大きいですね。キッチンカーで行くことによって、普段の社員食堂や学生食堂にはないライブ感を演出することができますし、キッチンカーがやってくるということで、従業員様同士の話題となったり、会話が生まれるということも、普段の社員食堂や学生食堂と違う「非日常」を生み出しています。
さらに、屋外で購入することから、「食堂に行って食べる」という日常を抜け出し、「太陽の下でかき氷をみんなで食べる」というような一つのイベントが生まれます。そのことをSNSで会社や学校の行事としても取り上げられるというところで、いつもと違うシチュエーションを生み出せるのです。
この「非日常感」では、ちょっとワクワクするとか、今日はどんなメニューがあるのかな? といったドキドキ感も相まって、喫食者様の間で会話が盛り上がるということが起きます。
キッチンカーに並ばれてる間に仕事の話ではなく、たわいのない話であったり、このキッチンカーの話題であったり、「何かあったの?」とか「あなたそんなに食べられるの?」などの会話が、コミュニケーションの強化にはつながっていると感じています。
このように、話題性があって、コミュニケーションの強化につながるキッチンカー事業は、出店するごとにいろんな知識と経験・知恵を集めています。そしてお客様のご要望を聞きながら、どんなものがフィックスするのか日々アップデートしています。
その点についてはクライアント様も気にしていて、「CSやESの向上で考え、何かしらイベントを行いたい」という要望を持つクライアント様が増えており、その一つの答えとしてキッチンカーを提案しています。そこで「どれくらい会話が増えたか」というアンケートを行っており、「8割以上」の人から「増えた」という回答を得ています。この結果はクライアント様にも好評です。
まだまだこれからですが、キッチンカー事業は社員食堂や学生食堂を使った CS 向上、ES向上だけではなくて、さらに企業にとって価値のある存在になっていく可能性を秘めていると考えています。
以上、シダックスコントラクトフードサービス株式会社のキッチンカーでは、非日常感を生み出すことでマンネリ化を防ぐとともに、クライアント企業の満足度を高めていました。
(聞き手/社食ドットコム編集部)
会社名 | シダックスコントラクトフードサービス株式会社 |
所在地 | 東京都渋谷区神南1-12-10シダックス・カルチャービレッジ |
公式WEBサイト | https://www.shidax.co.jp/corporate/group/shidax-contract-food-service/ |