「2024年どうなる食堂運営業界」アサヒフード株式会社 代表取締役 関 茂

2024年、コロナ禍を経て社員食堂業界は人手不足という問題に直面し、過去に例のない状況を迎えています。この記事では、業界を牽引する社員食運営会社のトップへの深掘りインタビューを通じて、新しい時代への展望を提供します。持続可能な食材調達から、従業員の健康と福祉を重視したメニュー開発、さらにはAIやデータ分析を活用したパーソナライズされた食体験の提供まで、業界がどのように進化し、従業員の日常生活に革新をもたらしているのか時代が求めているものにどのように対峙していくのか? についてやポストコロナ時代の職場環境における社員食堂の役割と、働く人々の生活品質向上への貢献などに焦点を当て、食堂運営会社が直面する課題とその解決策、未来へのビジョンについても詳細に迫ります。
社員食堂業界の最前線で活動するリーダーの洞察と、革新的な取り組みから、2024年の食堂運営業界の動向を掴んでください。

【プロフィール】
関 茂 (せき・しげる)
アサヒフード株式会社 代表取締役社長。
平成10年3月、個人で現場売店運営などの事業を開始。平成18年5月、アサヒフード株式会社設立、代表取締役に就任。平成24年12月、あさひ屋本舗株式会社設立、代表取締役に就任。平成26年10月、アサヒサイエンス株式会社(現アサヒマネージメント株式会社) 設立、取締役に就任 (現代表取締役)。令和3年5月、アサヒヤ株式会社設立、代表取締役に就任。令和4年4月、 エコーライフ株式会社買収、代表取締役に就任。

【会社概要】
アサヒフード株式会社
2015年4月設立。資本金5,000万円。企業、学校、病院、福祉施設等におけるフードサービスおよび売店の運営管理以外にも期間限定で大型建設現場における食堂・売店・自動販売機の設置、運営管理もおこなっている。その他にも業務用・家庭用エアコンの修理から厨房内換気フードの清掃、厨房機器の修理までを外注ではなく直接おこなう専門部隊も有しており、あらゆるお客様に快適な職場環境をスピーディーにトータルサポートしている。最大の特徴は、大手給食会社では困難な迅速で臨機応変な対応により、お客様のご要望に応じて快適でリーズナブルなより良い環境づくりをお手伝いできること。

本社所在地:栃木県宇都宮市越戸4-3-33
Webサイト:http://www.asahifood.biz

【1】御社の特徴

——社食運営にあたり御社の特徴を教えてください

【関社長】弊社は物流業界や建設業界で、物流センターや建設現場内に社員食堂やコンビニ事業を展開しています。深刻化する人手不足の中、快適な環境を提供し、従業員満足度の向上と離職率の低下に努め、すべての働く人々が働きたくなる環境作りに貢献しています。

弊社では、日々の健康メニューの提供だけでなく、従業員同士が自然と集まりコミュニケーションが活性化する場としてコンビニや売店も運営しています。規模的に設置が難しい企業向けには無人コンビニ(MUJICON)を提案し、従業員の心身の健康を支える環境を創造しています。環境保護やSDGsに関しては、震災復興支援に尽力し、賞味期限の近い食材を日替わりメニューとして提供することで食材ロスを軽減しています。また、社員食堂ではありませんが、羽田空港に出店している自社の外食店舗のスタッフが着用するユニフォームは、障がい者アーティストがデザインし、その購入代金が障害者支援に繋がることで社会課題の解決にも積極的に取り組んでいます。

このように、弊社はこれからの時代の社食運営に向けて、多角的なアプローチで従業員の健康と満足度を追求している社員食堂を目指しています。

【2】食堂運営業界の現在地

——現在の社食運営業界が抱える問題について教えてください

【関社長】現在の給食業界は、いくつかの重大な課題に直面しています。まず、少子高齢化や労働環境の厳しさから人材不足が深刻です。働きやすい環境を整え、待遇改善を図る必要があります。また、新型コロナウイルスの影響で消費者の行動が変化し、テイクアウトやデリバリーサービス、衛生管理、健康志向への対応が強く求められるようになりました。さらに、環境問題への意識の高まりから、プラスチックゴミの削減やフードロス対策が喫緊の課題となっています。持続可能な経営を進めるためにリサイクル可能な素材の使用や余剰食材の有効活用が重要です。加えて、デジタルトランスフォーメーションの遅れが業務効率化の妨げとなっており、デジタルリテラシーの向上やITインフラの整備が必要です。最後に、食材価格の高騰が原価を押し上げており、メニュー価格の見直しや仕入れ先の多様化が求められます。これらの課題に対応するためには、コスト管理の徹底や効率的な運営が不可欠です。

このように、給食業界を取り巻く環境は引き続き食材高騰、人材不足等大変厳しい状況で、大手給食会社を中心に中小規模の社員食堂運営を撤退する傾向があります。弊社は中小規模の社員食堂運営に小回りが利き、ノウハウもあることから強みを有しております。そのためか中小規模の社員食堂を有する企業様より維持継続のためにお声がかかることが非常に多くなっています。弊社の中小規模社員食堂の実績、強みを生かし、できる限りコストをかけずに、効率的に温かみのあるサービスを提供することにより、積極的に受託することを考えています。

【3】今後どうなる? 御社はどうする?

——社食業界の行き先についてどのようにお考えですか?

【関社長】弊社は今後、社員食堂を積極的に受託していこうと考えています。コロナ禍を経て社員食堂を閉鎖する企業も多くありましたが、それは各々の会社の考え方とか、やり方とかが各々違うからですが、それに対して社員食堂業界としてどうするのか、といった答えを発信することはなかったことも一因かと思います。

社員食堂運営会社もそれぞれ長所短所を持っていますから、その手の内を見せたくないのはわかりますが、業界全体を考えた時に、社員食堂の良さの情報発信は必要だと思いますね。

そもそも社食に限らずみんな競争競争で生きてます。競争で生きてるという事は他ではないものを提供したり、他ではできないことを表に出して、自社のアピールをして、それが認められて成果が上がってくるわけです。ですから当然と言えば当然ですが、業界として「今何が必要なのか」、「社員食堂のメリットは何なのか」ということを対外的にPRすれば良いんですよ。

そもそも社員食堂ではクライアント企業の満足度が最も重要です。そのためには何もやらないところはどんどん衰退するわけですよ。一方で「数字ありき」の現状もいかがなものかと感じています。食数が少ない社員食堂だと利益が見込めないから大手給食会社は初めから相手にしないケースが多くあります。

弊社では話を聞くとその先に別のプロジェクトがあったり、大きな工場を作ったり、次の利益につながることもあります。全体を見て利益が出るかどうかを検討し、それでも話が合わないようなら、社員食堂ではなくて弊社の無人コンビニである「ムジコン」に切り替えてもらうなど、相手企業が満足していただける提案をしています。

ただ、ここ最近の傾向ですと、大手の給食会社は比較的強気になっていると感じます。「食堂がないと困りますよね、でも運営するためには人件費も材料費も高くなっていますが、それは仕方がないでしょ」というような立ち位置になっている食堂運営会社もあるようです。

そうではなくて基本はまずお客様に満足していただかなければいけないわけですし、その上で食堂運営会社も商売として利益を出さないといけない。それが今はその順序が逆になっている食堂運営会社が多いですね。これから弊社は、今までと比較してさらに原価を下げる努力を常にして、美味しいものをなるべく安く提供できる仕組みを考えることが必要な時代になっていると考えています。

——ありがとうございました

(聞き手/社食ドットコム編集部)


会社名アサヒフード株式会社
所在地栃木県宇都宮市越戸4-3-33
公式WEBサイトhttp://www.asahifood.biz

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