産業用、民生用電気機器の製造販売を行なう河村電器産業株式会社。同社では本社・生産拠点を含めると全国で5カ所の社員食堂を有しており、それらすべてで福島産のお米を使用しています。
「当社には東北支店(郡山営業所)があり、東日本大震災で被災した従業員がいますし、お客様がいらっしゃいます。そして、当時、東北支店で働いていた社員からは震災当時の大変な状況も聞いています。そういった背景もあり、被災地への思いは他人ごとではないという意識を会社全体が持っています」(同社 コーポレートコミュニケーション室 田中美奈 氏)
このような背景もあったところへ「ふくしま応援企業ネットワーク」という福島の風評払拭に向けた活動の輪を広げる取り組みを知った同社は、福島県産のお米のおいしさを全国へ伝え、さらにほかの農作物に対しても理解が広がり、少しでも福島県に対して継続的な支援ができればと考え、同ネットワークへ参加するとともに食堂で福島産のお米を使用することを決定。全国5カ所の社員食堂で毎日約1,000人の従業員が利用するお米の量は年間約26トンにものぼるため、まず2カ所で今年の4月から、残りの3カ所では5月から使用するすべてのお米を福島県産に切り替えました。
会社では社員にこの活動を理解してもらうために社員食堂内にポスターを貼ったり、社内報やFacebook、社内掲示板で福島米の安全性を伝えたりしています。肝心の味については「以前よりもご飯が美味しくなった」「モチモチしている」「ご飯の甘みがましている」など社員の反応も好評とのことです。
河村電器産業株式会社
愛知県瀬戸市暁町3−8
https://www.kawamura.co.jp/
社食ドットコムにも「社員食堂で地域の産品を利用して欲しい」という相談を受けることは多々ありますが、河村電器産業社のように「積極的に食材を利用して東北復興支援をする」という取り組みは、近年一部を除きあまり耳にしなくなってきており、社員食堂での復興支援自体が風化しつつある感は否めません。
そんな中、社員食堂でできる復興支援例として、同社の取り組みには今後も注目していきたいと思います。