
創立1899年、日本を代表する電機メーカーの一社として、長い歴史と卓越した技術力を誇る日本電気株式会社(以下NEC)。AI(人工知能)や通信、セキュリティなどの技術を活用し、幅広い領域にソリューションを提供しています。NECは創業以来120年を超える活動の中で、先進的な技術や様々な知見、アイディアを駆使し、イノベーションを起こすことで社会に貢献してきました。社会価値創造型企業としてデジタルの力で安全・安心・公平・効率という社会価値を創造し、誰もが人間性を十分に発揮できる持続可能な社会の実現を目指しています。2024年に125周年を迎える同社の本社は東京都港区に設置されていますが、国内外に多くの事業拠点を持ち、「ITサービス」「社会インフラ」などの事業領域でビジネスを展開しています。
今回訪問したのは事業拠点の一つ、神奈川県川崎市にある同社の玉川事業場。この事業場は、同社の先端技術の開発や新製品の創出において中心的な役割を果たしており、その技術力を支える柱となっています。また、玉川事業場は国内外のパートナーとの協力を通じて、グローバルな技術競争力を強化する重要な拠点にもなっています。
2024年4月、この玉川事業場にある社員食堂をリニューアル。食を伴う共創空間「FIELD玉川」となって生まれ変わっています。
神奈川県川崎市にあるNEC玉川事業場。ほぼ中央を南北に分ける道路を境として、北側の「くすのきエリア」と南側の「かえでエリア」に分けられています。画像はかえでエリアにある玉川ルネッサンスシティ。 2023年6月にオープンした、玉川ルネッサンスシティのN棟にあるInnovation Hub。顧客やパートナーも含めた社内外のメンバーが集う場。組織・会社の枠を超えてオープンに意見を交わすワークプレイスとなっています。 それではリニューアルされた社員食堂「FIELD玉川」へ行ってみましょう! 【食堂運営する担当者】「同僚であったりゲストの方とここでご飯を食べながらディスカッションをしたり、交流を深めたりということで、新しい取り組みが生まれるきっかけの場所になってほしいという思いを込めてリニューアルをしました」 「FIELD玉川」は玉川ルネッサンスシティのN棟、S棟の連結廊下のある4階にあり、どちらの棟で働いていてもお昼は一緒になることができる空間となっています。 従来型の食堂スタイルだった以前の社員食堂から、社内外のパートナーやお客様と共創するための施設へと生まれ変わった新しい社員食堂です。 食堂の一角にあるランチミーティングなどにも使える予約制の個室。眺望も楽しめます。 2019年、玉川事業場も含む広い地域に大きな被害をもたらした台風19号。その際に損傷した横浜市の公園デッキの廃材を転用したロングテーブルを設置。当時の苦い記憶を前向きに転換されています。 料理の提供口は、同一フロア内にあるN棟、S棟の2箇所に分かれており、それぞれメニューが異なっています。 【N棟側の提供メニュー】日替わりラーメン、日替わりイベントメニュー、週替わりカレー、うどん、そば、その他各種トッピング。心身の健康に配慮された、栄養バランスや彩りを意識し、食欲をそそるメニューが提供されています。 【S棟側の提供メニュー】日替わりSet A、日替わりSet B、小鉢数種。日本各地の食材を用いた定食セットに加えてバラエティに富んだ小鉢を選ぶことができます。 小鉢も充実。100円から200円まで価格も段階的に設定されています。 健康志向の人が多く、野菜がたくさん摂れるメニューが人気だそうです。 世界トップクラスの顔認証システムを持つ同社。「FIELD玉川」でも2024年秋に顔認証での決済システムを導入予定とのこと。(現在は社員証決済) 食事の提供時間は平日11:30~13:30。場の利用時間は平日7:30~22:00となっています。 利用者が集中する時間帯は12:00~12:30。座席数は全1,098席。1日平均約1,000食が利用されています。 NECグループ社員と一緒であれば、お客さまやパートナーなど社外の方でも利用できます(一般利用不可)。 同僚たちとコミュニケーションの場として活用する人や、サッと食べていくような一人利用の人も。中には朝から業務を行いそのまま昼食もとる人など、様々な利用がなされています。 【取材日のメニュー】飴色たまねぎビーフカレー 【取材日のメニュー】グリルチキンとソーセージのジャンバラヤ 【取材日のメニュー/Set A】長崎県産 大きなアジフライ 【取材日のメニュー/Set B】鶏肉の照り焼き 【取材日のメニュー】甘だれ和風からあげ丼 【取材日のメニュー】かけそば、その他トッピング 「NECが変革を進めていると実感してもらえる空間にしたい」との想いから発案された巨大アート(横幅10メートル以上)。食堂内に3枚あり、それぞれプロのアーティストと社員有志のコラボレーションによる作品となっています。 こちらは「これからも残って欲しいNECの姿」として描かれたNEC玉川事業場近隣の風景。「NECの変わらぬ良さ」や「変わっていく面白さ」が表現されています。 社員食堂に絵を飾るというアイデアは、「真面目な社風もあり、これからの時代にいい意味でNECらしくないものに」という遊び心を取り入れられたものとなっています。 「一番のこだわりは、自ら手を挙げてくれた社員と一緒に考えるという参加型ワークショップの形で作ったことです」と語るのは、このプロジェクトの責任者である総務統括部ワークプレイスグループ 伊集院大樹氏。 【社員の声】「食堂リニューアルに伴って壁の絵をアーティストのかたと一緒に考える企画に参加させていただいて、これから絵を見ながらご飯を食べるのもすごく楽しそうだなと思っています」 【社員の声】「出社した際に上司とミーティングを行なうのですが、食堂だと仕事の話だけでなく、柔らかい雰囲気のコミュニケーションになるかなと感じています」 こちらは食堂の一角にある24時間営業の売店。17時から19時までは酒類の販売も行っており、アペロ(ちょい飲み)での社員コミュニケーションも活発に! 玉川ルネッサンスシティの近くにある日電玉川稲荷神社。こちらは1939年に、当時の玉川事業場の工場長が繁栄を願って建立されたそうです。
まとめ
食事をするだけの場所から、新しいモノを生み出す社員食堂に!
NECでは、玉川事業場の社員食堂を「食を通して社内外のメンバーが組織や会社の枠を越えて繋がりを深め、新たなイノベーションを創出する共創空間」と位置づけています。社員食堂という空間にコラボレーションスペースとしての役割をプラスアルファで盛り込むことが「FIELD」の設計思想であり、先行して構築された東京本社の「FIELD」で培った経験を元に、ワークスペースやイベント会場としての利便性を向上させ、社員に対してオフィスでの活動の選択肢を増やしています。
また、玉川事業場の社員食堂のリニューアルにあたり、ミューラルアート(壁画)という切り口で、NEC社員とプロのアーティストがコラボレーションする取り組みを共創の「生きた実例」として実施することに。さらに、この共創プロセスを動画にして「FIELD玉川」で放映することで、より多くの社員にこの取り組みを知ってもらい、社員自身の共創活動への意識変容のきっかけとすることを目指したそうです。これにより会社が新しい挑戦や共創活動に前向きであるということを環境で示しています。
その結果、「FIELD玉川」は、食を通じて社内外のメンバーが繋がり、新たなイノベーションを生む共創空間として認知されるようになり、さらに食堂にイベント会場としての選択肢や利便性を加えられ、進化を遂げました。通常の執務スペースとは異なる雰囲気を持たせ、社員が業務内容に応じて場所を使い分けることができるようにすることで、場の差別化も図っています。
このように玉川事業場の食堂のリニューアルは、従来の社員食堂から食を伴う共創空間に変わるという大きな変化でした。同僚やゲストと交流し、共創のきっかけとなる場所として設計されていることから、様々な使い方ができるように座席も長いテーブルやソファ席など多様な席が配置されています。また、食堂の利用時間も拡大し、朝から夜22時まで開放されており、社員が作業したり、同僚とのコミュニケーションを深める場としても利用されています。
もちろん、食を通じた健康増進や社員の働きがいを高める目的もあり、健康メニューや健康イベントの提供、外部コンサルタントを招いたメニュー改革やオペレーション改善のプロジェクトなども行われています。
このように、NEC玉川事業場の社員食堂「FIELD玉川」は、場の使い方やイベントメニューの充実を図り、さらに多くの社員が利用しやすく、共創活動を促進する空間として活用されている社員食堂となっていました!
日本電気株式会社
神奈川県川崎市中原区下沼部1753
玉川事業場
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