新型コロナウイルスの影響で、新しい働き方や生活様式の変化が起きています。たとえばテレワークが常態化することは、企業で働く人にとって「社員食堂」の利用度が減ることにつながる···など、社員食堂業界も大きな変化の真っ只中にいます。一方で社員食堂が担ってきたコミュニケーションの場としての役割などが、企業内で大きな意味を持っていたことが判明するなど、あらためてその価値が見直されつつあるという一面も浮かび上がってきています。
そこで社食ドットコムでは、社員食堂を実際に有している企業の社員食堂担当者の方に、社員食堂の現状やそのメリット、感じている可能性などについてお話をうかがい、より多くの企業・人々に社員食堂の「良さ」を発信していただくべくインタビューを敢行しています。
今回ご協力いただいたのは京都府向日市に本社を構えるオムロン ヘルスケア株式会社。同社の宮野さんとオムロン エキスパートリンク株式会社の石生さんに、社員食堂の良さや可能性についてお話をうかがいました。
(聞き手 社食ドットコム編集部:文中敬称略)
【プロフィール】
宮野 彩子(MIYANO,Saiko)/オムロン ヘルスケア株式会社 経営統轄部 総務企画部 健康経営推進グループ/管理栄養士/健康経営アドバイザー
石生 和華子(ISHIO,Wakako)/オムロン エキスパートリンク株式会社 総務センタ エリア統括部 桂川事業所
【会社概要】オムロン ヘルスケア株式会社
オムロン ヘルスケア株式会社/オムロン ヘルスケアは「地球上の⼀⼈ひとりの健康ですこやかな⽣活への貢献」をミッションに、誰でも簡単・正確に測定できる使いやすさと、医療現場からも信頼される精度にこだわり、商品やサービスを開発。⾎圧計や体温計、ネブライザなど、各国の医療機器認証を取得したデバイスと、国ごとに異なる社会インフラや医療システムに対応したサービスを、世界110ヵ国以上で展開しています。
公式ホームページ https://www.healthcare.omron.co.jp/
社員食堂は安心安全を提供しながら営業
Q 社員食堂の現状(稼働状況、コロナ対策など)を教えてください
石生 緊急事態宣言下での在宅勤務や解除後の在宅勤務をベースとした新しい働き方を踏まえて、営業時間の短縮やメニュー数の縮小などの対応をしています。食事スペースには、消毒の徹底・一方向を向いた着席・喫食中の黙食の徹底・テーブルごとの間隔を開けパーテーションを設置するなど万全の感染症対策を行なっています。新しい働き方が定着する中で、食堂利用者は減っていますが、安心安全を第一に営業を継続しています。
Q 社員食堂の担当になって感じている「やりがい」を教えてください
石生 社員食堂の状況を大切にしながら、どうすれば社員食堂の付加価値を高めていけるのかということを考え、社員の力を借りながら実現し、それに対して社員や社員食堂運営会社様に喜んでいただけたときに一番のやりがいを感じています。21年度は事業所として2つの取り組みを行なっています。1つ目は、日本で初めての社員食堂でネクストミーツ社の代替肉を使用したメニューを提供しています。2つ目は若手社員とのプロジェクトであるフードロスの取り組みです。社員の選ぶ楽しみを残しながら、喫食傾向から各メニューの提供数を予測し、ロスを削減することを目標にしており、部門の垣根を超えた人脈形成の場にもなっています。
宮野 職場でのランチタイムは、午前中のリセットや午後の集中力のためにも最高の気分転換の場です。「今日の社食を楽しみに出社してきたよ!」という声を聞いた時は嬉しかったです。食事は仕事面だけでなく、プライベートにも影響を与え、健康のためになくてはならない大切なものです。仕事を頑張っている従業員の健康維持増進に関われることは大きなやりがいだと思います。
Q 社員食堂運営において意識しているポイントを教えてください
石生 今はコロナ禍で多様なメニュー展開はできませんが、社員の人気メニューや季節のイベントメニューの提供も視野に入れ、社員食堂会社様と連携しながら進めています。食堂担当者としてのゴールは、「社員食堂があるから出勤したい!」という出勤の理由の一つになるような、社員に愛される社員食堂です。コロナ禍で経験した、食堂運営の大切さを再認識して、食堂の価値を追求していきたいと思っています。
Q 今後、社員食堂で取り組みたいことは何でしょうか
石生 弊社が大切にしている社員の健康とワークエンゲージメント向上のための健康的なメニューの提供などに加え、社員食堂運営会社様とのパートナーシップの強化、フードロスをはじめとした持続可能な社会への配慮を大切にし、食堂にかかわるすべてにとってのWin-Winを今まで以上に追求していきたいと考えています。
社員の食生活のサポートやコミュニケーションの場として
Q 企業や社員にとって、社員食堂があることのメリットは何だと思われますか?
宮野 コロナ前からもオフィスワーカーは野菜不足が問題でしたが、在宅勤務になってからもお昼は適当になってしまう、もしくは抜いてしまうという話も聞きます。お昼の時間帯は、栄養の消化吸収の良い時間帯で、この時間帯には栄養をたっぷり摂っていただきたいので、一人暮らしや単身赴任者など、特に食生活が乱れがちな従業員にとって、社員食堂は、健康的な食生活のサポートをする場合として大きなメリットだと思います。
コロナ禍で出社することも減って社員同士が顔を合わせる機会も減り、同じテーブルを囲んで会話しながらランチすることはできない状況ですが、会話はできなくても、食堂で姿を見るだけでも個人的に嬉しく思います。
今は、出社とリモートワークとの併用で社員食堂を使用する機会は減っていますが、出社した際には、栄養バランスの摂れたメニューで活力を付けていただけたらと思っています。コロナが収束したら、社員食堂が、社員同士のコミュニケーションの場として復活できたらと思います。