【特別企画】社食運営企業トップインタビュー/「2025年の社員食堂業界展望」【レパスト 西 剛平社長編】

「給食事業は単なる食事提供ではない。家族に食べさせたいと思えるような、真心こもった食事を作り続ける『家事代行業』である」――。こう語るのは、給食会社レパストの西剛平社長。幼い頃から給食事業を身近に感じて育ち、商社での経験を経て事業を継いだ社長が、給食業界への熱い思いと未来への展望を語りました。

働き方改革や健康経営の推進、そして多様化する従業員のニーズに応えるべく、進化を続ける社員食堂。その変革の最前線で陣頭指揮を執る、株式会社レパストの西剛平社長に、お話を伺いました。

【プロフィール】
西 剛平(にし・こうへい)
1963年8月18日生まれ。1987年3月慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、同年兼松江商株式会社(現兼松株式会社)に入社。東京食品本部、アムステルダム支店駐在を経て、1995年現株式会社レパスト入社。2005年代表取締役社長に就任、現在に至る。2017年5月より2021年5月まで公益社団法人日本給食サービス協会会長を務める。

【会社概要】
株式会社レパスト
1955年創業、1960年設立の総合的コントラクトフードサービス企業。社員食堂、工場給食、学生食堂、学校給食、保育園給食、病院・介護施設給食、寮・社宅等多様な立場のお客様の多様なニーズにお応えし、人の心と体を豊かにする「温かみのある食事」を切れ目なくお届けすることを使命として日夜励んでいる。2010年宅配事業の株式会社ストーク、2012年真空調理・惣菜事業の株式会社プチグルメを吸収合併し、事業領域を拡大。横浜中華街の四川料理老舗「重慶飯店」と提携し、同店監修メニューを提供している。また2016年に株式会社タニタ、株式会社タニタ食堂と業務提携し、タニタメニューの提供など健康をテーマとした給食にも注力中。

本社所在地:東京都港区東新橋1丁目9番1号 東京汐留ビルディング14階
Webサイトアドレス:
https://www.repast.co.jp/

Q1. 社長の経歴やご自身について教えてください

西 剛平社長(以下西社長):私は、給食会社の経営者である父と、社員食堂の栄養士である母のもとで生まれ育ちました。そのため幼少期から給食事業を身近に感じ、「二代目」としての道を意識する環境にありましたが、大学卒業後は総合商社へ就職します。食品部門に配属された27歳の時、オランダへ駐在。ヨーロッパの水産物や畜産物、ワインなどの対日輸出マネージャーとしてビジネスを推進。この時期に食品を「川上」、すなわち生産者側の視点から深く学びました。

商社での経験を通し、自らの育った給食事業が食品流通の「川下」に位置することを再認識します。「川下をしっかり押さえているなら、川上と戦略的に提携すれば、新たな価値を生み出せるのではないか?」という思いが募り、30歳頃、商社で骨を埋めることも考えていた中で、父の給食会社への転職を決断しました。

給食会社に入ってからは、部長、役員を経て40歳で社長に就任。約10年間で、外からは見えなかった給食業界の「ルール」や「特徴」を肌で感じることになります。商社時代の大口取引とは異なり、給食は各事業所で日替わりの少量多品種の食材を扱うため、品質維持・向上の難しさを痛感しました。しかし、当時の食管法改正を機に、米などの集約的な仕入れによる効率化を実現するなど、商社時代に培った「物の考え方」や上司からの指導は、会社経営において大いに役立ったと感じています。

食に関していうと、個人的な「食」への情熱は、仕事に留まりません。食べることをこよなく愛し、スーパーやデパートの食品売り場巡りも趣味の一つで、「立ち食いそばや牛丼を語らせたら右に出る者はいない」と自負しています(笑)。

このように、食に対する造詣と、国内外の多様な食文化を肌で感じてきた経験が、今の給食事業への情熱と経営哲学の根幹を成していると言えます。

Q2. 御社の特徴について教えてください

西社長:レパストの事業は、主に社員食堂部門、病院・老人ホーム部門、学校給食部門という、給食事業の主要な3つの分野を全て手がけています。これらに加えて、富裕層向けの配食事業や、一部の定食屋も展開し、多角的に事業を展開しています。これら全ての事業に一貫しているのは、「一見さん」のお客様ではなく、「日々継続して弊社の食事を食べてくださるお客様」に対して、食事を提供しているという点です。それが社員食堂であれ、病院であれ、学校であれ、配食であれ、この考え方は変わりません。

根底にある考え方は明確です。私たちは給食会社ですが、「給食とは何か」と問われたとき、私たちは「外食であるけれども、家事代行業である」と答えています。社員食堂の利用者、病院の患者さん、学校の生徒、配食サービスの利用者、全てにおいて、私たちは「自分の家族に食べてもらいたいと思える食事」を作ることを追求しています。

だからこそ、私たちは単に「売れば儲かる」といったような、食べた人の健康やその後の状態を顧みない食事を作ることはしません。自分の家族に胸を張って食べさせたいと思えるものを、日々こつこつと、そして丁寧に作り続ける。それがレパストという給食会社でありたいという、私たちの揺るぎない経営哲学です。この基本的な考え方に基づき、私たちは日々、お客様のために一生懸命、汗を流して食事を作り続けています。

これは手前味噌かもしれませんが、私自身の肌感覚として、お客様からいただく言葉で圧倒的に多いのは、「レパストの食事は美味しい」というお褒めの言葉です。このお客様からの評価は、会社として最も誇りに思っているところです。たとえ機械を使う作業であっても、そこに「真心」や「丁寧さ」が込められているかどうかは、必ず料理に現れるものです。おそらく皆さんも食事をされたときに、「これは勢いで作ったものだな」と感じる料理と、「丁寧に一生懸命作られたものだな」と感じる料理の違いは、なんとなく伝わるものだと思います。

私たちの料理には、効率性はもちろん大切ですが、それだけではない、手作りの真心のようなものが含まれているのだと自負しています。

Q3. 社食業界の今後について、どのようにお考えですか?

西社長:現在の社食業界は、「安くて美味しい食事」が基本的な提供価値であることは変わりません。しかし、それに加えて、「健康」「ブランド」「物流」「癒し」「安全衛生」といった、いわゆる「ソフト」の部分、つまり付加価値をいかに高めていくかが強く求められていると考えています。

そんな業界が抱える大きな課題の一つは、やはり「人手不足」です。給食事業は労働集約型の仕事であり、人がいなければ仕事が成り立たないという現実は深刻です。一口に人手不足と言っても、二つの側面があります。一つは「人数そのものが足りない」という問題。もう一つは、「人数はいるけれども、その仕事を適切にこなせる能力を持った人材がいない」という問題です。この二つの問題が混同されがちですが、特に後者の「人材不足」は喫緊の課題です。より多くの人がこの業界に入ってきて、一度入ったら離脱することなく、業界内で人材育成が進むことで、真の人手不足の解消につながると信じています。能力的に未熟な人材ばかりが増えても、根本的な解決にはなりません。給食事業の教育は、多くが現場でのOJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)が中心となりますが、本社でも基礎的な教育を実施しながら、現場では、経験豊富な先輩たちの背中を見て、若い人間が学んでいくことがより必要となります。

一方で、ロボティクスなどの機械化も、今後の給食業界を語る上で欠かせない要素になるでしょう。機械の導入は確実に進むはずです。しかし、人間が担う役割は決してなくなりません。人間が今日の明日、突然仕事ができるようになるわけではなく、時間をかけて教育を受け、育成されて初めてプロとして仕事がこなせるようになります。だからこそ、一度入った人材が離職しないような環境を整えることが、極めて重要だと考えています。

給食という事業は、決して派手ではありません。しかし、どんなに華やかな仕事よりも、世の中の人が幸せに生活するために「なくてはならない業種」なのです。私たちはこのことを、社会にもっと広く理解してもらいたいと願っています。給食は、コロナ禍でも揺るがなかった「インフラ」なのです。私たちの食事が、多くの人々の「ライフライン」になっていることを、もっと多くの人に知ってほしい。社員食堂がなくなれば、毎日弁当を作らなければならず困る人もいるでしょう。添加物まみれの食事ばかりになり、健康に悪影響が出たり、精神的な癒しが失われたりすることもあるはずです。必要とされているからこそ、この業界は生き残っているのではないでしょうか。

今後も、この給食事業の必要性を社会全体に広く伝えていくことが重要だと考えます。そうすることで、レパストだけでなく、給食という業種で働く全ての人々が、本人も家族も、自分の仕事に誇りを持てるようになるはずです。もっと誇りを持っていい仕事だと、私は信じています。

「“健康”や“美しさ”の切り口で給食の可能性を広げたい」と語る西社長。

-貴重なお話をありがとうございました。

(聞き手/社食ドットコム編集部)


会社名株式会社レパスト
所在地東京都港区東新橋1丁目9番1号 東京汐留ビルディング14階
公式WEBサイトhttps://www.repast.co.jp/

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