
1934(昭和9)年1月1日に創業したYKK株式会社。ファスナーの世界トップブランドで、2018年度のファスナー年間販売数量は100億本を突破! YKKグループ全体では、ファスニング事業、AP事業(窓など建材を製造販売)を中核としたグローバル事業経営体制で事業展開をしており、72ヵ国/地域に108社のグループ企業を有しています。グループの連結売上は7,657億円(2018年度)となっています。
同社は2015年に東京・秋葉原駅前に新本社ビルが完成。その際に自社運営の社員食堂をゼロから立ち上げていますが、2019年9月で開業4年を迎えた時点で、喫食率は85%以上を維持しているといいます。
それではYKKの社員食堂の扉を開けてみましょう!
創業80年にちなんで名付けられたYKK株式会社の本社「YKK80ビル」。東京メトロ日比谷線秋葉原駅1番出口より徒歩約 1分/JR秋葉原駅 昭和通り口より徒歩約 2分。 一般的なオフィスビルに比べ、エネルギー消費量を60%削減している国内トップクラスの省エネビル。こちらは1階にある総合受付です。 世界的な環境認証LEEDの新築テナントビル部門において、オフィスビルとしては日本初の最高「プラチナ認証」を取得。また米国暖房冷凍空調学会(ASHRAE)が表彰するASHRAE TECHNOLOGY AWARDSでも世界一となる最優秀賞を受賞しています。 それではエレベーターでカフェテリアのある9階へ。ランチタイムは11:45〜13:30。混雑緩和のため4交代制となっています。 「手づくりでおいしいものを」というコンセプトで始まった社員食堂。運営は食堂会社ではなく自社の社員が行なっています。この日のスタッフは21名。 食堂を利用する社員とのコミュニケーションも和気藹々。自社運営ならではのアットホーム感にあふれています。会話の中からメニューやオペレーションを改善することも。 この日の小鉢はブロッコリーとイカのマリネ、かぼちゃの鶏そぼろあんかけ、フルーツなど。 カフェテリア形式となっており、毎日、肉料理、魚料理、サラダや野菜をたっぷり使った小鉢など、栄養バランスの良い食事が摂れるよう配慮されています。 社員食堂は広さ約890平方メートル(食事エリア約570平方メートル、厨房その他320平方メートル)。日当たり良好です。 座席は5つのエリアに分けられており、ボックスシートゾーン(84席)、カウンターゾーン(30席)、フレキシブルゾーン(122席)、カフェスタイルゾーン(24席)、和コーナーの全260席。 ランチタイム(11:45~13:30)以外、ミーティングや社内コミュニケーションの場としてカフェテリアフロアを開放しています。 人気のカウンター席。北陸新幹線が見えます。Wi-Fiや電源も利用できます。 以前の社員食堂のメニューは定食のみだったが、現在の社員食堂では肉・魚・麺など4種類が提供されており、「選ぶのが楽しみ」と社員の満足度も高くなりました。 夏にはメニューの組み合わせにより定食の総エネルギーが 500kcal前後となるヘルシーメニューも提供。また、食物繊維が摂れるマンナンライスや十穀米もチョイスできます。 温かい家庭の味をテーマに、季節(春夏秋冬)毎にメニューサイクルがつくられており、健康と美味しさを追求したメニューづくりが社員に支持されています。 利用時間が重なる同じ職場同士や、同期の社員同士で利用する人が多い。ランチタイムはコミュニケーションタイムでもあり、午後へ向けてのリフレッシュタイムでもあります。 【メインA】ハンバーグ 和風おろしソース 【メインB】タラのバジルフリット タルタルソース 【メインC】豚肉の柳川風丼 【麺】とんこつラーメン 【voice】「魚料理が好きなのですが、栄養バランスを考えて野菜もセットされているんです。ランチタイムにリラックスできるので、仕事に戻るとスイッチオンできます」 【voice】「週に5日、毎日食べています。同じ職場の人と食べることが多いです。社員が運営しているのでアットホーム感がありますね」 【voice】「スタッフがアットホームです。ご飯をよそってくれる時にちょっとした会話もします。日当たりが良いのでリフレッシュできます」 【voice】「外だとバランスをとろうと思うと値段も高くなりますが、社員食堂だと安くて栄養バランスが良いのが嬉しいです」 カフェテリア運営チームリーダーの柿沼さん。「手づくりにこだわり、誰もが楽しみに思え、心身の健康維持にも役立つようなカフェテリア運営を意識しています」 調理長の松岡さん。「営利目的ではないので、食材を自分の目で見て仕入れることができます。生の野菜から切っているのは社員食堂ではなかなか無いのではないでしょうか」 カウンターにはYKK自家農園で栽培している「カフェ・ボンフィーノ」のコーヒーも設置。仕事中も利用できるよう、15時15分まで稼働しています。 半個室スペースもあります。 社員の送別ランチなどにも活用されています。 8月には夏祭り(かき氷)、9月には開業記念イベント、10月はハロウィン、12月はクリスマスメニューや年末感謝祭、3月は年度末感謝祭などイベントも開催されています。 屋上にはエディプルガーデンと名付けられた菜園があり、ハーブや果物が育てられています。社員に希望者を募ってブドウ狩りなども行われています。 本社に隣接しているファスナーやボタンのしくみや歴史が学べる「ものづくり館 by YKK」。開館時間は10:00〜17:00(日・祝・年末年始 休館*)
*イベント開催日をのぞく「ものづくり館 by YKK」では手芸・工作のワークショップ(有料)も開催。詳細はものづくり館サイトを参照
https://monozukuri.ykkfastening.comYKK80ビル1階ロビー内にあるYKKグループの「カフェ・ボンフィーノ秋葉原店」は一般利用も可能。営業時間は8:00〜19:00(月〜金)です。 YKK APがサポートするMADOショップのマスコットキャラクター、玄関の「げんのすけ」(左)と窓辺の「マドレーヌ」(右)
まとめ
自社運営、高い喫食率、低い廃棄率のYKK社員食堂
多くの企業が社員食堂の運営は食堂運営業者に委託することが多い中、あえて自社で運営することを選択したYKK。
社員食堂の計画段階時はヘルシーメニューブーム真っ只中。しかし「健康はもちろん大事だけど、まずは美味しい手づくり料理を食べることができる社員食堂を目指そう」となりました。
「YKKグループは、衣食住に携わったものづくりの会社です。食にあたる社員食堂も、自分たちで食べるものは自分たちでつくろうというものづくりの精神から、自社運営でゼロから立ち上げてきました。ものづくりだからこそ、カット野菜や出来合いのものは使わず、手づくりにこだわっています。」と語るのはカフェテリア運営チームリーダーの柿沼さん。彼女はYKKに入社後、人事、秘書、監査と様々な部署を経て社員食堂を担当することになったそうです。そんな彼女を中心として社員食堂プロジェクトは始動。その際に他の企業の社員食堂での調理経験のある松岡調理長と出会い、現在総勢25名のスタッフがYKK80ビルの社員食堂を運営しています。
さらにアットホームな空間をつくりだすため、運営スタッフ側と利用社員側とのコミュニケーションの潤滑化に注力。特に料理の提供時の声掛けには双方の一体感を生むために“いらっしゃいませ”や“お客様”という言葉は使わず、スタッフ一同、より身近な存在に感じてもらえるように“こんにちは”や“お疲れさまです”と声をかけ、利用する社員に元気や安心感を届けるということでコミュニケーションを図っています。
また見逃せないのがフードロス対策。コスト削減とともに地球環境のためにも廃棄を少なくする工夫として、一定時間経過時の食堂利用者数をチェック。ある時点での利用数に応じてどれだけ料理を追加するかを判断することで、廃棄率の低さを実現しています。
YKKには「他人の利益を図らずして自らの繁栄はない」というYKK精神「善の巡環」があり、YKKグループの事業活動の基本となっています。
社員食堂は社員向けの食堂ですが、こちらでも素材や接客のこだわりを通じ、社員のためにという想いが反映され、社員の満足度を高めているようでした。
東京都千代田区神田和泉町1 YKK80ビル
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