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今回ご紹介するのは、広島県福山市に本社を構えている株式会社キャステム。ロストワックス精密鋳造・メタルインジェクションの技術を用いて医療機器や航空宇宙を始め、あらゆる産業の精密部品の製造販売を行なっている会社です。
近年は著名人の手型の金属製オブジェやポケットモンスター モンスターボール 虫カゴ、『キン肉マン』の人気キャラクターであるロビンマスクの鋼鉄マスク等、世の中にこれまでに無かったグッズや、紙ヒコーキといった取り組みのほか、非破壊検査CTスキャン受託サービス、アグリ事業など、既存の事業領域にとらわれないモノづくりへの挑戦を行なっており、メディアでも取り上げられることも多く、注目の企業です。
次々と新しいカテゴリーに挑戦し話題を集める同社。その事業活動を支える施設の一つとして社員食堂「キャステム食堂」があります。自社の調理スタッフによって考えられたオリジナルメニューは、社員の健康管理だけでなく、午前の疲れを癒し、社員間のコミュニケーションを促したり、リクルーティングに好影響をもたらすなど、単に「食べる」だけの場所ではなく、さまざまな効果を生み出すための施設として活用されています。
それでは同社のキャステム食堂をご案内いたしましょう!
今回訪れたのは広島県福山市に本社を構える株式会社キャステム。JR福山駅から北へ約8kmの場所に位置しています。 オフィスに入ると、いきなり目に飛び込んでくるのが安倍元首相のサイン入り紙ヒコーキ。なにやら「飛んでる会社」の雰囲気が伝わってきます。 他にも10万個以上の販売実績を持つ「ポケットモンスター モンスターボール 虫カゴ」などの自社製品が展示されています。 こちらには地元のプロ野球チーム、広島東洋カープの選手とのコラボアイテムが飾られています。森下投手と栗林投手の頭が花びんになっています。 本人から直接型を採取した金属製の手型や3Dプリンターを使用しフィギュア化する同社のサービス。こちらはボクシングの井上尚弥選手の右拳オブジェ! こちらも同社製。 左は『キン肉マン』の人気超人「ロビンマスク」の実物大マスク、右端は宇宙超人タッグトーナメントトロフィー(右)。他に悪魔将軍マスクやティーパックマンティーカップなども同社の製品です。 こちらは紙ヒコーキが展示されています。同社の戸田社長は日本折り紙ヒコーキ協会の会長であり、滞空時間29.2秒のギネス記録保持者でもあるそうです! 会社の中にある子育てサポートセンター「ひなたぼっこ」。社内で保育士さんが社員の子どもを預かってくれるので、お父さんお母さんも安心! それでは別棟にある「キャステム食堂」へ行ってみましょう!始業開始の8時半から調理が始まります。 利用は2交代制となっており、前半組が12時から12時半、後半組が12時半から13時。座席は約200席です。 食堂利用者は、朝の出社時に注文し入室時に名簿へチェックを入れる事で精算は給料から天引きとなります。 アグリ事業部が沖縄県宮古島で生産しているトマトの即売コーナーも。 平均でも約180食と、在館の9割の社員に利用されています。 この日は月に一度開催されるワクワクイベント「チャレンジデー」の日でスペシャルメニューが提供されます。 取材日のスペシャルメニュー「土佐の藁焼きカツオ丼」。 【今までに提供されたスペシャルメニュー(例)】鰻丼、ステーキ丼、ちらし寿司。その豪華さがネットニュースに取り上げられることも。 この日の副菜は「鶏ごぼう煮」。基本的に主食・主菜・副菜・汁物・自家製ヨーグルトでワンセットです。 社員から「花粉症が改善した!」などと好評の自家製ヨーグルトも用意されています。 【社長に聞きました】「社員食堂を作って、会社の空気が変わりました。以前の冷たい弁当の時はみんな静かに食べていましたが、今は活気があってコミュニケーションを取る場所になりましたね」(戸田社長) 【シェフに聞きました】「『同じ釜の飯を食べる』というコンセプトで自身も楽しみながら、社員の皆さんに食べてもらえるようメニューを考えています」(キャステム社員食堂を切り盛りする社員食堂チームの森下夫妻) 食物アレルギーがある、どうしても食べきれない食材がある、糖質制限をしている、大食い、小食と利用者も十人十色で、その一人一人のリクエストにも可能な限り応えてくれます。 メインが嫌いなものでもカレーがあれば万事解決!との社長の一言により、毎日カレーも提供されています。 10代から70代の幅広い年齢層の社員が利用しています。 食堂は木目調デザインで、自然な雰囲気が演出されており、心地良く利用できます。 海外からの研修生も食堂を利用しています。好みの味に調整できるように卓上には海外から仕入れた調味料が置かれています。 ひょっとして期待の新入社員!? ではなく子育てサポートセンターにいる社員のお子さま。お昼ごはんを一緒に食べることができるので、パパも終始満面の笑みでした! こちらの席は新入社員専用。遠慮してどの席に座ればよいか悩む新入社員も安心、というわけです。 自分の好きな具材をセルフで乗せることができる『DIYかき氷』。フルーツ、抹茶ソース、バターミルククリーム、きなこクリーム、あんこ、白玉・・・とトッピングメニューも豊富。 【社員の声】「入社2 年目です。料理は率直にめっちゃ美味しいです。私は好物が「ジェノベーゼ 」なんですけど、提供される度にさらに美味しくなってるんですよ」 【社員の声】「季節ごとの旬の料理が提供されますし、栄養バランスも考えられているので健康管理になります。休憩時間がしっかりとれることも社員食堂のメリットですね」 【社員の声】「私は食物アレルギーがあるのですが、その食材が出る時は個別メニューを作ってもらえます。また、利用の際は部署の上司と、趣味の話で盛り上がっていてリラックスできます」 【社員の声】「以前は冷たいお弁当で、単に食べるだけでしたが、社員食堂になってからは『今日のメニューなんだろう?』とモチベーション向上につながっている社員が多いと思います」 社員食堂のオフタイムには社内イベントや会議などにも利用されるほか、不定期で終業後には直接社長や役員に言いたいことを言える懇親会も行なわれています。 ほぼ毎日利用する社員たちにとっては、ちょっとした体調の変化も気にかけてくれる、お母さんのような存在の食堂スタッフの方々。ご多忙の中、ありがとうございました!
まとめ
月に一度のスペシャルメニューがヤフーニュースでバズった社員食堂
キャステム食堂の名物といえば、社員も驚くという特別メニューが提供される、月に一度のスペシャルデー。年初からの年明けうどん、成人式・バレンタイン・ひな祭り・入社式・七夕・土用の丑の日・重陽の節句・敬老の日・ハロウィン・クリスマスなど、様々な行事にあわせたイベント食やお祝い膳が提供されます。特に成人式と敬老の日には対象となる社員に手作りのお菓子が用意され、食堂利用者全員でお祝いをするなど、その日は社員食堂がパーティ会場と化するそうです。
これらのスペシャルメニューについては「社長からも予算の枠内で社員のためになることであれば、基本的に何でもOK! と自由にさせていただいています」(社員食堂責任者である森下由教シェフ)とのこと。一般的な社員食堂では難しい取り組みかもしれませんが、決定権を持つことで食堂スタッフもやりがいを覚え、より良いメニュー作りに繋がっています。このスペシャルデーのメニューなどはSNSで公開されることから、ヤフーニュースに掲載されるなどバズったこともあり、社員食堂が「食べるだけの施設」ではなく「企業価値を高める施設」としての役割も担っている好例と言えます。
1日1品提供のメリット
食堂の提供メニューは1日1メニュー提供となっています。これは複数メニューだと社員がどのメニューを食べるのかわからないため、どうしてもメニューを余分に用意しなければいけませんが、1メニューの場合は人数分を用意しておけばよいので「食材のロスを出来るだけ抑える」ことが可能です。その日のメニューがどうしても苦手という社員のためにカレーが毎日用意されていますし、ごはんがたくさん余った時はシェフ特製のチャーハンや焼きおにぎりとして提供、野菜の端材は液肥にして社内の果樹の肥料にするなど、フードロスを減らす工夫を採り入れており、社員食堂におけるSDGsの取り組みにもなっています。
また「同じ釜の飯を食べることによる絆の構築」という狙いもあり、「今日のごはんは何だろうね?」「これは大好物なの!」「明日のごはんが楽しみだから元気に出社しなきゃ!」など、同じメニューを食べることでたくさんの会話が生まれ、社員同士のコミュニケーションが活発になる場所となっています。
社員食堂が会社を変える
「社員食堂を作ってから、食堂で楽しく食べるようになり、社員同士のコミュニケーションが活発になったし、離職率もどんどん減っています。社員食堂の良さを大学の後輩に伝えてくれるようになったこともあり、新卒社員の入社希望者も二、三十人から約八百人となっています。これらはどれだけ関係しているかはわからないけど社員食堂ができてから劇的に変わったので、関係していると思います」と同社の戸田社長も、社員食堂が持つ副次的効果を認識されています。
キャステム食堂のスタッフは、食堂を利用する社員とはほぼ毎日顔を合わせており、好き嫌いなどの食の好みも把握しているので、「食事量が落ちてきていたり、普段と様子が違っていたりするとすぐわかることから社員の心身の健康維持をお手伝いできる」(森下由教シェフ)とのこと。毎日のメニューは栄養バランスを考えて作られるため、コンビニ弁当など好きなものだけしか食べない、という場合と違い、利用する社員の健康管理に役立っていることも社員食堂の大きなメリットの一つです。
近年、そしてこれからの社員食堂は単に「会社の中で食事をする場所」ではなく、企業価値を高める施設として活用され始めています。キャステム社の社員食堂はこのような新しい時代の社員食堂としても注目されていくことでしょう。
広島県福山市御幸町1808−1
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