
自衛隊体育学校は、スポーツを通じて国家に貢献する人材を育成する場所。そこは単なるスポーツ施設ではなく、スポーツの枠を超えた、熱い情熱と使命感が溢れています。国家の威信を背負い、限界のその先へと挑み続けるアスリートたちの聖地です。その創立は東京五輪を目前に控えた1961年まで遡り、日本スポーツ界の底上げと自衛隊員の体力向上を目指し、陸上自衛隊・海上自衛隊・航空自衛隊の共同機関として東京都練馬区の陸上自衛隊朝霞駐屯地内に設立されました。以来、数々のメダリストを輩出してきました。
五輪種目の中で自衛隊活動にも関係する、レスリング、ボクシング、柔道、射撃、ウエイトリフティング、アーチェリー、陸上、水泳、近代五種、カヌーラグビー(女子)の競技11種目で、彼らは日々鍛錬を重ねています。ただ勝利を掴むことではなく、自衛隊員としての誇りを胸に、日本代表として、そして自衛隊員として、最高のパフォーマンスを発揮することを目的としています。
そんな自衛隊体育学校の「特別体育課程学生食堂」(通称「特体食堂」)は、アスリートたちのパフォーマンスを最大限に引き出すための特別な場所です。栄養士が監修したバランスの取れたメニューは、高タンパク、低脂肪を基本とし、各競技の特性や選手の体調に合わせて細かく調整されています。
今回は、自衛隊体育学校の食堂「特別体育食堂」をご紹介します。
陸上・海上・航空自衛隊の共同機関として朝霞駐屯地(東京都)に創設された自衛隊体育学校。自衛隊の体育・格闘指導者を育成する「第1教育課」と夏季競技11種目の五輪選手を育成する「第2教育課」があります。 庁隊舎エントランスには、1964年東京五輪の重量挙げ金メダリストの三宅義信選手から、2024パリ五輪の近代五種銀メダリストの佐藤大宗選手まで、自衛隊体育学校の歴代五輪メダリストの名札が飾られています。 五輪代表や世界選手権メダリストなどは最高位となる「SA級」、世界選手権、アジア大会代表選手は「A級」、全日本選手権3位以内、もしくは国体、全国大会優勝選手は「B級」、と選手は3段階に格付けがされています。 施設内には全天候型トラック競技場、日本水泳連盟公認の50メートル屋内プールをはじめ、各競技ごとの施設や、最新のトレーニング機器を完備した総合トレーニング場、ケア・リハビリ施設、低酸素室などがあります。 【アーチェリー】直径122cmの的を狙い、矢が当たった場所(1~10点)の合計点で競う競技(2等陸曹 河本あすか)。 【アーチェリー】選手は国内唯一の屋内70メートル競技が行える屋内アーチェリー訓練場で練習を行います(2等陸曹 桑江良樹)。 【50mライフル3姿勢】膝射、伏射、立射の3つのポジションで、規定の弾数を撃つ競技(2等陸曹 堀之内 愛)。 【50mライフル3姿勢】ライフルのマラソンとも呼ばれており、男女とも本選の制限時間は1時間30分(2等陸曹 鈴木志佳) 【25mラピッドファイアピストル】真横に並んだ的に向かって決められた秒数内に弾を撃つ競技で、8秒射:5発×2、6秒射:5発×2、4秒射:5発×2の合計60発の弾を撃った合計点数を競います(3等陸曹 武内響)。 【10mエアピストル】圧縮空気を用いた単発ピストルで、1つの的に向かって60発の弾を撃血、その合計点数を競う競技(3等陸尉 山田聡子)。 それでは自衛隊体育学校の生徒専用の食堂「特別体育課程学生食堂」(通称「特体食堂」)に行ってみましょう! 食堂の提供時間は、朝食:0610~0730、昼食:1130~1300、夕食:1700~1830(営業は平日のみ)となっています。 特体食堂スタッフの方々。調理も選手並みの「本氣」で取り組まれています! この日の提供メニューは「A献立」:牛すじカレー、「B献立」スタカレー(埼玉ソウルフード)、「特体献立」:シーフードフライ盛り合わせ、生野菜(サニーミックス) 【特体献立】シーフードフライ盛り合わせ、生野菜(サニーミックス) 【A献立】牛すじカレー 【B献立】スタカレー(豚ひき肉とニラ入りの中華あんかけごはん/埼玉のソウルフード) ふりかけや茶漬け、海苔などは自由に選べます。 【小鉢1】 【小鉢2】 特体食堂では、一般自衛隊員向けの3200kalのメニューに、肉と魚など3品1400kal分を加えた4600kcalの特別食が提供されています。 席数は全108席。1日約260食が提供されています。七夕やクリスマス等には特別メニューが提供されます。 自衛隊体育学校の隊員は赤いジャージを着ていますので、ひと目で分かります。 「特体生」と呼ばれる彼らは、災害派遣や演習訓練といった一般自衛官の任務は免除されています。 自衛隊体育学校の施設で競技大会が開催されることも多いため、その際の会食で「特体食堂」は利用されることも多いそうです。 食べ終えたら自分で下膳口へ。 日本の中枢エリア、1都10県を守る東部方面隊。この東部方面隊33コ駐屯地に市ヶ谷駐屯地を加えた34コ駐屯地がノミネートした「東方ZEPPIN!カップ」のポスターも。各駐屯地の料理も気になります。 日本の中核に位置する東部方面地区は、 【アーチェリー/2等陸曹 居樹佳奈江】「食堂では、違う競技の人たちとも『次の試合いつなの』とか、たわいのない会話の中から 『こういうトレーニングを取り入れてる』といった話もしてます」 【アーチェリー/2等陸曹 藤井望】「食堂の方々も気さくに話しかけてくれたりするので、とても過ごしやすい食堂だなと思います」 【射撃/2等陸曹 堀之内 愛】「栄養が考えられているので、こちらが色々考えるまでもなく楽に食事を摂って好きなものを好きなだけ食べられるのは嬉しいなと思います」 【厨房スタッフ/1等陸尉 小林徹二】「体を大きくするため多くの食事を摂取する隊員もいれば、逆に減量などが必要な隊員がいます。 そのためカロリーの計算等が分かるような形で区分して提供しています」 食堂の壁面には歴代選手の活躍の写真などが多数飾られています。 以上、自衛隊体育学校「特別体育課程学生食堂」をご紹介しました。
まとめ
五輪を目指すアスリートの食を支える、自衛隊体育学校の特別体育課程学生食堂
自衛隊体育学校は、五輪選手を育成する機関です。全国の大学または高等学校で優秀な競技成績を収めた者の中から、主にスカウトによって採用されるという選ばれしアスリート集団だと言えるでしょう。採用時に自衛隊に入隊となり、大学卒業者には2(等陸・海・空)曹、大学院修了者には1曹、それ以外で20歳以上の者には3曹の階級が指定されます。
自衛隊体育学校の「特別体育課程学生」は3段階にランク付けされており、五輪代表や世界選手権メダリストなどは最高位となる「SA級」、世界選手権、アジア大会代表選手は「A級」、全日本選手権3位以内、もしくは国体、全国大会優勝選手は「B級」、となっています。1年単位で入れ替えが行われる厳しい世界です。
この自衛隊体育学校の隊員専用の特別体育課程学生食堂(通称・特体食堂)は、アスリートたちの食生活を支える重要な役割を担っています。1日に提供される食事は朝昼晩合わせて約260食。カレーや麺類、丼もの、ステーキなど、約2,800種類と豊富なレシピから、毎日違うメニューが提供されていますし、選手からのリクエストも積極的に取り入れています。七夕やクリスマスなどのイベント時には、特別なメニューも登場します。
食堂では、安全・安心な食事の提供はもちろん、個々の隊員のニーズに合わせたメニュー作りを心がけています。高カロリーなトンカツか、低カロリーなしゃぶしゃぶかを選ぶことができたり、デザートに手作りのプリンやケーキが提供されたりすることもあります。
この食堂の魅力は、栄養バランスの取れた食事ができることはもちろん、様々な競技の学生が集まるため、情報交換の場としても活用されていることです。食事を通して、隊員たちは互いに刺激し合い、成長しています。
また、SDGsにも積極的に取り組んでおり、食材を無駄なく使用したり、地元の食材を積極的に取り入れたりもしています。
このように、特別体育課程学生食堂は、未来のメダリストの身体と心を「食」で支える食堂でした!
東京都練馬区大泉学園町 朝霞駐屯地
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