
1835(天保6)年、大森屋治右衛門(初代瀧井治三郎)が「種治本店」の看板を掲げて種苗業を展開したのがタキイ種苗の前身となります。1920年に株式会社瀧井治三郎商店を設立、1926年に「タキイ種苗株式会社」に改称しています。わが国の民間企業として初めて交配種を商業化するなど、約180年間にわたって日本の種苗業界をリードし続けている企業です。
タキイ種苗では“「一粒万倍」という言葉を強く意識しています。「一粒万倍」というのは、良いタネからは万倍の収穫が得られるということです。そのかわり、悪いタネをまけばその損害は計り知れないというものです。だから、種屋は信用というものが一番大切です。そういう気持ちを常に持ち続けて、これからも事業を推進していきたい”とのことです。
タキイ種苗の本社には、社食があり京都の山々や、神社仏閣が見渡せます。
※一般の方への利用開放は行なっていません。
1964(昭和39)年に竣工したタキイ種苗本社ビル。JR京都駅から西へ約700メートルという好立地。 本社ビル屋上からは、東海道新幹線や東寺が望めます。逆に新幹線に乗っていると、京都駅近くで同社のビルを見ることができます。 執務エリアではタキイ種苗公式マスコットキャラクターのタキットくんがお出迎えしてくれました! 本館4階には、創立175周年を記念して描かれた、計175の昆虫や野菜などの壁画「Lively Earth」が。 1835(天保6)年、大森屋治右衛門(初代瀧井治三郎)が「種治本店」の看板を掲げて種苗業を展開したのがタキイ種苗の前身。過去の看板が展示されています。 1905(明治38)年には、業界初のカタログによる通信販売を開始している同社。1926(大正15)年に発行されたカタログも現存しています。 さあ、それでは「タキイ種苗 本社食堂」へ。 座席は3交代制。感染症対策のため利用時間に応じて座る席が決められています。 提供されるメニューがディスプレイされています。営業時間は11:30〜13:00。 デイリーメニューは、メイン2種類、小鉢3種類、麺類、カレー、丼もの、デザート、ごはん、味噌汁など。 フードロス対策として、ごはんの量や小鉢、みそ汁など、利用者自身が量を選べるよう、好きな品を選ぶカフェテリア方式となっています。 季節の食材や各地のご当地料理を提供するフェアを毎週実施しているほか、イベントメニュー(ウナギ、茶そば、ご当地ラーメンなど)も不定期で実施。 こちらはパンコーナー。ちなみに2021年の総務省のデータによると、京都人のパンの消費量は日本一とのこと。 座席数は全258席(室内234席、屋外24席)。1日の利用食数は約230食。
利用席数の制限、パーテーション設置、割り箸使用、小分け調味料といったコロナ対策が施されています。コロナ禍では11時30分、12時、12時30分と、3回に分けて利用されています。座る席も利用時間ごとに別の席に座るよう色分けされています。 食堂を利用する従業員は、バランスの良い食事を心がけている方が多いとのこと。仕事がら野菜に詳しい従業員が多いのも特徴です。 午後の仕事に向けて栄養摂取とリフレッシュ。食堂が社内にあると、ランチタイムが有効に使えます。 「黙食」の中、撮影をお願いしたところ笑顔で応えていただけました! 食べ終えたら精算へ。社員証での給与天引きかプリペイド決済で支払えます。 お菓子類も人気。壁のオブジェが気になります・・・。 精算を終えたら下膳へ。コンベア式なので置くだけで洗浄エリアに運ばれていきます。 【この日のメニューの組み合わせ】
ごろごろ野菜とトマトの油淋鶏
スパゲティーサラダ【この日のメニューの組み合わせ】
野沢菜とじゃこの炒飯
たっぷり夏野菜!洋風彩り野菜の焼き浸し【この日のメニューの組み合わせ】
サバの胡麻照り焼き
ゴマ昆布おにぎり【この日のメニュー】
洋梨のプディングケーキ【利用している社員の声】「食堂で提供されたメニューで、自社の品種から作られた食材なんだ、ということが事前に告知されている日があります。その場合は『どんな味なのかな』と興味を持って食べたりはしますね」 【利用している社員の声】「コンビニだと種類も限られますし、結構値段もしますが、食堂だと安くて温かい料理がすぐに食べられるところがありがたいです。デザートもムースをよく食べています」 【利用している社員の声】「以前はお弁当を作って持ってきていましたが、自分の好きなものに偏ってしまうため食堂を利用するようになりました。 ひとつの食材でもバラエティ豊かな調理がされているので、おいしいです」 【利用している社員の声】「独身ということもあり、普段から食堂では特に野菜を積極的に摂るようにしています。今は『黙食』となっていますが、早く以前のように社食でコミュニケーションが取れるようになると嬉しいです」 こちらはチャージ機。プリペイド方式で利用する方は、こちらでチャージして支払います。 自宅でも同じ味を再現できるよう、社食で提供されているメニューのレシピをリクエストできます。 取材日には、カゴメ社とのタイアップ企画「野菜摂取推進プロジェクト」の一環で、「ベジスコアアップ」フェアが開催されていました。 ご案内いただいた広報担当の桐野さん。ご多忙の中、ありがとうございました。
まとめ
自社のタネで栽培した食材を食べることができる社食
タキイ種苗本社食堂で注目したいのが、京都の眺望を望めるテラス席です。社食は最上階にあり、京都の山々や神社仏閣などを望みながら食事をすることが可能なテラス席が用意されています。ここでリラックスして美味しい食事を摂って午後からの英気を養い、より良い仕事を生み出すことができそうです。
社食での取り組みとして「地域貢献」や「社会貢献」も行なわれています。「地域貢献」では関西を中心として自治体連合である関西広域連合が行なう企画「おいしい!KANSAI応援企業」に登録されており、積極的に同エリアの食材使用を行なうことに賛同されています。広報出版部の桐野さんによると「近隣の食材であれば、新鮮なものが利用でき、地元や近隣地域への貢献もできると考えています」とのことです。
また「社会貢献」については、過去の利用実績から、曜日による提供数量の調整を行なうというフードロス削減を取り組まれています。
他にも他社とのコラボによる健康イベントといった取り組みがなされており、従業員への福利厚生はもちろん、「食」を通じて社会貢献のタネまきをしている社食です。
コロナ禍の取り組みとしては、感染症対策として行なわれている分散利用の方法です。従来の社員食堂開店時間は12:00~13:00となっていたことから、利用者は12:00過ぎに集中していました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、社食における混雑対策として、利用時間帯を11:30~(赤)、12:00~(青)、12:30~(緑)の30分ごとに分け、机にはそれぞれ赤青緑のシールを貼って、同じ日に他の人が使用した座席を使用しないという、座席を準指定席化する取り組みを行なっています。
同社では野菜などの種苗を数多く取り扱っていますが、従業員でもなかなかその農産物を自社のタネからできた農産物とわかって口にする機会は少ないそうです。そのため「タキイ野菜DAY」と題して、自社で開発した野菜品種を使用したメニューが提供される日があります。その日は意識的にそのメニューを選ぶ方が多いとのことで、地産地消の上を行く自産自消スタイルというのも同社ならでは、というタキイ種苗本社食堂でした。
京都市下京区梅小路通猪熊東入
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