今回訪問したのはオーエスジー株式会社の新城工場「NEO新城 Zero-One Factory」。愛知県豊川市に本社を構えるオーエスジーは、世界トップシェアを誇るタップを柱に、エンドミル、ドリル、転造工具といった精密切削工具を製造・販売している、資本金122億39百万円、従業員数 連結 7,489 名 / 単独 1,914 名、売上/連結 126,156 百万円 / 単独 52,097 百万円 (2021年11月期)の総合工具メーカーです。アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界33ヶ国に製造・販売拠点を配置し、グローバルな体制を構築しています。
2020年11月、愛知県新城市の旧工場の敷地に高効率で汎用性の高い生産システムを活用することで、世界に類を見ない多品種少量生産を実現する生産能力をもつ敷地面積11万2千平方メートルの工場を新設。超硬ドリル、超硬タップ、ハイスドリル、ハイスエンドミルの生産拠点として月産70万本の生産能力を有し、月当たり約6,000種類、8,000ロットを生産する工場、そして新工場で働くすべての社員が、【現場力を後押しするデジタル化】を活用することで固定概念をゼロにし、今までにないアイデアを生み出し生産性を高めていくことを目指す「NEO新城 Zero-One Factory」として生まれ変わりました。
この工場新設と同時に社員食堂も完全リニューアル。従来の食堂からカフェテリア方式に転換し、「Zero-One Cafeteria」と名付けられています。
社員の健康維持のため、そして「食」からも「新しい発想を導く」というコンセプトを実現するためにリニューアルされた「Zero-One Cafeteria」をご紹介します。
鎖が地球を吊っているかの様に見えるモニュメントが特徴的な、愛知県新城市にあるオーエスジーの新城工場「NEO新城 Zero-One Factory」。 新工場のエントランス。天井から巨大なドリルや床からタップが突き抜けているオブジェにビックリ! 「魅せる工場」として見学者のハートに強い印象を残します。 オフィスで働く社員がグローバルな時間感覚を養うため、同社の海外製造拠点がある国の時間がリアルタイムでわかるように世界時計が掛けられています。 部署を超えた組織横断型のコミュニケーションが生まれることを目指し、デスクはフリーアドレスとなっており、「前日と同じ席に座らない」というシンプルなルールが徹底されています。 壁面の8面ディスプレイで生産状況を一元管理し「視える化」。リアルタイムの情報をベースに生産性向上に向けての適切なアクションを実施しています。 海外の製造拠点のある国の名前が会議室名として採用されています。 USA 、MEXICO、 GERMANY、CHINA、TAIWANなどがあります。内装も各国の雰囲気に合わせて作られています。 こちらが社員食堂「Zero-One Cafeteria」。サイネージでメニューが表示されています。 営業時間はランチ11:30~13:05(コロナ対策で3部制実施)、夜20:15~21:20となっています。座席数は全363席。 カフェのような開放感のある雰囲気。動線も広く、利用する人がリラックスして食事ができるように作られています。 「お客様が『美味しかったよ』『ご馳走様でした』と言葉をかけてくれる時が嬉しいですね」と語る社員食堂運営スタッフの方々。 メニューは毎日27種類、様々な本格的ライブクッキングメニューが提供できるように用途に合わせた入れ替え式の厨房機器が揃えられています。 6角形の形が特徴的なアイランドコーナーには小鉢、サラダ、人気のスイーツや焼きたてパンが置かれており、ご飯は健康米、味噌汁は減塩タイプも選べます。 10種類以上の小皿メニューが華やかに並び、選べる楽しさがあるショーケースコーナー。 食堂のオープン時間に合わせて用意される焼きたてパンコーナーもお楽しみの一つ。 人気のスイーツメニューは専用のショーケースに並びます。中にはご利用者の3割近くが食べるスイーツもあるとか。 「みなさんの笑い声が聞きたくて、月イチイベントを二人でわいわい考えています」と語るのは新食堂の立ち上げ時から切り盛りするママさんコンビの山本店長(右)と鈴木栄養士。 食堂のコアタイムは11:45~12:30。喫食数は昼が約300食、夜は100食が提供されています。 感染症対策として、アルコール消毒やパーテーション、座る方向の統一、パーテーション配置、時間差での分散利用を導入しています。 大きなガラスからは外の様子も望めます。採光も良く食事も進みそうです。 社員食堂は、部署を超えたコミュニケーションが活性化する場所となっています。 低価格で質の良いランチを食べる事ができます。日々の精算の実績から栄養分布分析により健康指導を受けることができます。 ランチタイムは午前中の疲れを癒やし、リフレッシュする時間でもあります。午後からの仕事に向けパワーチャージ! 【この日のメニュー例】「魚介たっぷりのペスカトーレ バジリコ風味」 【この日のメニュー例】「ブルーシーフード サバの塩焼き」「野菜120gたっぷり豚骨生麺ラーメン」 【この日のメニュー例】「鶏のニンニク醤油どぶ漬け唐揚げ」「店長特製 四川麻婆豆腐丼」 【この日のメニュー例】「店内焼きたて 紅あずまカスタードデニッシュ」「新城産やまぶき卵プリン」 食事を終えたら精算機へ。社員証で精算でき、給料天引きとなっていますので、キャッシュレスで利用できます。 精算を終えると下膳エリアへ。トレイを置くだけで自動で洗浄エリアに運ばれていくベルトコンベア式なので楽チン! 【利用している社員の声】「事務所にメニューが掲示されていて、カロリーなどが記載されていますので、健康管理やスポーツやる人にとってはタンパク質が入ってるかどうかを見ることができるので助かってます」 【利用している社員の声】「夏はうなぎの日が毎年あるなど、月に 1 回、季節に合わせた料理が出るイベントがあります。会社でそういう季節を感じながら、楽しく食事ができるのがこの食堂のいいところです」 【利用している社員の声】「ボリュームも調整できるし、値段も非常にリーズナブル。一人暮らしだとどうしても野菜の摂取ができないことがあったりするので、栄養面でもすごい管理がしやすいと思います」 【利用している社員の声】「食は非常に大事で、モチベーションにも繋がります。こういう新しいカフェテリアで食事ができるというのはすごくいいですし、体調に合わせて食べるものをチョイスできるのもいいところです」 メタボ率、喫煙率を減らすという目標を掲げている同社。社員食堂の一角には、誰でも健康管理ができるよう血圧計が設置されています。 工場の食堂というと「無機質な空間に長机が設置されているだけ」というイメージをお持ちの方が多いのですが、「Zero-One Cafeteria」はそんな既成概念を覆す食堂でした。
まとめ
笑顔が生まれるオーエスジーの社員食堂「Zero-One Cafeteria」
オーエスジーは、1996年「地球会社」「健康会社」「環境に優しい会社」 を宣言、さらに2022年度を「安全健康経営」元年として、安全と健康を通して仕事に取り組む環境作りを進めています。そしてそのシンボル的位置付けのひとつが「Zero-One Cafeteria」となっており、従業員の健康はもちろん、従業員同士のコミュニケーションの活性化を主な目的としている社員食堂です。
社員食堂での取り組みとして、「健康は毎日の食事から」との考えから、健康米や減塩味噌汁、野菜多めのバランスが取れたヘルシーメニューなど、日々27種類にのぼるメニューを提供していますし、出来立ての料理を提供できるようライブクック用の厨房機器も設置されています。
また、利用者自身が体調を管理できるようエントランスやイントラネットにて各メニューの「成分・カロリー」を表示していますし、日々の食堂利用実績から栄養分布分析を行なうことにより、より良い健康施策につなげるなど、利用する従業員が食堂を活用することで健康維持・増進できるよう様々な取り組みが行なわれています。
また、広く開放的な空間に大きなガラスから自然光が差し込み、人工植栽の緑を多用することで明るい癒し空間を演出しており、月に一度の御褒美ランチイベント開催や、取引業者のカフェテリア利用、家族交流会などのイベント開催など、「食」というテーマからのコミュニケーションが活性化することで、リラックス、リフレッシュ効果を高めています。
他にもSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みとして「ブルーシーフード パートナー」として海洋環境に配慮したサステナブルな素材の提供や、大豆ミート(代替肉)などの健康を配慮したメニュー、廃棄ロスの削減、地元新城市の食材などを活用した地産地消による地域貢献など、食堂を通じて社会貢献にも取り組んでいます。
同社人事総務部の岡村課長に伺うと、「社員食堂において笑顔になるには料理が美味しいことが必要ですし、『在職中だけでなく退職後も健康であるためには何をしたらいいのか?』 と食と健康を考える場所でもあります。またコミュニケーションも大事で、社員食堂で食べたもので『これ美味しかったよね』『この料理、家でもできるかな』といった話を社員同士や家族と会話できて、その結果、社員や食堂運営業者さん、ご家族、ご友人など、みんなが笑顔になるように、という思いで運営しています」とのこと。
「既存の思考を捨て、逆転の発想で【ゼロ】から【イチ】を産み出す」というNEO新城 Zero-One Factoryの思想を実現するために、従業員もベストパフォーマンスで応えることができるよう運営されているオーエスジーの社員食堂「Zero-One Cafeteria」。一流の「モノづくり」企業の社員食堂は、一流の「笑顔づくり」を実践している社員食堂でした。
愛知県新城市有海字丸山1-2
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