Q3. 「社員食堂の良さ」が広く伝わらないのはなぜでしょうか?
奥村:オフィスフード業界全体の課題でもあると思うんですが、店作りが契約ありきで進んでしまい、本来、店作りで一番重要なポイントである”お客様の立場にたった”店作りやサービス展開ができていないのではないかなと個人的には思うところがありました。
たとえば、私は外食産業からオフィスフード業界に移ってきましたが、まず最初に感じたのが「メニューを美味しく見せよう」という意識が低いことに気がつきました。美味しいものを提供していても、「美味しそう」に見せないとお客様は、魅力を感じません。「伝え方が大事」なのは「美味しさ」だけに限ったことではないですよね。
たとえば、10年前には持っていなかったスマホを現在誰もが持っており、多くの方がそこから様々な情報を得ています。それだけ情報の伝え方が変化しているにも関わらず、「社員食堂の良さ」が広く伝わっていないのは、メニューの伝え方一つ取ってみてもいわゆる紙での告知のみと、時代の流れにあってない可能性はあります。
これは私共の会社も今後の大きな課題と捉えています。目先でできることで今取り組んでいることとしては、LINEの配信サービスを利用したメニューやクーポン券の配信などは弊社拠点でも色々進めております。こういった取り組みを行なうことで社員さんとの距離はやはり縮まりますね。
Q4. 今後の“社員食堂”はどのような方向に向かっていくと考えられますか?
奥村:「単にお腹を満たす場」ではなくなると思われます。
出社した際に人が集まる場の一つの機能として「食」があり、コミュニケーション活性化やイノベーション創出の場として生まれ変わっていくでしょう。
仮にコロナが収束しても、ハイブリッドな働き方は絶対に定着します。要は今まで無駄であったものがコロナによって浮き彫りとなりました。2時間かけて通勤していたその「移動時間」を「勤務」に充てられれば非常に効率的なことは間違いないからです。
では「なぜオフィスが必要なのか」という部分。
我々の業界が取り組むべきはまさにここで「オフィスにおける食事が絶対に必要」という付加価値を生み出せれば、すなわち「オフィスが必要」と企業様に思っていただけます。
これがオフィスフード業界に与えられた使命であると考えます。具体的に言うとそれが「サスティナブル」というキーワードになるでしょう。
いかに持続可能なオフィスフードを提供できるか。それはもしかすると「社員食堂」の枠にとらわれないかもしれません。とにかく多方面から食事の質をあげていくことが必要でしょう。
「サスティナブルコミュニケーションフード」というキーワードのもと、オフィスフードは「変革」して行くのではないでしょうか。
【敬称略】 社食ドットコム編集部 2021.10
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