
今回の訪問先である日本たばこ産業株式会社(英語名: JAPAN TOBACCO INC 以下: JT)は、1985年に前身となる日本専売公社が民営化して誕生した企業で、来年で設立40周年を迎えます。
JTは、グループ全体で130以上の国と地域で製品を販売するグローバルメーカーです。さらにたばこ事業は、2022年たばこ事業をはじめ医薬事業、加工食品事業を展開しており、このうち主力のたばこ事業についてはスイス・ジュネーブに本社機能を設け、日本を含む130以上の国と地域でたばこ製品を販売しています。2023年には、「心の豊かさを、もっと」というJTグループ パーパス(JT Group Purpose)を策定しました。
JTは2020年10月、本社を虎ノ門2丁目の旧JTビルから同じ虎ノ門4丁目の神谷町トラストタワー(26~30階)に移転。2024年に社員食堂もリニューアルし、「&(アンド)」と名付けられています。この社員食堂では、単なる栄養摂取や福利厚生の施設ではなく、JTグループのPurpose「心の豊かさを、もっと。」を体現・体感し、その実現につなげるひとつの重要な施設として位置付けられています。
それではJTの社員食堂「&」をご紹介しましょう。
東京メトロ日比谷線「神谷町駅」下車すぐ。地上38階/地下3階の神谷町トラストタワー。JTはこの26〜30階に入居しています。 エレベーターで30階にある同社の受付へ。天井のライトは空をイメージしており、時間帯によって色が変わります。 早速、食堂「&」に向かいましょう。名称の由来は、「食」を真ん中に、色々な人やものが集まり、イノベーションの種が生まれる場所になるように、「つながる」という意味が込められているそうです。 デジタルサイネージでその日のメニューが紹介されています。(自席でイントラネットでも確認可能です) 食堂「&」スタッフの名前入り似顔絵が飾られています。食堂スタッフとの「つながり」が感じられます。 取材日は七夕ウィーク。オープンスペースには笹飾りが飾られ、期間中はスペシャルメニューも提供されています。 食堂の営業時間は11:30から13:30。カフェの営業時間は8:30から18:00。1日の利用食数は約400食弱。 座席数は約300席。天井も高く開放的な空間となっています。 社員が「出社したくなる」「会話に花が咲く」「新しい気付きが得られる」といったきっかけ作りとなるように位置付けられています。 食堂には隠し部屋的な席も。右手にはハンモック席があります。 食堂の麺類はすべてグループ企業のテーブルマーク株式会社製品が使われています。 一番の人気メニューは、毎日完売する数量限定のA定食。老舗鮮魚店が目利きをして選んだ日替わりの魚や、日本各地の多種多様な米、有機肥料使用の旬の野菜が使用されています。 こだわりの食材使用の小鉢。この日は「かしわ天」、「かぼちゃとビーツの天ぷら」、「有機野菜のサラダ」、「ミートボール」、「冷やし茶碗蒸し」、「オクラ入り厚焼き玉子」など。 利用者に大人気の特製ドレッシング。この日は「シーザードレッシング」、「すりおろし人参ドレッシング」。おいしい野菜が一層おいしくなるそうです。 メインメニューは「日替わり定食 」A ・B ・C、「丼ぶり」、「そば・うどん」、日替わり麺、「日替わりカレー」の8種類。 欧風ビーフカレーはセルフスタイル。 社員が食堂に集まり始めました。コアタイムは11:45〜12:35です。 社外の方々の利用や、会議、ワークスペースとしての利用なども想定し、さまざまなタイプの座席が用意されています。 食堂の利用率は出社した人の約8割という高さ。「部署やチームで訪れ大人数で一緒に食事をする人が多い」とのこと。 【七夕イベント】取材日は七夕ウイークイベントが行なわれており、社員の方が願い事を短冊に結びつけていました。 【七夕イベント】小鉢コーナーでも笹が飾られ、短冊に願い事が書かれていました。 【七夕イベント】カフェでも七夕特別メニューとして、「七夕フルーツゼリー」が提供されていました。 【取材日のメインA】「千葉県産キスの天ぷら」 【取材日のメインB】「ハーブ塩豚のラタトゥイユ添え」 【取材日の丼】「鯛そぼろの混ぜ寿司」 【取材日のパスタ】「冷しゃぶとオクラの冷製パスタ」 【利用者の声】「私はグループ企業で、今日は本社に打ち合わせで来ています。食堂は開けた雰囲気で、いろんな人とコミュニケーションを取ることができるので素敵だなと思いました」 【利用者の声】「自分で行くとラーメンとか牛丼みたいなものになりますが、自然とバランスの取れた食事が取ることができるので健康的だと思います」 食べ終わったら精算機でお支払い。社員証、交通系カードで精算されます。 こちらはカフェエリア。各種ドリンク、おにぎりやマフィンなどの軽食を利用できます。テーブルマーク社「BEYOND FREE」のプラントベーススイーツも食べられます。 【食堂の管理担当者】「 弊社では『心の豊かさを、もっと。』という企業のパーパスを打ち出していますが 、その実現に向かって食堂が活きるように、手作りの美味しさや、素材へのこだわりを大変重要視しています」
まとめ
食を通じて「つながる」を実現する、JTの社員食堂の取り組み
食堂「&」のこだわりは、以下の5つに集約されています。
- 地域に根付く伝統的製法で作られたシンプルな調味料を使用し、素材の味を活かすこと。
- 有機栽培を基本とした旬の野菜を選び、バランスよくメニューに取り入れていること。
- 手間を惜しまずに一つひとつ丁寧に作ることで、おいしさと温かみを大切にしていること。
- 生産者が丁寧に作った食材とその想いを食べる人につなげるため、全国各地の小さな生産者と直接やり取りして食材を仕入れていること。
- 食材の産地や生産者、栄養価などの情報をわかりやすく提供することで、安心して食事を楽しめるようにすること。
このように食堂「&」は、単なる栄養摂取や福利厚生の場ではなく、JTグループの理念を体現し、実現するための重要な施設と位置付けられています。そのため「食」を真ん中に、色々な人やものが集まり、イノベーションの種が生まれる場所になるよう、「つながる」という意味を持たせて名付けられました。
また季節の風物詩や年中行事・風習を「食」を通して「つながる」を表現し、利用者に感じてもらうイベントを多数実施しています。取材日に行なわれていた「七夕イベント」では、つながりの重要性や対面での出会いの貴重さを考えることを狙いとし、七夕のテーマに沿った料理や装飾を施すことで、社員にそのコンセプトを伝えています。
他にも持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みも積極的に行なっており、カフェではマイタンブラーを持参するとカフェドリンクが割引になる、といった環境問題への理解と実践行動の意識を育む活動が行われています。また、オーガニックやフェアトレードのコーヒーを提供し、農園と消費者をつなぐサステナブルで美味しい一杯を愉しめるように配慮しています。
さらにグループ企業の加工食品会社と協業し、植物由来の原材料で作った商品ブランドの取り扱いや、フードロス削減のために賞味期限が近づいている商品の活用も進めているなど、グループワイドな取り組みも積極的に行なっています。
このように、食堂「&」はこだわり食材の使用によって、人と人だけでなく、社会や地球ともつながる社員食堂でした。
東京都港区虎ノ門4丁目1−1 神谷町トラストタワー
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