
1932年、ふそうの名を冠した第1号車、B46型集合自動車を製造した三菱造船株式会社(当時)。その後社名変更・分割統合を経て1964年に三菱自動車工業となり、運輸面で日本の経済成長を牽引するとともに事業規模も拡大。その後2003年にトラック・バス部門と産業用エンジン部門が独立し、現在の三菱ふそうトラック・バス株式会社となりました。
さらに2004年ダイムラー・クライスラー社による出資比率が65%(2011年に89.29%に)となり、ダイムラーグループへ。ダイムラーの商用車事業部門として、小型トラック開発の中核を担っており、2017年にはメーカーとして世界初となる小型電気トラックを発売しました。加えて、ハイブリッドおよび電気トラック開発も進めており、ダイムラー・トラック・アジア(DTA)としてダイムラー・インディア・コマーシャル・ビークルズ(DICV)と協業し、研究・開発、調達、生産、販売の最適化を図っています。2019年7月現在、国内に4つの開発・生産拠点、また全国各地に販売・サービス拠点を有しており、資本金は350億円、年商は7291億6600万円、従業員数10,000人というトラック・バス、産業用エンジンメーカーです。
同社は2019年1月に川崎第1工場へ本社を移転すると、同年4月には社員食堂もリニューアル。各部署から選抜された食堂リニューアルのプロジェクトチームにより、バラエティ豊富なメニューやヘルシーなデリコーナーなど社員の満足度の高い社員食堂が完成しています。それではご紹介しましょう!
三菱ふそうトラック・バス株式会社本社。画像は2018年末に完成した「プロダクトセンター」。丸みを帯びたデザインが特徴的です。 工場では発電のための新しいガスコージェネレーションシステムを導入。発電と同時に発生する熱を効率よく冷暖房に利用することでエネルギー消費量とCO2排出量は5%削減されています。エコですね。 構内のほぼ中央にあるフットサル場。他にもバスケットボールのコートもあります。この場所を利用して社内イベントなども開催されています。 道に迷っていると、セグウェイに乗っている人を発見。「社員食堂はどこですか?」と尋ねると親切に案内していただきました。従業員の方はスーパーグレイトに親切ですね。 無事オフィス棟に到着! 壁からトラックが突き出していますが事故ではありません! ここは外部の方との打ち合わせなどが行われています。 ダイムラーの文字とドイツが中央にある世界地図。オレンジのフロアは社員同士がくつろげるエリアとなっています。 こちらは会議室。各部屋には自社のトラックやバス、工場のある地域の名前がつけられています。 ハンモックやダーツがあるレストルーム。50カ国以上の出身者が社員にいるため、サッカーゲームでは毎日がワールドカップ状態? それでは社員食堂に行ってみましょう。食堂は厚生棟の3階と4階にあり、4カ所の入り口に大型メニューモニターが設置されています。 2019年4月1日にリニューアルオープンした3階の食堂。構想からオープンまで1年半の歳月を要したそうです。 とにかく広い! 3階の食堂の総面積4,152㎡、座席数は1,425席。天井も高く、とにかく広くて開放感があります。 1日の利用数は約1,300食。基本的に生産部門は12:00〜13:00、研究開発など事務部門は12:30〜13:30が利用時間となっています。 3階の食堂は、「LUNCH SET」「PASTA」「CHEF’S SPECIAL」「CURRY」「SIDE DISH」「NOODLE」「DONBURI」「DELI」「CAFE」の9つのカテゴリに分けられています。 こちらはリニューアルの目玉のひとつDELIコーナー。温・冷4種類ずつのおかずや野菜などがグラム量り売りで購入できます。どれを選ぶかも楽しみになっているとか。 「CAFE」コーナーではコーヒーや紅茶、ソフトドリンク以外にも、ハンバーガー、ホットドッグや焼きたてパンも(営業10:00〜16:00)。 こちらの一角はさまざまなタイプの座席が配置されており、外国籍の社員の利用率が高いようですね。 日本以外の社員の出身国はダイムラー本社のあるドイツを始め50カ国以上にも及ぶそうで、外国籍の社員の多さにビックリ! 撮影をお願いしたら、みなさん笑顔でご協力いただきました。 【HOT DELI】さわらの大葉ちーず焼き、ササミフライのオーロラソースかけ、豚ロースと白身フライetc 【SIDE DISH】コーンコロッケ、明太子おろし、ほうれん草のお浸し、茄子の利休揚げ、ブロッコリーマヨネーズetc 【VOICE】「以前の食堂と比べて今はオプションも増え、温かくて美味しくなりました。好きなメニューはそばです。外食するより安いのもGOODですね」 【VOICE】「社員食堂は味も環境も全部よくなって、すごくいい感じで気に入っています。久しぶりに会った人と『ランチ一緒に食べましょう』と気軽に言えるのでコミュニケーションが取りやすくなりました」 【VOICE】「健康に気をつけているので、栄養成分表記やデリコーナーでサラダも摂れるのが嬉しいです。食堂は綺麗になった上、作りたてのものが出るシェフスペシャルなど毎日メニューを見るのが楽しみになりました」 【CHEFS SPECIAL】シュニッツェル(ドイツ料理) 【LUNCH SET B】ハンバーグ トマト&チーズソース 【DONBURI】モリモリ唐揚げ丼 精算方法は食後に交通系ICカードかスマートフォンで。お盆を置くだけで自動決済されるオートレジシステム。交通系ICカードの導入により、社外からのお客様も利用しやすくなりました。 こちらは4階のレストラン。社食には珍しいフルサービススタイル。すべてのメニューにドリンクが付いて、値段は800〜1,000円。 【ふそう御膳】はまポークのソテートマトソース グリル野菜添え 【丼御膳】若鶏の振袖 柚子照りめし 3階食堂にはステージとビックリするくらいの大型モニターが設置されていて、社内イベントや定期的な報告会などに利用されています(画像は実際のイベント時の様子)。 社員食堂と隣接している「フィットネスジム」には本格的な器具が揃えられています。隣にはヨガスタジオや更衣室、シャワールームも備え付けられています。 4階食堂から見た同社の風景。本社の移転を伴う構内の大規模工事は“Campus+(キャンパス プラス)”と呼ばれるプロジェクトで、従業員の労働環境は大きく改善されているようです。 今回ご案内いただいた人事本部の星さん。いろいろとご配慮ありがとうございました。
まとめ
働き方や国籍の違いを考慮した、グローバル企業ならでは、の社員食堂
2019年1月、三菱ふそうトラック・バス株式会社は、JR新川崎駅前にあった本社及び川崎第2工場を川崎第1工場に集約しました。
移転計画の段階で、川崎第1工場には約1,000人が増員となることもあり、社員食堂の利用の問題が噴出。従来は生産現場で働く社員の割合が高かった同社の社員食堂ですが、本社勤務だった経営陣や管理部門や営業部門などの社員が増えることに加え、移動してくる部門からは、ダイムラーの本社があるドイツや、トラック工場のあるインドを始め、50カ国以上にものぼる外国籍の社員が多数在籍していることも加味した新しい社員食堂づくりが必要となっていました。
そこで2017年の秋に各部署から選抜された社員による食堂リニューアルプロジェクトチームが設置されました。プロジェクトチームでは、メニュー増による「選択制」、食堂の利用方法や料理の提供方法の「多様性」、食堂の雰囲気による「楽しさ」、机や椅子など食堂利用時の「快適性」といった4つのコンセプトを掲げ、生産部門と事務部門との求められるメニューの違い、多国籍の社員が満足する社員食堂づくりなどを目指し、他社の社員食堂の見学をして、メニュー、代金の精算方法、ファニチャーの選択など熱い議論を繰り広げ、課題をクリアしていったそうです。
その結果、毎日8種類もの中から選べるデリコーナー、新たに4階にフルサービスのレストランを新設、大型デジタルボードでのメニュー表示、作りたてが食べられるシェフスペシャル、職場の違いによる利用時間のシフト化、精算方式を交通系IC化、カフェでのパンやハンバーガーなどの販売など、従来の社員食堂では補いきれていなかった社員や利用者の要望を取り入れた新しい社員食堂として2019年4月にオープンとなりました。
リニューアルオープンに際し、社員には、社員専用のスマートフォンアプリに新しい食堂の内容を「見える化」して数回にわたり事前に告知。利用へ期待値を高めるとともに、実稼働時の戸惑いを減らすという施作まで行なっています。
同社のシックCEOは「世界各国で大きな変化が起きており、この変化に柔軟に対応していくことが重要になっている。常に新しい現実に合わせていきたい」と語っています。そのために「製品」「プロセス」「人材」といった3つの目標を立てて行動するとし、中でも「人材」が最も重要であるとされており、従業員の労働環境を改善し業務効率化が図られています。もちろん社員食堂のリニューアルもその一環であり、社員の反応もその効果の高さを表しているといえそうです。
Mitsubishi Fuso Truck and Bus Corporation
神奈川県川崎市中原区大倉町10番地
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