
自然豊かで、伝統文化や歴史が深く根付いており、出雲大社などの神社や世界遺産にも登録されている石見銀山などが広く知られている島根県。
中海 (なかうみ)・宍道湖(しんじこ)と いう国内5番目・7番目の広さの汽水湖があり、農業や漁業が盛んで、特に日本海に面した地域では新鮮な魚介類が豊富です。
東部地区は、米・畜産、野菜が農業 産出額の上位を占めているほか、基幹的な果樹、花き等の生産もされています。また、西部地区は、海岸部では浜田漁港を中心に水産が、農業では肉用牛・酪農などの畜産物の生産や野菜・ 果樹などの栽培が盛んです。
大小約180の島々がある隠岐地区は、水産業を中心にイワガ キ等の特産品や地域の特色を生かした 米・畜産(肉用牛)の生産が行われています。
今回訪れたのはそんな島根県の行政の中心となる島根県庁。隣接する国宝・松江城はもちろん、県庁の建物自体も地域のランドマークとしての役割を果たしており、モダンな建築スタイルと伝統的なデザインが融合しています。職員用の食堂は地下1階にあり、職員の健康維持管理を担うだけでなく、豊富な地元の食材を提供し、地域の農林水産業の活性化に一役買っています。
JR松江駅から北西へ約2kmに位置する島根県庁。2019年、島根県庁舎議事堂と県庁第3分庁舎とともに国登録有形文化財となっています。 島根県庁は日本に12城しか残っていない現存天守の一つである松江城の城内にあります。 それでは島根県庁の中に入ってみましょう!1959年1月25日に完成した本館は地下2階、地上6階、塔屋2階、議事堂は地上2階一部3階の鉄筋コンクリート造りで、延べ面積6,432坪です。 ご案内いただくのは地方職員共済組合島根県支部の石倉事務次長、しまねっこ(島根県観光キャラクター)、山本物資部長(左から)。 県庁の中庭にある、昭和の京都の代表的作庭家の重森完途が設計・作庭を担当した枯山水庭園。 県庁本庁舎屋上からの眺望。南側には宍道湖が望めます。 さあ、それでは地下一階にある職員食堂「スワン」に行ってみましょう! 「スワン」の由来は隣接する松江城のお濠に白鳥がたくさんいたことから名付けられたとか。 食堂を管理する地方職員共済組合島根県支部の佐々木物資部長代理とホールマネージャーの石川さん。「スワン」のことなら何でも知っているお二人です! 提供されるメニューは日替わり3種類(スワンランチ、美食ランチ、おすすめランチ)、美肌県しまねランチ (毎月第1金曜日) 、季節メニュー、その他の単品メニュー (16種類)、喫茶メニュー(4種類)。 利用者は食券を購入します。紙幣は1000円と2000円のみ対応。メニューの種類が多いので悩んでしまいそう。 営業は平日のみ。8時30分から10時までが朝定食、9時から11時までが喫茶 メニュー、11時から14時までが昼食メニューとなっています。 県庁職員が昼休みとなる12時から人が続々とやってきます! 12時から12時20分までは大変混み合います。一般のかたも利用可能ですが、混み合う時間は避けたほうがよさそうですね。 食堂では利用者の注文を受けてから速やかに料理を提供することを意識されているそうです。 コロナ禍で座席数を間引いており、取材時の座席数は 91席。喫食数は1日平均約200食とのこと。 席を間引いたことから、従来と比較してゆったりと座って食事ができるようになっています。そのため利用者の満足度は向上しているそうです。 こちらはカウンター席。利用する職員の特徴として「食べ終わるのが早い職員が多い」とのことでした。 2030年に島根県で開催される「第84回(2030年)国民スポーツ大会(現:国民体育大会)及び第29回全国障害者スポーツ大会(愛称「島根かみあり国スポ・全スポ」)」を背中でPRしている職員さんの姿も。 食堂の壁面には美肌県しまねランチの予告や島根県の健康への取り組みについてのポスターが掲示されています。 食堂では島根県産の「コシヒカリ」が使われています。 【取材日のメニュー/おすすめランチ】トリカラ定食 【取材日のメニュー/美食ランチ】鶏肉のチリソース煮込みランチ 【美肌県しまねランチ】雪花菜(おから)フライ定食 【取材日のメニュー/スワンランチ】白身魚の竜田揚げ定食 【取材日のメニュー/単品メニュー】カツカレー 【取材日のメニュー/単品メニュー】割子そば 【利用者の声】「野菜が結構入っているっていうのはすごく思います。かなり島根県産のものが使われていて、今日食べたメニューでも(島根県産)キャベツがしっかりたくさん使われていて、すごく美味しく食べさせていただきました」 【利用者の声】「県の取り組みとして、『美肌県しまね』というテーマで観光 PR をしています。その中で美肌県しまねランチという地元の食材や健康にいいものを使ったメニューを提供してくれていますので、それも楽しみの 1 つです」 島根県隠岐の島町に属する竹島の問題について、より一層の啓発活動を行うため、2007年4月に開設された竹島資料室。第3分庁舎内にあります。 【特別メニュー】竹島海鮮カレー。竹島の問題に関心を持ってもらおうと、当時の隠岐の島町の町長が考案したもの。県庁食堂スワンでは、2023年2月の「竹島の日」の前に初めて提供されました。 【石倉調理長の声】「できる限り島根県産の野菜や食材を使うことを意識しながら、価格に見あったお客様に満足いただけるメニューのほうを考案して提供するように心がけております」 食堂の入り口にある売店「ふまい」。名前の由来は松江藩7代藩主・松平不昧(ふまい)から。お弁当やパン、各種ドリンクをはじめ、お菓子やお土産まで幅広い品揃え。島根県の情報が満載の島根県民手帳も購入できます。
まとめ
県や市町村とのコラボメニューなど、秀逸なメニュー構成の島根県庁職員食堂「スワン」
島根県庁の地下1階にある職員食堂「スワン」。こちらの利用者は主に県庁の職員が利用していますが、一般のかたの利用も可能です。
食堂を運営しているのは地方職員共済組合島根県支部。地方職員共済組合は「地方公務員及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するとともに公務の能率的運営に資すること」を目的として設立された組合で、その島根県支部が運営しており、食堂運営にあたってのコンセプトは、「ご飯は地元島根県産のコシヒカリを使用している」「混雑する中、利用者の注文を受けてから速やかに料理を提供すること」(地方職員共済組合島根県支部/山本物資部長)とのことです。
提供されている料理も豊富ですが、調理長が考案する「スワンランチ」、栄養士の指導のもと健康づくりを目的とした「美食ランチ」、「美肌県しまね 」として 「ご縁も、美肌も、しまねから。」をキャッチフレーズとした県の観光施策に合わせて、お肌に良いと言われている島根県産の食材を使用したメニュー美肌県しまねランチなど、目的別に食べることができるメニューなども提供されています。このように県の施策との連動企画、市町村との共同企画や季節イベントを行なうなど、「食」を通じて地域との連携など、単に食べる以上の付加価値があるメニュー構成は他の自治体等の食堂ではあまり見ることのないものでした。
他にも職員へのアンケート結果からご飯の量を少なくすることや日替わり定食の品数管理にも注意するなど、フードロスの削減にも努めているなど、SDGsの取り組みもしっかり行なっています。
このように島根県庁職員食堂「スワン」は自治体の職員食堂として、他の自治体食堂も学ぶべきものが多い職員食堂だと言えるでしょう!
島根県松江市殿町1番地
記事の内容は取材および掲載時点の情報であり、最新の情報を反映・担保するものではありません。