
今回訪問したのは、農業、林業、水産業に関する政策を立案し、食料の安定供給、農林水産物の輸出促進、農村地域の活性化などを目的としているほか、森林の保全や水産資源の保護など、自然環境の保全にも力を入れている農林水産省。食料自給率の向上や、持続可能な農業の推進など、現代社会が抱える課題解決のために、多岐にわたる事業を行なっています。
常勤の職員数は、農林水産省13,009人、林野庁4,272人、水産庁959人(令和6年7月1日現在)。職員は全国各地に赴任しており、今回訪問した霞ヶ関の本省では約5千人が日々業務に従事しています。
同省内にはいくつかの食堂がありますが、食の責任官庁の職員食堂として2022年6月にオープンしたのが「あふ食堂」。Agriculture(農業)、Forestry(林業)、Fisheries(漁業) 、and Foods(食品)の頭文字AFFFから名付けられたという、まさに農林水産省の存在意義を表す名称を持つ職員食堂です。「あふ食堂」は一般の方も利用可能となっています。
それでは農林水産省の職員食堂「あふ食堂」をご紹介しましょう!
農林水産省本庁舎本館正面玄関。地下鉄(丸ノ内線霞ケ関、日比谷線霞ケ関、千代田線霞ケ関 A7出口すぐ)。 入館のコツは警備の方を横目に見ながら、「怪しいものじゃないですよ感」を出しながら中に入ることです! エントランスにある白いソファは待合席。大きなデジタルサイネージには日本各地の農水産物などの紹介がされています。 受付前にあるタブレットに、名前や利用目的といった必要情報を入力します。 タブレット入力を終えたら、すぐ後ろにある受付で本人確認証を提示し通行証を受け取ります。通行ゲートをくぐると、そこはもう農水省! 地下にある「あふ食堂」の前には、同省の取り組みを案内するノボリがいくつも並んでいます。 本館地下1階にある「あふ食堂」に到着です。営業は平日11:00〜14:00。 環境負荷低減に取り組んでいる食材使用推進や、食堂で利用している有機野菜の案内などが展示されています。 食堂内では至るところに「食」に関する同省の取り組みなどの情報が発信されています。 メニューは、週替わりで毎日8種が提供されており、最初に食券(電子決済も可)を購入します。「あふ食堂」では、食料自給率が明記されています。 購入したメニューに応じて配膳口が違うため、提供口の場所が案内されています。青の矢印は「丼・カレー」、赤の矢印は「麺・ヘルシー」の提供口です。 福島県産の白米、国産原料の味噌、沼津港などから直送されるお魚を使用しています。食品ロスを減らすための取組として、ご飯の量は少なめ・半分も選べます。 【スペシャル】と【あふ魚】は小鉢が二つ、【日替定食】は一つ選べます。小鉢3つと白米、汁物がセットのヘルシーな小鉢ランチも人気です。 この日の小鉢は【3色こんにゃく】【ひじき】【ぜんまいと有機人参の煮物】【がんも】【切干し大根】【蓮根のきんぴら】など。 食堂のコアタイムは、職員の休憩時間となる12:00~13:00。 取材した週のお米は社会福祉法人ゆずりは会菜の花の「群馬県産コシヒカリ」、お味噌汁は社会福祉法人くりのみ園の「くりのみの米こうじ味噌」が使われていました。 【週替カレー】ノウフクカレー/この週は「障害がある人をはじめとする多様な人が、農林水産業などの分野で活躍する=ノウフク」のイベントメニューとして、複数の社会福祉法人で生産収穫された食材入り「ノウフクカレー」が提供されました(同時開催/法務省・財務省)。 【スペシャル定食】牛のたたき定食〜雲丹香るソースがけ〜 【日替あふ魚定食】北海道産 鱈の甘酢あんかけ定食 座席数は約170席。1日の喫食数は約350食。営業時間は11:00~14:00(土日祝日及び閉庁日12月29日~1月3日は休み。) 職員食堂なので、農林水産省の職員が多く利用していますが、近隣省庁の職員や一般の方も利用しています。(12:00〜13:00は混み合うので、一般の方の利用は12:00前や13:00以降がおすすめ) メニューには食料自給率が記載されており、農林水産省の食堂ならではの取り組みといえます。ちなみに令和5年度の食料自給率はカロリーベースで38%、生産額ベースで61%です。 国産の食材、有機農産物など環境に配慮した食材、被災地産の食材を積極的に使用したメニューも多く提供されています。 食堂内には大型のデジタルサイネージがあり、同省の取り組みや日本各地の農林水産業従事者の方の紹介などの映像が流れています。 食堂入り口付近は内装木質化されたボックス席になっています。 森林を守るため、森林の過密状態を調整するため、樹木の一部を伐採した間伐材で作られたテーブル。 こちらもランチタイム以外は職員が利用できるスペースとなっています。 給茶機。こちらのお茶は国産茶が使用されています。 【利用者の声】青山 豊久林野庁長官「ここは食材も吟味して静岡県の沼津港から運んでいるって事で、よく利用させてもらっています。 近いですし木材を使ってもらっているスペースですし、そういう意味ですごく落ち着く感じがします」 【利用者の声】(農水省職員)「味はめっちゃ美味しいです。昼休みが 1 時間しかないので 同じ建物の中ですぐ降りて来れて 仲の良い同僚と気兼ねなく喋れてすごいいいなと思っています」 食べ終えたら各自で食器返却口へ持参します。 農林水産省では、「#食べるぜニッポン」という共通のハッシュタグとロゴ画像を使い、水産物の写真をSNS上で投稿していただくことを呼びかける「#食べるぜニッポン」キャンペーンを令和5年9月から始めています。 食堂の一角には、コーヒー(HOT/ICE)、エスプレッソ、アメリカンがセルフサービスで利用できます(有料)。 【食堂管理担当者の声】大臣官房予算課 石山氏「職員の福利厚生施設としての食堂という役割に加えまして、食の責任官庁にふさわしく、職員が食について自分ごととして捉えるきっかけになるような食堂を目指しています」
まとめ
一般利用も可能な農林水産省の職員食堂「あふ食堂」
農林水産省の職員食堂「あふ食堂」は、単なる職員食堂にとどまらず、「食」を通じて職員が食への意識を高め、農業、林業、漁業、食品に関する知識を深めることを目的としています。「あふ」という名称は、Agriculture(農業)、Forestry(林業)、Fisheries(漁業)、Foods(食品)の頭文字に由来しているだけでなく、古語の「出会う」「混ぜ合わせる」「食事のもてなしをする」という意味も含まれています。
「食の責任官庁」である農林水産省の食堂として、国産食材、特に有機農産物や被災地産食材を積極的に使用しており、スペシャル定食、日替あふ魚定食、日替定食、日替麺、週替丼、週替カレー、ヘルシーメニュー、小鉢ランチの計8種類のメニューが提供されています。その食材として福島県産の白米、国産原料の味噌、沼津港などから直送されるお魚を使用しています。
また、メニューには食料自給率を明記するなど、農林水産省ならではの取組を行っています。さらに週替わりのバラエティ豊かなメニューに加え、季節の食材を使ったフェアも頻繁に開催。たとえば、毎年11月には水産庁とコラボレーションし「いいさかなの日」をテーマにしたフェアを実施したり、農業と福祉が連携した「ノウフクフェア」やジビエ(野生鳥獣肉)の普及、需要拡大に向けた「ジビエフェア」、国内で自給可能な食料であるお米・米粉の消費拡大を図る「米粉フェア」を開催したりするなど、食に関する様々な取り組みを行なっています。
木の温もりを感じる内装の中で、ボリューム満点の食事を楽しみながら、食の大切さや日本の食文化に触れることができる農林水産省の職員食堂「あふ食堂」は、農林水産省職員だけでなく、一般の人の利用も可能(※)となっており、多くの人々に食の楽しさを伝える場所となっていました。
※一般利用は平日11:00〜14:00。
※夜時間帯の一般利用はできません。
※定休日:土曜日、日曜日、祝日(閉庁日は休み)
※正面玄関受付にて「あふ食堂利用」の旨を伝え、入館手続きを行って入館してください。
※職員のランチタイム(12:00~13:00)は混雑するため、その他の時間の利用がおすすめです。
東京都千代田区霞が関1丁目2−1
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