
自社販売の商品を社員食堂で! コストを抑えクオリティの高い食材に社員も満足
「自宅でリラックスしているような感覚に」スタッフを大事にする企業ならではの食堂
ヨーロッパ・北米・アジア・オセアニアなどグローバルに出店している世界最大のホームファニッシングカンパニーIKEA(イケア)。発祥はスウェーデンで、日本では2006年4月にIKEA Tokyo-Bay(旧IKEA船橋)が初出店しました。
今回ご紹介するのは、2006年9月に神奈川県横浜市にオープンしたIKEA港北です。
イケアストアでは一般のお客様のためのレストラン・カフェが併設されていますが、コワーカー(スタッフ)にはキャンティーン(Canteen)と呼ばれる社員食堂があります。キャンティーンでは、イケアレストランと同じ食材が振舞われており、スウェーデンと日本の融合した食事が味わえるとか。
それでは早速ご案内いたしましょう!
第三京浜・「港北IC」出口より北(港北ニュータウン方面)へ約1km。新横浜駅から北西方向に約4Kmの場所にあるIKEA港北。 オフィスへのエントランスを入ると、「Hej!」(スウェーデン語で「こんにちは!」)の大きな文字が! テンションが高まりますね。 「より快適な毎日を、より多くの方々に。」
出社したスタッフは、毎日この文字を見てから仕事がスタート。職場へ通じる通路の壁面は、スタッフへの連絡事項があちらこちらに。日々目にすることでイケアのビジョンが浸透しそうです。 「地球をよくする暮らし」をイケアスタッフで実践しよう! と呼びかける地球のモザイク。拡大するとスタッフの顔写真で作られています。 こちらがキャンティーンとよばれている社員食堂。1日の利用数は平日で約120食(週末は300食弱)。IKEA港北のスタッフ人数は全部で約420名。 「ヌードル&パスタ」(単品250円)と「ランチ ビュッフェ」(サラダボウルとスープ付き370円)に動線が分かれています。 こちらは「ヌードル&パスタ」コーナーと、イケアストアで販売している商品をスタッフが購入できるSFM(スウェーデン・フード・マーケット)コーナー。 「ランチ ビュッフェ」コーナー。この日はイケアレストランでサーモンフェアを開催しており、同じメニューがキャンティーンでも食べられるようになっているとのこと。 ホームファニッシングカンパニーだけあって、机やイス、照明などすべて自社で販売している商品を使用しています。 お客様に販売しているものと同じ豆を使用しているコーヒー(無料)。コーヒー農園の労働者の生活環境が保証されている「UTZ Certified」取得の豆を使用しています。 スウェーデン発祥の企業ということもあり、メニューはサーモンやミートボールといったスウェーデンを感じられる食材を提供するようになっているそうです。 女性に人気の「ランチ ビュッフェ」コーナーのサラダ。 イケアで取り扱っている食材がどのように作られているか、温室効果ガスをどれだけ抑えた商品か、といった地球環境に優しい食材であることがわかるディスプレイ。 サーモン、ミートボール、ベジタブルボールは、世界中のイケアストアで共通のメニューとなっているそうです。 「手軽に食べることができるように」とのスタッフからの要望で導入されたパンやサンドウィッチ、ケーキ、おにぎりなど。ソフトドリンク類も用意されている。 イケアストアのデザイン部門のスタッフが、キャンティーンのレイアウトを季節に合わせて行なっています。 キャンティーン内に配置できるものは決まっていますが、「何を選ぶか」や「全体的な雰囲気や飾り付け」は各イケアストアに任されているため、ストアごとに特色があるとか。 「サーモン照り焼き/オランデースソースがけ」(サラダボウルとスープ付き370円)。 スモークサーモン添えパスタ(単品250円) 「日本の料理とイケアでしか食べられない料理の両方を、家庭で食べているように味わってもらいたいですね」(キッチンコワーカー/キャンティーン担当) 「野菜も豊富でかなりヘルシーです。ご飯を食べてるときでも誰かが来て一緒に食べるので、スタッフで知らない人はあまりいませんね」 「ビュッフェスタイルなので、お腹が空いているときは好きなものをたくさん盛れること、そして値段が安いのも嬉しいですね」 「机やイスなどイケアストアで販売されている物で、キャンティーンの空間が作られているので、アットホームでリラックスできる環境だなと思います」 キャンティーンでは、食事以外にも様々な利用を行なっています。訪問時は先輩スタッフのキャリアビジョンを後輩にレクチャーする場として使用されていました。 こちらは普段見ることのできないオフィスエリアです。天井が高く、全体が見渡せる空間となっています。 オフィスの打ち合わせ用のソファや机ももちろん自社で販売している商品です。しかもすべてタグ付きなのがイケア流! 「より快適な毎日を、より多くの方々に。」
オフィス内でも常に目にするイケアのビジョン。オフィススペースの一角には、体調不良時に休憩できるよう、「REST ROOM」が用意されています。 環境活動などへの取り組みが評価されており、横浜市や都筑区からの感謝状が飾られています。 オフィス内のいたるところに、デザインチームによる季節ごとのディスプレイや飾り付けがなされています。この日はクリスマスムード満点! ご案内いただいた岡嶋さん、三浦さん(左から)。ご多忙の中、ありがとうございました。 「FIKA」とはスウェーデン語で「コーヒーブレイクしよう!」というような意味だとか。社員食堂やオフィスエリアといった一般の人の目に触れないところでも、イケア流が満載でした!
まとめ
イケアの社員食堂で特徴的なのは、「自社が運営していること」そして「自社で販売している商品を活用していること」が挙げられます。
他の企業の社員食堂では、多くの場合外部に運営を委託しますが、イケアストアでレストランを運営しているイケアでは、同じレストラン部門のスタッフがキャンティーンも担当しています。
「自社で運営していることで、外部に委託する場合よりコストを抑えられていますし、イケアがイケアレストランで提供しているものと同じハイ・クオリティの料理をスタッフに食べてもらうことができます」
(イケアフード/三浦マネジャー)
食材以外にも、食堂の内装やインテリアなどにも自社商品を活用していますが、「スタッフにくつろいでもらい、より良い仕事をしてもらう」という目的が先にあり、その結果自社商品を使っているといえそうです。
「イケアは毎日の生活を豊かにし、より快適となるような商品を提供しています。いいかえれば『家でくつろぐ』という目的の商品を提供しているのですが、それと同じような気持ちをスタッフにも感じてもらいたいのです。リラックスして、疲れを取ること。そうでなければ良い仕事もできません。ですのでキャンティーンでは、自宅でリラックスしているような感覚になって欲しいのです」
(IKEA港北ストアマネジャー/ウィル・エドワーズ)
ウィルストアマネジャーのお話を裏付けるかのような、スタッフの声もご紹介しましょう。
「10年前のIKEA港北の立ち上げの時に入社したのですが、イケアストアを作る際に、まずスタッフエリアからデザインを始めていたんですね。キャンティーンも、お店のレストランと同じくらいに力をかけてレイアウトされデザインされて作られたのを間近に見て、スタッフを大切にしているんだなと感じました」
このように、「スタッフありきでビジネスが伸びる」という考え方がイケアスタイルであり、その考えがスタッフに伝わっていることが感じられることができた社員食堂でした。
神奈川県横浜市都筑区折本町201-1
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