
年間平均気温16.5°C、年間降水量約1,700ミリ、冬も暖かくみかん栽培に適した気候の和歌山県有田市。和歌山県は国内の生産量の二十数%を占めるみかん生産No1県でありますが、その和歌山県で半分近く生産されているのが有田みかんです。
早和果樹園はその有田みかんの産地において、1979年に7戸のみかん農家で創業。2000年に法人化、2005年に株式会社化しています。みかんの露地栽培から、ジュースやジャムなどの加工、販売と1次産業から2次産業、3次産業のすべてに関わる6次産業化に取り組んでおり、県内外からも注目を集める会社です。
今でも年に一度は新商品を出すというみかん農業のリーディングカンパニーを目指す同社では2017年6月より社内に食堂を設置。決して大きい規模ではありませんが、社員食堂の持つ可能性を感じることができる食堂です。
それではご案内いたしましょう。
和歌山県中部に位置する有田市。市内の山々は、すべてがみかん畑で埋め尽くされているかのよう。 従業員70名(グループ含む)。年商9億3500万円(H29.06時点)。みかん山の麓にある早和果樹園本社。 光センサー選果機により、品質の均質化が可能に。お客様への信頼度もアップ。 併設されているショップでは、加工したジュースやゼリーなどが販売されています。 同社の取り組みを評価した、厚生労働省による高齢・障害・求職者支援機構による特別賞やネットショップ大賞金賞などの盾。賞状もたくさん! こちらが早和果樹園の社員が自社製品や地元産の食材を使って作られている手作り食堂!ランチ前なので準備中です。 もぎたてのみかんの皮を丁寧にむいています。仕込みは10時くらいから始めています。 社員の事前オーダー数に合わせて準備します。鶏肉は地元で仕入れています。 みかんはもちろん、トマトやキャベツ、きゅうり、白菜、ナスなどは自家菜園で作られたものです。 【豆知識】早生種の美味しいみかんの見分け方を伺うと、「小さめ」「枝が細い」「顔が赤い」「実が張り付いている」ものが糖度が高く美味しいとのこと。 ご飯は備え付けの炊飯ジャーで。若い社員が多いため、気持ちいいほど減っていくのが早いとか。 調理スタッフの“なでしこ“の皆さん。会社の創業メンバーであり、食堂業務の担い手です。若手社員の食事を担当しています。 この日のランチは“からあげ・リンゴとみかんのサラダ” ランチタイムになり、社員の方が食堂へやってきました。 利用時には、自分でチェックする仕組み。この方法が一番やりやすいとか。 近隣から通勤している人が多いため、自宅が近い人は家に帰って昼食を食べる人もいるそうです。 元々は事務所利用していたスペースを利用しているため、座席数は最大15席。 手にしているのは“みかんジュレ”。“みかんうどん”“みかんのポン酢”“みかんのケチャップ”“みかんの七味”といった自社商品も調味料に。 畑に行く社員もいれば、ジュースを作る社員、インターネット担当など、4箇所以上に職場が分かれているため、食堂がコミュニケーションの場になっています。 「自社製品のみかんポン酢などは野菜にかけても美味しいです。食堂はありがたいです」 「お昼を作らなくてよくなった。以前は家に帰って食べるかコンビニ弁当でしたが、食堂で食べられるので休憩時間が長くなりました」 男性社員の声
「一人暮らしなんで簡単なものばかり作るのですが、食堂ができて小鉢の煮物とか普段食べられないものを食べることができるようになりました」「現場の社員とは日によっては会うことがなかったが、食堂ができてアルバイトの子など、普段会わない人ともコミュニケーションが取れる」(秋竹社長) 新社屋も完成。おいしいみかんを作り続ける注目の企業、早和果樹園さんの今後でした!
まとめ
若い社員の健康のために始めた社員食堂
早和果樹園は2017年6月から社員食堂を始めています。その理由を秋竹社長に伺うと、「業績拡大に伴い、新卒の大学生が入社するようになってきて、4割が20歳代で独身の社員が増えたのです。ある時、地元外から入社し一人暮らしをしている社員の昼食をみたら、コンビニ弁当で済ませていたんですね。一人暮らしのため朝も夜も同じようなものでしょう」
会社として何か対策をしなくては!と考える中で、「お昼だけでも栄養のあるおいしいものをたっぷり食べさせてあげよう」と考えたとのこと。
問題は「誰が作るのか?」ということで、候補に挙がったのが高齢の創業メンバー。しかし「おばあちゃんたちのご飯は食べたくないやろ」と作り手側が二の足を踏んでいたのです。そこで若い社員に聞いてみると、若い社員が「食べたい」という反応だったと言います。
そこで、現会長が「社食をやろう」と決断しました。若い社員のための社員食堂でありながら、早和果樹園の創業メンバーを社員とした別会社「早和なでしこ」を設立し、高齢となった社員の新たな働き場所とする仕組みとしています。
社員食堂のコンセプトは「若い子にしっかり栄養のあるものを腹一杯食べさせたい」といい、値段は1食300円と格安。費用だけ考えると赤字ですが、普段会わない社員との接触機会が増え、コミュニケーションがより良くなったことから「メリットの方が大きい」(秋竹社長)と言います。
社員食堂は単に食事を提供する場というだけでなく、コミュニケーションや社員の健康力向上、地元食材の使用による地域貢献といったメリットもありますが、早和果樹園さんはさらに自社内で高齢者雇用の場を生み出すという点が斬新です。
今後ますます美味しいみかんが生産されそうですね。
和歌山県有田市宮原町東349-2
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