
地元産のテーブルや椅子、紙などで作られた作られた地元貢献型社員食堂で地元食材を堪能
社員だけでなく、地元とのコミュニケーションを図る「ありえない社員食堂」
今回ご紹介するのは、エレクトロニクス製品などに使われているプリント配線板の表面を覆い、電子回路の絶縁膜となるインキ(ソルダーレジスト)の世界的メーカーである太陽ホールディングス株式会社です。
2001年1月に東京証券取引所市場第一部に上場。主力製品ソルダーレジストはスマホやパソコン、家電や自動車などに当たり前に使われており、そのシェアは世界で60%超! 私たちの身の回りにある電子機器のほとんどに使用されているのです。
社食ドットコムは、そんな太陽ホールディングスさんの研究陣を支える社員食堂に注目しました。そのポイントとは…。
それでは早速ご案内いたしましょう!
自然豊かな緑に囲まれた太陽ホールディングスさんの研究拠点「嵐山事業所」です。 プリント配線板の多くが緑色をしているのは、緑色のソルダーレジストを塗っているからなのです。 こちらは技術開発棟のオフィス。コーポレートカラーであるグリーンが映え、ゆったりとしたお洒落な空間がつくられています。 右手に見える机はマージャン卓・・・ではなく、ミニ会議スペース。気楽な会議やちょっとした打ち合わせが開発のヒントになることも。 普段は打ち合わせテーブルにも使われる卓球台。お昼休みに食後の軽い運動のつもりが白熱することも・・・ あぁっ!柱に落書きしてる人がっ!?実は思いついたことが直ぐにメモできるように、柱の多くがホワイトボードになっているのでした。 疲れた脳をリフレッシュさせるための書籍やエスプレッソマシーンなどを設置。ひらめきを誘発するような工夫が随所に取り入れられているそうです。 こちらは茶室? いえ和風の会議室です。障子をあけるとホワイトボードが現れます。こちらの障子には地元の和紙を利用しています。 さて、そんな研究陣の胃袋を満たすためにつくられたのが、こちらの「嵐山(らんざん)食堂」です。 地元の家具工房に製作を依頼したというテーブルと椅子。どちらも埼玉県の木材を使用しています。 近隣に細川紙の産地があるのにちなんで、照明と壁紙は和紙をベースとした仕様に。細川紙は先日ユネスコ無形文化遺産に登録されました。 全体的に木材を使用しているので、温もりが感じられ、とてもゆったりできる空間となっています。 食堂同様明るくノリの良い厨房スタッフのみなさん。「TAIYO」ポーズが決まっています。一番右は代表の坂爪さん。 ランチタイム前の厨房の様子。スタッフのみなさんは仕込みに大忙し。 12時になると、お腹を空かした社員のみなさんが続々とやってきました。事前にwebで注文したメニューをカウンターで受け取ります。 味付けについての要望やその日のご飯の量などを厨房スタッフに伝えると対応してくれるアットホームで和気藹々とした雰囲気。 ランチメニューはメイン料理を「肉」「魚」「麺」の中からチョイス。迷った時は気になったものを全部注文して同僚とシェアすることも。 食堂内には音楽が流れ、日当たりもよいので、食後もずっとここにいる社員が多いそうです。 コーヒーや紅茶、緑茶はおかわり自由。食後の一杯が嬉しいですね。 電子マネーでの精算は小銭要らずであっという間に支払い完了。混み合う時間帯もレジ渋滞とは無縁です。 一律400円のランチメニューを注文するとサラダと惣菜のビュッフェ(食べ放題)も食べられます。サラダには絶品の自家製ドレッシングをお好みで。 地元の新鮮食材をふんだんに使った料理は「とくかく美味しい!」と社員のみなさんから好評で、つい食べ過ぎてしまうそうです。 埼玉県内で有名なお店の豆腐は毎日食べても飽きません。ランチタイムはビュッフェが品切れにならないよう、次々と新しい料理が運ばれます。 ビュッフェメニュー全部乗せ!これだけで満腹になりそうです…。 今日の肉メニュー「ヤバイっすよ!!ミルフィーユ カツ」 麺メニューは人気の「肉そば」。 魚メニュー「銀だら西京焼き」は女性に人気! 社員の声
「空いている席に座るので、毎日相席する人が違って新鮮です。こちらで他の事業所の人と打ち合わせをすると普段と違う雰囲気のおかげで活発な意見交換ができます。料理はどれも美味しくて飽きませんね」「以前はデスクで仕出し弁当を食べていましたが、社員食堂ができてからはチャイムと同時に食べにきます。3時にはカフェタイムがありケーキがドリンクとセットで250円というのは嬉しいですね」 「以前は自分のデスクでネットをしながら黙々と食べていましたが、今は食堂でいろんな人と会うのでコミュニケーションが良くなりました」
「料理はどれも想像以上に美味しくて、これで400円は安い!」Web上で予約フォームと1週間分のメニューを公開しているので、社員のみなさんはスマホなどから内容を確認し、注文しています。 ドリンクコーナーにはディナータイム用のワインセラーも置かれ、プロジェクト終了時の打ち上げや、職場の懇親会はワインで盛り上がります。 今回ご案内いただいた、嵐山総務課の中村さん、研究部の三井さん、広報課の山口さん、野溝さん(左から)。
社員食堂のキーパーソン
会社のバックアップで実現した「ありえない社員食堂」プロジェクト!
三井 康敬
(太陽ホールディングス株式会社 研究部)

(みつい やすたか)
埼玉県生まれ、学校卒業まで嵐山町で育つ。子供時代には会社近くの川で泳いでいたことも。関西系の化学会社を経て太陽ホールディングスへ入社。現在、研究本部研究一部課長を務める。2013年春より始まった研究開発拠点である嵐山事業所のリニューアル計画を推進する中で、食堂のプロジェクトにも携わる。
太陽ホールディングスの研究拠点は、埼玉県の嵐山(らんざん)町にあり、そこで働く社員の多くは自分のデスクでパソコンの画面に向かいながら食事をしていたといいます。そんなことから仕事以外にコミュニケーションを取る時間が非常に少なかったそうです。
社食を新設するにあたり、社員間のコミュニケーション向上を目的にするケースは多いのですが、こちらの社食の目的はそれだけではありませんでした。
一体どのような目的で作られたのでしょうか。
プロジェクトを推進された三井さんに話をうかがいました。
地元密着型社員食堂ができたきっかけ
これまでも食堂はあったのですが、会議室のような雰囲気で、あまりにも殺風景だったものですから内装だけでも少し綺麗にしたいと思い、会社に提案しました。
ところが社長のほうから、「もっとちゃんとした食堂にしたらどうか?」という逆提案を受けたのです。
これを受け、「それなら会社のコミュニケーションの場として活用しよう」と始動しました。
「太陽ホールディングスにいけば美味しいランチが食べられる」と名物にでもなれば、遠方の取引先の方も来やすいし、話も弾む。ゆくゆくは「地元とのコミュニケーションにも活用」。そういう使い方もあるのではないかと方向性が示されたのです。
当初考えていたものとはだいぶ様相が変わり、「ありえない社員食堂」をコンセプトに、地域貢献も視野に入れた新食堂開設のプロジェクトがスタートしました。
家具業界の常識を越えてできたダイニングセット
これを具体化していくにあたり、単にお金をかけて食堂を新しくしましたというのでは面白くないので、もっと何かに貢献できるようにしたいと考え、食材や建材については地元のものにこだわることにしました。
食材は地元の直売所などで購入することで調達のメドはたったのですが、悩んだのは、食堂に使う机と椅子です。
地元で家具づくりをしているところへの依頼を考えていたのですが、ネットや雑誌に紹介されているような家具工房は、一人親方のようなところが多いんですね。社員食堂用なのである程度まとまった数の机・椅子を一定期間でつくらなければならず、製作日程が折り合わない。
しかも埼玉県の木材を使いたいという希望を伝えると、「埼玉県の木ってないんですよ」という答えが返ってきました。埼玉県の材木というとスギやヒノキが多いのですが、家具職人さんは、スギやヒノキは材料として考えてないわけです。やわらかくて傷がつきやすいスギやヒノキは家具、特に椅子には向かないというのが家具業界では常識だったのです。
私たちは、そんな業界の常識にとらわれることなく、スギで机や椅子をつくってくれる工房がないかさらに探しましたが、なかなか見つかりません。
「これは諦めるしかないのか」
埼玉県の家具工房に製作を依頼するという計画が頓挫しかかった時、偶然、埼玉の材木を有効利用しようという材木組合さんを見つけ、早速アプローチしたところ、「一緒にやりましょう」と協力いただけることになりました。
実際にスギで椅子を作ってみると、強度を増すために太くするのですが、持ってみると軽いし、温かみもある。なにより座り心地も良いということで社員にも大好評となっています。
弊社の製品づくりも同じですが、諦めずに突き詰めていくことで初めて新しい扉が開かれる。今回は椅子づくりをとおしてそれを実感しました。
こうして2014年の8月に社員食堂「嵐山食堂」が完成したのです
今後は地元の方に向けたイベントの実施や、協力いただける地元の農家さんと一緒に食材の安定供給を目指すなど、地元とのコミュニケーションをより一層図り、ますます普通ではありえない社員食堂にしていきたいと考えています。
まとめ
「嵐山食堂」は地元密着型企業が目指すべきスタイルの社員食堂だった!
太陽ホールディングスさんの社員食堂の特長は、神社等も手掛ける地元の左官職人さんに施工いただいたり、なるべく地元産の木材や食材を使用することなどを通して、社員だけでなく、地域の人とのコミュニケーションの場にするというものです。
本来、社員食堂は会社内にあるため、社員の使い勝手を優先することや、建物内の機密情報管理などの観点からも一般開放は行なわないことがほとんどです。
そんな中、トップの判断で「地域社会に貢献する場」というコンセプトでの食堂を新設。その結果、社員にも地域にも好評を博する社員食堂が完成したのです。
企業と地域の関係をつくっていく上で、社員食堂を活用するという太陽ホールディングスの社員食堂モデルは、同様に地域社会に根付こうとする企業の参考になることでしょう。
嵐山事業所
埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地
記事の内容は取材および掲載時点の情報であり、最新の情報を反映・担保するものではありません。
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