オーダーメイドにこだわる理由
Q2.「タニコーの製品を使うと業績が伸びる」と言われていますが、その理由は何なのでしょうか?
弊社は厨房機器メーカーで、国内シェアはNo1ですが、経営として重視していることは“永続性”です。製品はほぼ業務用ばかりですので、まず外食産業のお店そのものが発展していかないと、弊社の明日はありません。ですので何かのヒット商品で急成長、ということは望んでいません。
弊社の顧客は、和洋中さまざまな飲食業に関わっていらっしゃいます。全国チェーン展開している大企業や有名ホテルもあれば、個人営業のお店など規模や業態はさまざまです。
その方々にとって必要なこと、それは“良いお店づくり”ということでしょう。弊社ではそのために必要なことをたくさん用意しておいて、営業マンがトータルでサポートすることが重要だと考えています。
たとえば初めて飲食業を開店するときに最大の壁と感じるのが保健所への申請です。慣れてしまえば難しいものではありませんが、不安であれば営業マンがアドバイスをおこないます。まだ製品のお見積もりも出していない段階だったとしても、です。それがお店が開くための第一歩になると思うためです。
厨房に合ったオーダーメイド厨房機器が働きやすさを生み出す
当社のもうひとつの特徴が、自社商品で生産している製品のうち70%がオーダーメイド、最初から一点物であること、です。
儲けだけ考えたら、同じ製品を大量生産したほうが売りやすいでしょう。ですが、お客さまが本当に求めているのは、厨房機器ではなく、“お店づくり”です。厨房機器は良いお店にするための手段に過ぎないため、オーダーメイドにする必要があるのです。
たとえば「ラーメンと餃子を頼まれるお客さんが多い」というラーメン屋さんでは、ラーメンが先に出来上がり、餃子ができたらその後に提供していました。しかし、お客さんとしたらラーメンと餃子が一緒にでてきたほうが楽しみやすいし、お店としても別々に出すと滞在時間が長くなってしまい、回転率が落ちてしまう。
そこで「うちはこういうラーメンを出していて、何分で仕上がるんだけど、それに対して餃子がこう焼けるので、もう何十秒か早くすれば一緒に提供できるんだけど、どうかな?」という要望が出てきます。そこで「じゃあオリジナルでつくりましょうか」となるわけです。これはその店の広さや構造によるものですので、その厨房機器が他のラーメン屋さんにとって便利なわけではありません。オーダーメイドでなければならない所以です。
社員食堂でもお昼に一斉に集まるため、大行列をつくっているケースがあります。その社員食堂に合わせた厨房機器に変更し、この待ち時間を一人5秒でも縮ませることができれば、待つことのストレス量が減り、逆に休憩時間を少しでも長くとることになります。伸びる会社はこのようなことに意識をお持ちですね。
また、多店舗展開しているお店では、働いている人を人手が足りない店舗に行ってもらう、ということはよくあることですが、入居しているビルの状況によって、熱源がガスのところと電気しかだめなところがあったりするんですね。
そんな時に厨房機器がA店とB店とで違っており、調理の仕方が変わってしまうと、手伝いにいっても作ることができないわけです。そこで「電気でもガスでも同じ使い方ができる厨房機器が欲しい」となります。
飲食店に限らず、社員食堂や職員食堂などでもあるのですが、設計時に「眺望の良いところは座席にして」「入り口からの流れはこうだから」・・・、となり、厨房を最後に決めることで使い勝手の悪い厨房になるケースが多いのです。そこに「このカタログの中から選んでください」というのはそもそも難しいことなんです。
弊社としての会社経営から見たら極めて非効率ですが、その非効率さがお客様から見たら選ぶ理由になっていますし、それぞれのお店が成功するために必要な要素を提供していくことが、当社にとって重要な要素となっています。