
今回訪問したのは株式会社HCI。2002年和泉市にて有限会社克己クリエイトとして創業、ケーブル・ワイヤー・チューブ・シート製造装置の製作、販売を開始しました。2006年株式会社HCIに社名組織変更。2008年には泉大津市に本社を移転。現在はインダストリアルマシナリー&ロボットシステム事業、サービスロボット&ソーシャシステム事業、フード&アメニティ事業の3つの事業部でビジネスを展開しています。
同社では2009年よりロボットシステムの構築・製作を、2017年よりAIシステムの研究・開発を行なっています。このロボットとAIの技術を活かし、社員食堂を新設。社員への福利厚生だけでなく、システムのデモンストレーションの場としての展示場でもあり、地域住民へのロボットとのふれあいの場として運営されています。
それではロボットが作業する社員食堂「HCI ROBO HOUSE」をご紹介しましょう!
大阪府の泉北地域にある泉大津市にHCI本社はあります。オフィスは3階にあり、2階部分が一般利用も可能な社員食堂となっています。 「HCI ROBO HOUSE」の看板があり、その日のメニューなどが紹介されています。 【サービス係】2階に上がると、早速受付ロボットがお出迎え。カメラに向かって予約QRコードをかざして入店します。 「HCI ROBO HOUSE」の営業時間は9:30〜16:00(日曜・祝日休業、土曜不定休)。座席数は30席。 エントランス近くにもロボットがたくさん! ここは「ロボットが調理しロボットが配膳する社員食堂」です。初めてご利用される方は、会員登録(無料)が必要となります。 電子レンジ担当、湯煎担当、副菜・デザート担当と、それぞれの工程を各ロボットが分担しています。 【ドリンクバー協働ロボットシステム】タブレットで選ぶとこちらはオーダーしたドリンクを用意してくれるロボット。 【案内・配膳係】。ネコ型配膳ロボット。上にあるディスプレイ部には目をパチパチさせるなど愛くるしい表情が。カメラが障害物を探知します。 【配膳係】それぞれに名前が付けられており、画像は「しぐれ」と「みぞれ」。 営業時間は9:30~16:00(15:45 ラストオーダー) 「スープパスタ」「エビのリゾット」「ミートドリア」といった社員専用の「まかないメニュー」も用意されています。 ガラス腰にロボットの作業を見ることができるカウンター席。各席に電源が設置されています。 利用は事前予約でフードロスを無くしています。モーニングとティータイムでカフェに入店するには、ワンドリンクを購入し、店内から単品を注文します。 お昼になり、社員の方や打ち合わせのお客様が入店され始めました。コアタイムは12時過ぎ頃。 全国の各地場食材から、無添加・白砂糖不使用のサラダは有機野菜を、お米は農薬不使用のメニューが提供されています。 天井に付けられたマーカーを読み込み、座席まで料理をロボットが配膳するため、人と人の接触がありません。 座席まで配膳ロボットが料理を運びます。ロボットが到着したら受け取ります。 無農薬野菜を使用しており、野菜が苦手な社員にも好評。社員の健康管理にも効果的。 社員にとって社員食堂は気軽にコミュニケーションが取れる場所となっています。 アイドルタイムは地域の子ども向け見学会などが開催されるなど、地域貢献にも活用されています。 【CURRY】22種類のスパイスで作った濃厚マッシュドカリーセット(ドリンクバー付き) 【PASTA】唯一無二のルー ミートソースパスタセット(ドリンクバー付き) 【メニュー例】マシュマロトースト&フルーツティ 【SANDWICH】ホットサンドセット こちらは人間そっくりなロボット・・・ではなく奥山社長です。【社長の声】「社員に対しておいしいものを食べてほしいと考え社食を作ろう、ロボットの会社なのでロボットで作ろうと。そこでロボットとAIを使って作りました」 【製作者の声】「機械設計を担当しました。調理器具も決まっていたので、掴む部分となるハンドの設計に苦労しました。省人力だけでなくロボットは熱さにも強いので天ぷらなどの調理にも向いていますね」 【運営責任者の声】「食事を楽しむだけでなくロボットも楽しんでもらえるように取り組んでいます。お子様にも人気スポットになっています」 【社員の声】「トマトが苦手なんですけど、食堂のトマトは甘くて美味しく食べることができます」
まとめ
未来はこうなる? ロボット社員食堂「HCI ROBO HOUSE」
社員食堂を設置した理由を奥山浩司社長に伺うと「社員に美味しいもの、心と体が喜ぶものを食べてもらいたい」との思いから始まり、次に「どうせなら自社のロボット技術とAI技術を活用したロボット社員食堂システムにしよう」となったそうです。さらにロボットシステム導入検討者への展示場としての役割や、一般の方々にも開放し地域貢献の場としての役割も担う「HCI ROBO HOUSE」が2022年1月に誕生しました。
ロボット社員食堂「HCI ROBO HOUSE」では、産業用ロボットにプログラミングを施しています。事前に用意された冷凍食材を電子レンジで温めるロボット、麺を湯煎するロボット、サラダやデザートを用意するロボット、調理された料理を運ぶロボットで構成されており、利用にはインターネット予約・注文・決済システムが導入されています。
お店に入店する際に、エントランスに設置されているカメラに向かって予約QRコードをかざし、店員による入店チェックを行ない、案内ロボットが座席までナビゲート。調理ロボットが調理をスタート、完成後に配膳ロボットにより座席まで届けられます。
また“ハード”だけでなく“ソフト”にもこだわっており、小麦粉・添加物・砂糖不使用の国産玄米麺や、小麦粉、白砂糖、添加物不使用のグルテンフリーカレーなど、徹底的な健康志向メニューを提供されています。
「無農薬野菜を使っているため、野菜嫌いな社員も好んで食べてくれますので、社員の健康管理ができます」(岡本F&A事業部長)とのこと。
「HCI ROBO HOUSE」では、子ども向けにロボット見学会などを行ない、地域社会にも貢献。事前予約制のためフードロスも削減できます。
働き手不足時代を迎えるこれからの社員食堂において、ロボット化は省人化だけでなく、感染症対策やSDGsにも可能性を感じさせる要素に満ちています。これからの時代、社員食堂にどのような形でロボットやAIが活用されていくのか? 今後も注目必至な「HCI ROBO HOUSE」でした。
大阪府泉大津市東豊中町3-14-10
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