2026年、福利厚生費としての食事補助における非課税限度額が拡大されることとなり、日本の「社食」は大きな転換期を迎えました。コスト抑制を優先した従来の「空腹を満たす場」から、従業員の健康増進やエンゲージメント向上を叶える「投資の場」へと、その役割はさらに変化していくことが想像されます。
本記事では、給食運営会社であるシダックスコントラクトフードサービスの営業/外販 統括本部 営業開発戦略支援室の熊谷室長にお話をうかがいました。オイシックスグループの調達力を活かした高品質なメニュー開発や、調理工程の効率化で食材の質を底上げする「タイパ給食」や、税制改正を好機に変え、企業の成長を「食」から支える最先端の戦略と、明日から取り入れられる運用のヒントを探ります。
【プロフィール】
熊谷 憲一(くまがい・けんいち)
シダックスコントラクトフードサービス株式会社 営業/外販 統括本部 営業開発戦略支援室 室長
2004年、オイシックス・ラ・大地株式会社に入社。EC事業、ソリューション事業を経て、2025年より現職。
【会社概要】
シダックスコントラクトフードサービス株式会社
1960年5月設立。2025年9月より、オイシックス・ラ・大地株式会社の事業会社として、オフィス・工場などの社員食堂、学校などの学生食堂の受託運営をメインに給食事業を手がける。全国に9カ所の支店、従業員数は約6,400人(2026年4月時点)。
本社所在地:東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー5階
Webサイトアドレス:https://shidax-fs.co.jp/
Q1. 非課税限度額の拡大に伴い、クライアント企業への提案内容はどのように変化しますか?
熊谷室長(以下熊谷):今回の税制改正により、従業員様の自己負担を据え置いたまま、1食あたりの単価を引き上げることが可能になります。これは、福利厚生としての社食が「単なる食事の提供」から「健康投資」へと明確にシフトする大きなチャンスです。これまでの限度額内では、コストの制約から実現が難しかった「高品質なメニュー」の導入を積極的に提案しています。
具体的には、一汁三菜のバランスを徹底したランチや、栄養学に基づいた「健康経営強化メニュー」の拡充です。例えば、メイン料理の質を一段階上げるだけでなく、不足しがちなタンパク質やビタミンを補う副菜の追加、さらには午後の仕事のモチベーションを高めるデザートやフレッシュフルーツの提供といった、心の満足度までカバーするラインナップが可能になります。
私たちは、単に空腹を満たす場所ではなく、企業の持続的な成長を支える「従業員様のコンディショニング拠点」として社食を再定義しています。税制改正による余力を、こうした食の質の向上に充てることで、企業が掲げる健康経営の目標達成を強力にバックアップしてまいります。
Q2. 具体的にどのようなメニュー開発やクオリティの向上を計画されていますか?
熊谷:私たちが追求するのは「パフォーマンス、健康、エンゲージメント」を最大化する新しい社食のあり方です。その核となるのが、オイシックス・ラ・大地グループの強みを活かした連携企画です。
現在、モデル店舗である「雨晴食堂」で展開しておりますOisixの契約農家から届く新鮮な野菜の提供や、著名なシェフや料理家さんとのコラボレーションメニューを導入できる企業を広げていく計画です。また、独自に推進している「タイパ給食」も大きな武器となります。これはセントラルキッチンで事前調理を行うことで、厨房での工程を「揚げる・和える・盛る」といった最終仕上げに特化させる手法で、少人数でも、厨房機能に制約がある施設でも、調理の効率化がはかれます。
これにより、厨房の人件費を最適化し、浮いたコストを食材の質に再投資する余地が生まれます。結果として一皿のクオリティと満足度を底上げするという、新しい給食運営のスタンダードを確立できたらと考えています。
Q3. 今回の改正は、企業の健康経営や従業員満足度(ES)にどのような影響を与えると予測されますか?
熊谷:これまでの社食は「安さ」が最大のメリットでしたが、今後は「食事の質」そのものが企業のエンゲージメントを測る指標になると予測しています。自己負担を抑えながらも、外食に引けを取らない高付加価値なメニューが提供されるようになれば、これまで外食派だった層が社食に戻ってくる「社食回帰」が起こります。
バランスの良い食事が日常化することは、喫食者様の毎日の健康管理に直結します。これは単に従業員様の満足度を高めるだけでなく、午後からの生産性向上や、長期的な生活習慣病の予防といった実利を企業にもたらします。
また、社食が「行きたくなる場所」に進化することで、社内コミュニケーションが活性化し、組織の結束力も高まります。食事を通じて会社からの「大切にされている感」が伝わる、いわば社食が企業の想いを具現化するメディアのような役割を果たすようになると考えています。食の質の向上は、もはや福利厚生の枠を超え、優秀な人材を惹きつける採用ブランディングの一部としても機能していくでしょう。
Q4. 運用を見直したい企業へ、導入や運用のステップについてアドバイスをお願いします。
熊谷:制度の拡充を検討される際、まずは「変化が目に見えてわかる」部分から着手することをお勧めしています。例えば、「契約農家の新鮮サラダバー」や、週に一度の「プレミアムデザートの日」など、従業員様がパッと見て「社食が変わった!」と実感できるオプションを追加することが、期待感を段階的に高める秘訣です。
運用の懸念として、メニューの質を上げると店舗・施設の負荷やコストが増大するのでは、という不安をお聞きすることもあります。しかし、先述の「タイパ給食」を導入すれば、店舗・施設の負担を抑えながらクオリティと安全性を両立できます。
最初からすべてを変える必要はありません。まずは既存の枠組みの中で、何が最も従業員様のモチベーションに寄与するかを見極めることが重要です。当社では、各企業の課題やオフィス環境に合わせ、効率的な厨房オペレーションと魅力的なメニュー構成をセットでご提案し、スムーズな移行を伴走支援いたします。
Q5. 最後に、今後の展望や特にアピールしたいポイントを教えてください。
熊谷:社員食堂は今、日々の活力を養う場であると同時に、多様な働き方の中で失われがちな対面コミュニケーションを育む大切なインフラとなっています。私たちは今回の税制改正を、日本のオフィスワーカーの健康と生産性を底上げする絶好の機会と捉えています。
さらなる強みとして、同じオイシックスグループの「ボンディッシュ」との連携も強化しています。今年3月からは、ケータリングメニューを全国の社食・学食へ展開し始めました。これにより、日常のランチだけでなく、社内イベントやパーティなど、食を通じたあらゆるシーンで高品質な体験を提供できる体制が整っています。
シダックスコントラクトフードサービスは、グループの食材調達力、効率的なオペレーション、そして食へのこだわりを融合させ、クライアント様の健康経営の推進に貢献し続けます。「社食があるからこの会社で働きたい」と言っていただけるような、価値ある食空間を共に創り上げていきましょう。
(聞き手/社食ドットコム編集部)
—— 2026年3月時の情報です
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| 会社名 | シダックスコントラクトフードサービス株式会社 |
| 所在地 | 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー5階 |
| 公式WEBサイト | https://shidax-fs.co.jp/ |























