プライミクス株式会社は、1927年に大阪市福島区にて日本初の工業用クロムめっき工場として創業した高速攪拌機メーカーです。攪拌機を用いると高性能な製品化が可能となることから、リチウムインオン電池、集積回路、化粧品、医薬品、食品、化学品など幅広い分野の基礎技術として利用されており、高性能な製品化に必要な攪拌機の開発、設計、製造を一貫して手掛けている同社は攪拌機業界においてトップクラスのシェアを誇っています。
2015年8月に本社機能、国内製造拠点、研究所機能を兵庫県淡路市に移転し集約するとともに、産官学で次世代電池材料の技術開発を推進する拠点として国立研究開発法人産業技術総合研究所、国立大学法人山形大学と共同で「電極板製造技術研究所」を設置しています。
このように製品同様オリジナリティのある取り組みも話題となることの多い同社ですが、中でも注目は淡路島産の食材を利用するという社員食堂。調理スタッフも淡路島内から募るなど、食と職で地元貢献を実現しています。
それでは淡路島にあるプライミクスの社員食堂をご紹介いたしましょう。
淡路島北部に位置するプライミクス本社。明石海峡大橋を利用すると神戸・三宮から車で約40分で到着です。 本日ご案内していただくのは経営企画部の溝口さん。よろしくお願いします! 社屋内は、オフィス、工場、研究所、ショールームなどエリアごとに分けられています。なにやら変わったものもありますね・・・。 地下1階にあるショールームとしての役割も担う、攪拌技術の仕組みや同社の歴史を紹介するミュージアム。 大型機や最先端分野の展示など、実物やパネルを使っての説明で撹拌などについて学べることができます。 こちらは1階にあるオフィスエリア。海を眺めながら仕事ができるという好環境です。まるで大型船のブリッジにいるかのようです。 施設内はフィンランド製の空調システムによって快適な空間が維持されています。 それでは2階にある社員食堂へ。早速中に入ってみましょう! 東大寺の「柱の穴くぐり」ならぬプライミクスの「柱のすり抜け」。これが横向きで通れないと、メタボ認定されてしまうという恐ろしい柱。 社食の名前「ラ・カンティーヌ」とはフランス語で「ワイワイと仲間が集う食堂」という意味だとか。 食堂からは大阪湾が一望! 利用者の目線の高さが海を望むために最適となるよう設計されているそうです。 社員食堂の運営は、そのために設立されたグループ会社のプライミクス プラスが運営しています。 利用者は入り口横でしっかり手洗い。衛生第一ですね。 厨房設計や設備だけでなく衛生管理、掃除、調理オペレーションも「食」のコンサルタントであった古市会長が指導されたとか。 社員数は約300名。ここ本社には130名が勤務していて、12時を過ぎると一斉に食堂に集まってきます。 支払いは社員証をタッチするだけ。給与天引きとなり、現金不要です。 提供されるメニューは毎日日替わりで4品。地産地消を推進してつくられる社食のレシピは約1千種類にも。 この日は「河豚とねぎの黒酢ソースかけ/ゆで野菜のもろみだれ/大根と厚揚げのけんちん煮/白菜ときのこのスープ」 1日約150食が提供されています。会社見学や来社テスト、立会検査などで多くの来客にも人気の社食です。 週に2回、くじで席を決める日があります。普段話しをしない人と一緒に食事をすることで新しいコミュニケーションが生まれます。 【食堂運営会社福田社長】「コストがかかっても社員に旬の新鮮なものを食べてもらいたい。そのために海の幸も山の幸も豊富な淡路島の食材を使っています」 【VOICE】「こちらにきてからは地元の野菜や旬の食材が増えて美味しいですね。食事は大事ですから」 【VOICE】「毎日違うメニューだし最初から栄養管理をされており、社員の健康のためにつくってくれていると実感します」 【VOICE】「普段野菜はあまり食べないのですが、栄養バランスのよいメニューが日替わりで提供されてありがたいです」 【古市会長】「社員の健康管理を考えて、 バラエティ豊かなものをバランスよく毎日提供することで社員も元気になるし、近隣の生産者の役にも立っていると思います」 社員食堂内にはさまざまな賞状も飾られています。 テラスでは養蜂も行われており、採取されたハチミツは社員食堂にて食材として提供されることも。 社屋の外にはフットサルコートが。隣にはバスケットコートも。社員の福利厚生施設です。 ボルダリング施設も備わっており、講師を招いての講習会も行われるなど、スポーツ活動も盛ん。 特別にラッピングをしたプライミクスの社用車。CO2削減に貢献できるEV車で、このクルマにもプライミクスの技術が生かされています! ご案内いただいた溝口さんが「最後にお見せしたいのがこちらです」といきなり中に入り・・・。 なんと2階から1階へのすべり台です! 以上、遊び心満載のプライミクス社でした。
まとめ
最高の眺望と食材で社員のパフォーマンスを高める社員食堂
同社が社員食堂を自社で運営すると決断した背景には、まだ本社が大阪にあった際に利用していた仕出し弁当にあるといいます。
「値段は安かったのですが、加工品ばかり。食事の質が低ければ免疫力も低下し、食べる楽しみもなくなってしまう。そこで移転したら社員のパフォーマンスもあげられるよう、なるべく地元淡路島の食材を使った手作り料理を提供しよう、と決意しました。そのためには自社で提供したほうが早いと決断し、自社の食堂運営のための会社も設立しました」(食堂運営を行うプライミクス プラス・福田社長)
そこで完成したのが「日本一楽しく、おいしい社員食堂」を目指した社員食堂「ラ・カンティーヌ」です。
食堂運営にあたっては、元々「食」のプロフェッショナルでもあった古市会長自らが「フードオペレーション運営指針」を作成。「透明性」「環境問題への取り組み」「フードマイレージの意識」「おいしさこそ健康の源」「社員の健康管理と食生活指導」「メニュー・ダイバーシティ」「スローフード」「料理家を招くイベントの開催」という、健康的でサスティナブルな8つの柱をコンセプトに据え、地域の活性化と持続可能な企業としての指針を掲げています。
淡路島は古来より“御食国(みけつくに)”と呼ばれ、豊富な食材が揃っています。豊富な種類の食材を近隣の生産者から直接仕入れており、鮮度は抜群。さらに加工品は使用しておらず、社食で提供できるレシピは1千種類以上だといいます。これら豊富な食材と高い調理技術で「1年を通じて同じメニューを出さないこと」と古市会長より厳命された“掟”を実現しています。
実際に利用している社員からも「午後からの仕事も頑張ろう! とモチベーションが高まります」「ここで食べたら他では食べられない」と好評を博しています。
食堂を運営するために地元淡路島から調理スタッフを雇い入れるなど、淡路島の「食」と「職」で地域に貢献しながら社員には鮮度のよい美味しい料理を提供しているプライミクスの「ラ・カンティーヌ」。仕事の合間もワイワイ楽しい時間を過ごす社員食堂でした。
兵庫県淡路市夢舞台1-38
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