
国立看護大学校は、2001年に厚生労働省が設置した4年制の看護教育課程です。2010年に独立行政法人化、2015年には国立研究開発法人に移行し現在に至っています。同校は、がんや循環器病、感染症など国の政策医療を担う国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)の看護職の養成及び研修を目的として、教育、研究、研修を行う機関として設立されました。
教育の特徴として、高度先駆的医療としての政策医療と国際看護学に重点を置いています。また、ナショナルセンターの経験豊富な看護職を臨床教員として配置し、ユニフィケーションシステムと呼ばれる教育と臨床の一体化による教育を行っています。このシステムにより、ナショナルセンターの臨床において効果的な教育の展開と、学生にとっては安心して臨床における教育を受けることができます。教育課程は、ヒューマンケアの精神を基盤に、「人間存在の理解」「人間の生活の理解」をふまえた専門的な「看護学」を学ぶように構成されており、ナショナルセンターで活躍する人材の育成を目指しています。
看護学部看護学科において4年以上在学し、卒業要件に必要な128単位以上取得した者は、独立行政法人大学改革支援・学位授与機構から「学士(看護学)」の学位が卒業時に取得できます。
同校の構内には食事とともに季節の風景を楽しめるのが特徴な学生食堂「山茶花」が設置されています。学生や教職員が利用する憩いの場として親しまれており、栄養バランスが考慮されたバラエティに富んだメニューが提供され、学生生活を心身両面から支えています。
西武池袋線「清瀬駅」南口より徒歩15分の位置にある国立看護大学校。 春にはキャンパス内に桜が咲き誇ります(画像提供:国立看護大学校) 校内にあるトラック施設ですが、ドクターヘリの場外離発着場に指定されています。 校内にある同校の校歌「祈りの彼方へ」。作詞作曲は小椋佳さん。 こちらは108名が受講可能な階段式の教室。 【基礎看護実習室】実習の様子。 【基礎看護実習室】1年次・2年次で、主に生活援助に関する演習を行う実習室。一度に100人が実習できます。 【成人看護実習室】成人看護学の演習を行う実習室。看護実習用マネキンや、高度先駆的医療を担う病院での実習に備え、ICU(集中治療室)のモデルルームもあります。 【在宅・老年看護実習室】自宅での療養環境を再現した実習室。和室・洋室のモデルルームがあるほか、生活習慣病や骨粗鬆症予防のための食品サンプルや補助具付きの階段などが展示されています。 【母性・小児看護実習室】母性、小児分野及び助産科目履修者の演習を行う実習室。小児看護実習用マネキン、産科・婦人科訓練用マネキンも充実しており、専門的な看護・助産技術を学べます。 【図書館1】約6万8千冊の書籍と電子書籍、雑誌等の看護専門図書館。 【図書館2】個室や学習室などがあり、読書はもちろん試験対策などに利用されています。 【学生食堂】学校が所在する清瀬市の市花であることや、「ひたむきさ」「困難に打ち勝つ」という花言葉から学内公募で選ばれた名を持つ「山茶花(さざんか)」。 学生食堂はコロナ禍で閉館となっていましたが、同校の母体となる国立国際研究センター病院附属看護学校の同窓会「蒼穹(おおぞら)会」の支援を戴いて再開となったそうです。食堂内にはその感謝と現在の学生へ継承されている看護の思いを表すため、蒼穹会レリーフが飾られています。 厨房の様子 メニュー数は軽食を含め約20種類。食材は毎日新鮮で安全な食材を必要な量を仕入れ、可能な限りその日に使い切るようにしているなどフードロス対策もバッチリ! 営業は平日11:00~14:00(土日祝や夏休み等の長期休暇中は休業)。食堂の入り口にはその日の提供メニューのサンプルが陳列されています。 こちらはテイクアウトも可能なお弁当やデザート類。 こちららは各種おにぎりやチュロス。他にマフィンやアイスクリームも。 授業が終わると続々と学生が集まってきます。1日約140食が提供されています。 食堂は、学生にとって食事をするだけでなく、コミュニケーションやリラクゼーションの場所にもなっています。 座席数は最大216席。窓側は外の景色を見ながら利用することができます。 学生は授業や実習などで忙しい日々を過ごしているため、ランチタイムは貴重なエネルギーチャージ場所になっています。 食堂では、仲間と顔を合わせ、食事をしながら勉学や個人的な話もできます。友人と談話しながら課題に取り組むなど学生間の交流の場としての役割も担っています。 ボリュームたっぷり! の大盛りを食べる男子学生。 【取材日の日替わりランチA】しっとりジューシータンドリーチキン 【取材日の日替わりランチB】エビカツとキス天ぷら 【取材日の週替わり丼】合い盛り天丼(豚天、鶏天、イカ天) 【取材日の週替わりカレー】 食堂横にあるラウンジ(50席)。こちらに持ち込んで食事をすることもできます。 ランチタイム前には、学校見学に来ていた高校生の姿も。次は入学後に利用することになるかも? ご案内いただいた同校の宮崎総務課長と江田経理係長(左から)。ありがとうございました。 「卵」を守る鳥をイメージした作りの本館。卒業後は世界に羽ばたく学生たちがしっかりと巣立つまで見守ってくれている国立看護大学校でした。
まとめ
未来の看護師が集う! 国立看護大学校の学生食堂「山茶花」
国立看護大学校の学生食堂「山茶花(さざんか)」は、単なる食事の場ではなく、「食」を通じて学生の心身ともに健やかな成長をサポートする場として位置づけられています。食材は、毎日新鮮で安全なものを必要な量だけ仕入れているほか、規格外の野菜を積極的に利用することや、可能な限りその日に食材を使い切るようにしているなど、フードロス対策にも注力されています。
さらに手作り料理を提供することで、学生に「価格以上の価値」を提供し、食に対する興味関心を深めてもらうことを目指しています。また、栄養バランスのとれた食事を提供することで、学生の健康維持にも貢献しています。
また、食堂は食べるだけではなく、学生同士のコミュニケーションを促進する場にもなっています。学生たちには勉強や実習などハードなカリキュラムが組まれており、ランチタイムは食事だけでなく、午後からの授業の準備なども必要なため、ゆっくり食事だけという訳にもいきません。そんな中でも食堂は、学生が心身を癒せる憩いの場となっており、食堂という空間の中で新たな出会いや交流が生まれることが期待されています。そのため食堂側も学生の意見を積極的に取り入れ、より良い食堂づくりを目指しています。
国立看護大学校は、同校が所在する清瀬市と連携し、大学キャンパスと中央公園を一体化することで、地域社会に開かれた、より魅力的なキャンパスを目指しています。この取り組みの一環として、学生食堂を地域住民にも開放し、地域との共生を深めることを計画しています。そのため、地域住民の方々に学生食堂を地域のコミュニティスペースとして利用していただきたいと考えています。
将来的には、地域産の食材を使ったメニューの開発や、地元の農家との連携による食育プログラムの実施なども検討しています。これらの取り組みを通じて、大学校と地域が一体となり、より豊かな社会の実現を目指していきます。
以上、国立看護大学校の学生食堂は、看護師を目指す学生の健康やコミュニケーションなどを下支えする役割とともに、社会貢献や地域貢献も行う食堂でした。
東京都清瀬市梅園1-2-1
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